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第十一話

すみません。

更新時間の設定を間違えていました。


  オーレリアは雨の降る外を窓から覗いてため息をついた。この様子では今日はレスターとの庭造りは無理だろう。


 授業が終わるとレスターから声をかけられた。


「明日は晴れるといいですね。」


 その言葉だけで、オーレリアは心が温かくなり笑みが浮かぶ。


「はい。今日は残念でした。」


「そうですね。ですが、明日は晴れるそうですから、明日は今日の分も頑張りましょう?」


「はい。」


「ではまた明日。」


「はい。また明日。」


 また明日と言う言葉で心が跳ねるような気持ちになり笑みが浮かんだ。


 レスターは背を向けると教室から立ち去っていった。その背中を追うようにマリアの姿が見えて、少し心が沈む。


 マリアは雨でも晴れでも関係がないのだ。


 なんとなく羨ましくなる。


 その時、教室の中で小さなざわめきが起こった。何かとざわめきの方へと目を向けると、自分の方へと身長の高い、とても見目麗しい男性が歩み寄ってきた。


 金髪碧眼の彼は、柔らかな笑みを浮かべるとオーレリアに声をかけてきた。


「お初にお目にかかります。オーレリア皇女殿下。私はアレクシス・フェジ・アルメニアと申します。」


「アルメニア、、、アルメニア国の方ですか?私に何かごようでしょうか?」


 アレクシスはにこりと微笑むとオーレリアの手を取った。


「ええ。アルメニア第一王子アレクシスと申します。ここでは何ですので、よろしければ一緒に、お茶などいかがですか?」


「お誘いありがとうございます。ですが、私も皇女の身ゆえ軽率な事は出来ませんわ。」


「ご心配なく。ではもう一人誘いましょう。ヨハン!一緒にお茶に行こう!」


 遠目から様子を見守っていたヨハンは、一瞬悩んだ様子を見せたがすぐににこやかに顔を取り繕うとこちらへと歩いてきた。


「いきなりだね。こちらにも都合があるのだけれど?」


「はは!いいじゃないか。行こう。」


 ヨハンは小さくため息を付くと従者と目配せをした後に頷いた。


「よし決まりだ。オーレリア皇女殿下。参りましょう。」


 これは拒否権はないのだろうかとオーレリアは思いながらも優雅に微笑み、アレクシスにエスコートされて歩いた。


 すると、廊下からかなりの視線を受け、オーレリアは内心驚いた。


 ひそひそと話をする令嬢方はこちらに熱い視線を向けており、オーレリアは困惑してしまう。


 お茶とケーキの準備された一室に案内されたオーレリアはこれは学園側も協力しているのだなと思いつつ周りを伺った。


『大丈夫だよ。』


『お菓子もケーキも毒なし!』


『変な罠もないよー。』


 いつものように妖精達が声をかけてくれて、オーレリアは微笑みを浮かべた。


 その様子にアレクシスは笑みを深める。


「さすが一国の皇女殿下。怯みませんね。」


 アレクシスは何が言いたいのだろうとオーレリアは思ったが取り敢えずは促されるままに席についた。


 出された紅茶の香りがとても良くて、オーレリアはゆっくりと口に運んだ。


 花を香りが通り抜け、爽やかな味わいが広がる。


 アレクシスは毒を疑わずに紅茶に手を付けたオーレリアに度胸があると思う半面、危うさを感じた。


「毒が入っていると疑うべきでは?」


 その言葉に、オーレリアは吹き出して笑わないように口元を抑えた。不意打ちの発言だったので危うく淑女らしからぬ笑いが出るところであった。


 その様子はアレクシスにはこちらを嘲るかのように見え、眉間にシワがよる。


「毒が入っていないと分かっていましたから。疑う必要などないでしょう?」


 こんなに近くで妖精がないと言っているのに、何のつもりだろうかとオーレリアは思った。


 アレクシスはその言葉を受け取り、刮目すると、小さく息を吐いて両手を上げた。


「どうやら貴方の方が上手のようだ。これは自国の紅茶です。美味しいでしょう。では本題ですが、私がここに貴方を呼び出した理由もお解りで?」


 オーレリアは静かに目を閉じると、ゆっくりと開いてアレクシスを見た。


「オフィリア帝国の海岸部の貿易について、でしょうか?」


 アレクシスはにっこりと笑みを深めると頷いた。


「さすがは女神様。見目も麗しく賢く完璧じゃないか!あぁ、惚れてまいそうだ。」


 ヨハンはその言葉に目を見張り、牽制するように睨みつけた。


「軽率な発言は慎むべきでは?」


「そう睨むな。だが、結構本気だ。どうですオーレリア皇女殿下。アルメニアとオフィリア帝国の友好を強化出来ますよ?」


 アルメニアは、海を挟んで国がある為に風土が違い帝国は戦争を仕掛けるよりもそちらとは外交で繋がったほうが得策と考え、友好的であった。


 なので本来であれば確かに婚姻もあり得るし、婚姻関係を持ってアルメニアが友好国として優位に立ちたいのは分かる。だが、オーレリアはにこやかに断りを入れた。


「申し訳ありませんが、私の一存では決められませんので。」


 アレクシスは女性が好む微笑みを浮かべると、オーレリアの手を取った。


「連れないことを言わないでください。」


「ふふ。面白いお方。」


 さらりとあしらわれ、手もさり気なく払い除けられたアレクシスは目を丸くした。


 ヨハンは、必死で笑い出しそうになっているのを堪えている。


 アレクシスはそんなヨハンに気付くと、その脇腹を小突いた。


 だがそんな様子など気にならないほどにオーレリアは紅茶を一口飲むと妖精らの声に驚いた。


『オーレリア。その紅茶毒じゃないけど、ちょっと危険みたい。』


『茶葉の中に、中毒性のあるレミアの葉が入っているよ。』


『分量が合っていればリラックス効果のあるものだけど、間違えば中毒ー。』


『アレクシスにおしえてあげて。』


『聞いてみて。聞いてみて!』


『知らなかったら一大事ー。』


 オーレリアは、その言葉に目を丸くすると、アレクシスを見つめて言った。


「婚姻については私からは何も言えませんが、あの、アレクシス殿下はこの紅茶の茶葉についてご存知ですか?」


「?どういう意味だい?」


 妖精達の話を聞いていなかったのかとオーレリアはため息を付きながら言った。


「あの、ちゃんと理解されて使われているなら大丈夫かと思いますが、、、レミアの葉には中毒性があるそうですが、その、アルメニアではどう言う扱いをされていますか?」


 その言葉に、ヨハンもアレクシスも目を丸くして、紅茶を見た。


 オーレリアは首を可愛らしくコトンと傾げ、その様子に妖精達はケラケラ笑った。








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