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皇女は当て馬令息に恋をする  作者: かのん


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第三十五部

 

 オーレリアの凛とした、その堂々とした姿に騎士らは目を奪われた。


 民の間では、オーレリア皇女は聖女や女神と評される事が多いという事は知っていたが、今、目にしてみてそれが本当の事だったのだと感じられた。


 帝王オランドや、グレッグは戦闘狂として騎士の間でもその行動を疑問視する者は多い。そして何より、いつ終わるのかも分からないなら戦いは、騎士らに着実に疲弊させていっていた。


 仲間が倒れていくのを見て、次は自分かもしれないと皆が思う。


 やっと平和が訪れだと思ったのに、また始まるのかと皆が不安を抱いていた。


 そんな戦いの日々に、オーレリアが立ち上がったのだと騎士には見えた。


 騎士ですら、帝王が恐ろしく誰一人として口を開かなかったのに、この目の前の少女は、一人立ち上がったのだ。


「何をしている!この者は、謀反を企てているのだぞ。捕縛せよ。」


 グレッグの怒鳴り声が響く。


 けれど、騎士らは誰一人として動かない。


 確かに、自分達はグレッグの今は指揮下にあるのだ。グレッグに従わなければ罰せられるだろう。


 だがしかし。


 オーレリアは、まっすぐに騎士らに向かい合うと声を上げた。


「私は、帝国を平和な国へと変えたいのです。その為に、皆の力を貸してはくれませんか?」


 その言葉にグレッグは笑い声を上げた。


「綺麗事だな。国は戦わねばならぬ時があるのだ!戦わねば、帝国は地に落ちるだろう!」


 オーレリアは首を横に振った。


「確かに戦わねばならぬ事もあるでしょう。ですが私は、皆に人を、民を、国を守る剣となってほしいのです。奪うのではなく、守る騎士になってほしいのです!」


 その言葉に、騎士らはオーレリアを真っ直ぐに見つめた。


 グレッグは顔を真っ赤にするとオーレリアに詰め寄ろうとした。


 その腕が伸び、掴まれそうになった時、オーレリアの周りに光が集まり、グレッグの体を押し倒した。


「あ、、、あれは。」


「聖獣、、、か。」


 黄金色に輝く聖獣は、姿を現すと高らかに吠えた。


『我はオフィリア帝国を守護する聖獣なり、我はオーレリアを我が王とし仕えることを決めた。』


 まるで絵本のようなその姿に、皆が息を呑む。


 神々しいその姿を見て、その言葉を聞き、騎士達の心は決まった。


 一人、また一人とその場に跪き、剣をオーレリアに捧げた。


 グレッグはその様子を見ると声を荒げた。


「ふざけるな!次期帝王は俺だ!」


『そなたは王の器にあらず。我が王はオーレリアただ一人。』


「煩い!ええい、斬り捨ててくれるわ!」


 グレッグは立ち上がり、剣を振りかざしたその刹那。周りから見ていた暗部らが剣をグレッグの喉元や四肢ぎりぎりに突き立てた。


「う、、、。」


 グレッグは身動きを封じられ、顔を青ざめさせた。


「オーレリア様の邪魔はさせない。」


「死にたくなければ、剣を収められよ。」


 その背筋の凍る冷たい声に冷や汗が流れ落ちる。


 グレッグは力なく剣を落とすと、その場に、崩れ落ちた。


 いつの間にか、騎士らは全員跪き、オーレリアの言葉を待っている。


 オーレリアはゆっくりと一歩前に出ると声高らかに言った。


「私、オーレリア・ルルティア・オフィリアに忠誠を誓うものは顔を上げ宣誓を!」


 騎士らは立ち上がり、剣を掲げると声を上げた。


『我らの剣をオーレリア様に捧げることを宣誓をいたします。永遠の忠誠を!』


 ランドルフが嬉しげに咆哮を上げると、空からキラキラと光が舞い降りてきた。


『オーレリア王に忠誠を誓うものに祝福を!』


 その光景は、物語のように美しいものであった。





 

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