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皇女は当て馬令息に恋をする  作者: かのん


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24/52

第二十四話

皇女は当て馬令息に恋をする外伝 悪役令嬢になるはずだった令嬢の観察日記を公開始めました。

裏話があるので、そちらも読んでいただけると、あー、なるほどと、笑ってもらえると嬉しいです。

よろしくお願いします。

 レイズ王国国王であるラオックが、執務室で宰相ダンテと共に仕事をしていた時であった。


 突如として空気に怒りが満ち満ちて目を丸くしてしまう。


「これは、、、なんだ?」


 ダンテは顔を真っ青に染めると、ラオックに言った。


「妖精の怒りではないでしょうか。このような事、数十年ぶりにございます!」


「何故、妖精は何に怒りを、、、は、、静まった?どういう事だ?!」


「わ、分かりません!」


 すぐさま緊急の会議が開かれる事になり、円卓に皆が集まる。


 だが、妖精の怒りについて原因を知るものはおらず、ラオックは苛立たしげに机を叩いた。


「誰も何も分からぬではないか。ダンテ、過去にはどのような事で妖精の怒りがあったのだ?」


 ダンテは資料をめくりながら焦った様子で答えた。


「えー、一番近いものですと五十年前、原因は、妖精の遊び場である泉を汚した事でした。しかし、その時は王に直接妖精が姿を見せ、怒りを伝えたとの事。今回は妖精は現れておりません。」


「どういう事だ!明らかにあれは怒り。空気が異質になったのは明らかだ!誰も情報はないのか!」


 皆がうつむき、視線を王と合わせようとはせず、場が静まり返る。


「一体、どういう事だ。」


 その時、部屋をノックする音が響き、執事がラオックの横にやってきた。


「どうした?」


「レスター・ワトソンが王に謁見を求めております。」


「レスターが?、、、公爵家のぼうずが何用だ。今は忙しい。」


「私もそうお伝えしたのですが、今回の会議にかかわる事だと申しております。」


「何?、、、通せ。」


 ラオックは、関係かなかったらどうしてくれようかとイライラとしながら待っていると、レスターは部屋に案内され、恭しげに頭を下げた。


「挨拶はいい。さっさと要件を言え。今は虫の居所が悪いんだ。」


 レスターは顔を上げ、ラオックを見つめるとゆっくりとした口調で言った。


「可能性では、、ありますが、、、それでもお知らせしたほうがいいと思い、参上いたしました。」


「勿体つけるな。」


「はい。、、では恐れながら。」


 レスターも緊張しているのであろう。表情には本当に伝えるべきかと迷うような様子が見られる。


 そして、ゆっくりと、言葉を選びながら、レスターは言った。


「先程の、、、空気に怒りが満ちたのは、、、妖精の仕業と、、、、そうお考えでしょうか?」


「よく分かったな。さすがだ。それで、それがどうした?」


「恐らく、ですが。その怒りの原因は、オーレリア皇女殿下ではないかと。」


 ガタっと、椅子が鳴る音が響き、皆の表情に緊張が走る。


「オーレリア皇女が妖精の怒りを買ったと?」


 レスターは首を横に振った。


「いえ、、、オーレリア皇女殿下を、妖精が好いているのではないかと私は考えております。以前、オーレリア皇女殿下の暗殺未遂があった時、妖精が私を導きオーレリア皇女殿下の元へと道を作ったのではないかと思う事がありました。」


 その場に居た皆が息を飲む。


「確証が得られなかったので妖精の事を省き報告してしまい申し訳ありません。」


 頭を下げるレスターをラオックは見つめると、腕を組み、そして宰相に言った。


「聖者アンサムを聖地から呼び戻す手はずを整えよ。妖精が見えてまだ近場にいるのはアンサムだけだろう。」


 会場がどよめいたが、ラオックは落ち着いた様子で言った。


「もしオーレリア皇女が妖精を見る目を持ち、妖精に好かれているというのであれば、こちらも相応の対策を取らなければならない。まずはアンサムを待つ。アンサムの確認が終わり次第また会議を開く。よいな。」


『はっ!』


 皆が頷き、その場は解散となった。


 レスターは、その後詳しく宰相のダンテに話を聞かれ答えていった。


 そして、帰り道、静かに馬車の中で息をついた。




 妖精の怒りを感じたレスターはもしやと思い、オーレリアを探した。


 そして、花畑にいたオーレリアを見つめて息を飲んだ。


 オーレリアは神々しい光に包まれており、花々は普通の花のはずが、光を伴って咲き誇っていたのだ。


 微笑むオーレリアは美しく、レスターは、胸の痛みを感じた。



 国王に、オーレリアの事を話したのは正解だったのだろうか。せめてオーレリアに直接話をしてからにすべきだったのではないか。


 馬車の中でレスターは小さく息を吐いた。


 自信が、なかったのだ。


 オーレリアに尋ねて、正直に自分に話をしてくれるのか、自信がなかった。


 だが、黙っていることはできなかった。


 これは、オーレリアに対する裏切りではないのかと、レスターは胸の痛みに、顔を歪めた。



 






いつも読んで下さりありがとうございます。

小説も間もなく折り返し地点です。

最後まで読んでいただけたら幸いです。

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