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皇女は当て馬令息に恋をする  作者: かのん


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第十七話

 レスターはあっさりと城下町への散策の許可を取ると、オーレリアにプレゼントとして簡素なワンピースを送る手配をした。


 最初は、敵国の皇女とはどのような人柄かと思っていたが、一緒に過ごしてみれば、国を思う素敵な人であることはすぐに分かった。


 勉学は優秀で、授業態度も真面目。


 花畑作りでは、土がついても気にせず一生懸命にどの花を植えるか考える姿に好感が持てた。


 ただ気になるのは、マリアがオーレリアの事を邪険に扱う事だ。


 気付いていないと思ったのか、オーレリアの足を踏んだところはレスターも見ていたし、護衛が見逃すわけがない。


 ご執心なアレクシスがオーレリアに興味を持った事が原因だろうが、あれでバレていないと思うなど愚の骨頂である。


 恐らく、明日の外出はマリアは同行出来ないだろう。


 国王陛下に外出の許可を取る際、厳しい口調で叱咤され、マリアにも今後ないように処罰が下ると言っていたのを思い出す。


 きっとマリアは怒るだろう。


 自分は悪くないと、怒るに決まっている。


 思わずため息が漏れてしまう。


 最初の頃のマリアと今のマリアの印象が違いすぎて首を傾げたくなる。


 最初出会った頃のマリアは、純粋で、真っ直ぐで、何故だが自分が手伝ってあげなければならない使命のようなものに突き動かされた。


 自分が導かなければならないと。


 だが、アレクシスと出会ってからマリアは変わった。


 自分を出しに使い、関係を深めようと必死になっている。


 次第に最初の使命感は薄れ、過去のマリアを、思い出しては言いようの無い気分にさせられる。


 アレクシスもオーレリアが現れるまではマリアをまぁ側室にしてもいいかと言うように見ていた気がする。


 だが、昨日の目はマリアを邪険にしていたように感じた。


 小さくため息が漏れる。


 マリアを庇いだては、本来ならば自分はするべき立場ではない。


「距離を置くべきなのだろうな。」


 小さく呟くと、何故か言いようの無い、感覚に体が包まれる。


 この感覚は何なのだろうか。


 不意に窓が突然開き、外の風が吹き込んだ。


 窓を閉めようと歩み寄り、何故開いたのだと窓辺を見ると一輪の花が置いてある。


「、、妖精のイタズラか。」 


 この国には妖精が存在する。


 だが、見れるものは少なく、妖精が何をして過ごしているのかも謎に包まれている。


 先日のオーレリアの暗殺未遂の際に、自分の目の前に突如現れた扉も、妖精のイタズラであろう。


 おそらくだが、オーレリアは妖精に好かれている。


 それを、まだ殆どのものは気がついていないだろうが時間の問題だろう。


 ただし、これが本当であると判明した場合、国王陛下がどう動くか。


 それを考えても、頭が痛くなる。


 あの、皇女殿下を縛りたくない。


 不意に、何故自分はそんなことを思うのだろうかと思い、窓際の花を手に取った。


 花言葉は、『気付いて』。


 何に気付けと言うのか。


 取りあえず、オーレリア皇女とアレクシスをあまり外交的に近づけたくない国王陛下から、明日はアレクシスは忙しくなるはずだから、二人で城下町へは行くようにと言われている。


 レスターは、小さく息を吐くと花の香りを胸いっぱいに吸い込んだ。



 

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