ねこさんと~コタツ編~
ある家の飼い猫。
私は猫。一応、飼い猫。あっちこっちで餌貰いますけど。飼い猫です。
今、お散歩から帰ってきました。帰って一番に向かうのは!
マイフェイバリィスポット!こたつ!!
でも、いつもはスイッチパチンされてなくて、ひんやりだけど・・・・
猫「うーさっび、毛皮来ててもやっぱ冬の散歩はこたえるわ。
アレ、今日はコタツ電気入ってんじゃん。気が効く!飼い主・・・」
猫は鼻先で器用に布団をめくってコタツに潜った。
猫「うえ、犬。」
犬「なんだよ。猫。」
猫「なんでコタツにいるんだって。」
犬「わからないの。寒いからじゃん。」
猫「それはわかるわ。今、散歩から帰って来たんやし。寒かった事は知っとるわ。」
犬「そう、それはよかった。」
猫「なんて嫌味な言い方。めっちゃムカつく。だいたい、犬やのになんでここにおるん?」
犬「だから、寒いからです。」
猫「犬は喜び庭駆け回るんやないの。」
犬「ごめんなさい。私、プードルなの。庭駆け回ったら、毛が汚れちゃうし、マニュキアも取れるでしょ。それに寒いし・・・」
猫「マニュキア!」
犬「そ、私、プードルだから!ごめんなさいね。だ猫とは違うのよ。血統書付なの。」
猫「あらあらごめんなさい。だ猫で。だ猫の三毛猫で!
第一、どうやってスイッチ入れたんだよ。プードルはスイッチ、パチンってできるのですか。」
犬「やーね。飼い主がここにいなさいってスイッチ、パチンしてくれたのよ。」
猫「なんでだよ。いつもは散々ねだって、足元百回くらいくねくねしてやっとつけてもらうのに、何でお前はパチンしてもらえるんだよ!」
犬「それはやっぱり・・・プードルだから。」
猫「それさっき聞いたし!なんだよ飼い主、私のほうが先にいたのに。コタツはマイフェイバリットスポットなのに。後輩プードルに取られた!」
犬「仕方ないですよ。あなたと私では、飼い主の熱の入れ方が違う。名前だって私はキャメロン。あなたはミケ。私は高級ドックフード。あなたは猫まんま。」
猫「そんなことない。私はかわいがられている。鍋に入ると飼い主は喜ぶ。」
犬「古!!ネコ鍋とか古!私は首をきゅっと傾けるだけでインスタ映えするから、飼い主大喜び。」
猫「寝る時足元に入ると喜ぶし。」
犬「でも完全に寝たら蹴られて布団からはみでる。」
猫「ふぅ・・・・。」
犬「負けそうになると、尻尾膨らませるのやめてくれませんか。
それすると、結構埃が散るんですよね・・・」
犬2「キャメロンさんもそこまでにしてあげなさい。ミケさんも落ち着いて。」
犬「あ、チワワのラブちゃん先輩。いたんですか。小さすぎてわかりませんでした。」
犬2「今日は寒いですから、みんな仲よく温まりましょう。一匹だけが特別だなんてありませんよ。みんな平等にかわいがられていますよ。」
猫「それを聞いて安心。最近、カーペットくるくるで背中くるくるされるとき、ちょっと痛い時あるんですよね・・・そんな時、ホント悲しいんですよ。」
犬2「そうでしたか。確かに飼い主はあなたの毛がソファーにくっついていると、「あのくそ猫がー!」と吠えている時がありましたけど、でも、それはそれ。かわいがられていますよ。」
猫「そ、そうですか・・・?」
犬2「ええ、今度お風呂に入れると言っていました。よかったですね。」
猫「全くよくありません。その日がわかったら教えてください。その日は家出します。」
コタツの布団がぱさっと開いた。そしてわらわら入って来たのは・・・
レ子1「あ、ねこさんだ。ねこさんがいる。」
レ子2「プードル先輩もラブちゃん先輩もいるよ!こんにちは。」
猫「レトリバーのガキどもだ・・・」
レ子1「ねこさん。こんにちは!」
猫「こんにちは・・・」
レ子2「ねこさん。僕達、端っこでいいので、真ん中へ行ってください。」
猫「いや、ここでいい。」
レ子3「いえ、コタツはねこさんの縄張りだから、小さくなっていなさいって、僕達、ママにきつく言われてますから。どうぞ、真ん中へ。さあ・・・」
猫はレトリバーの子供たちにぐいぐい押されて真ん中へ・・・
猫「あつ!熱いって。私は皮膚が薄いからコタツの真下は熱いんだって!」
レ子1「ねこさんがピンク色だ!」
レ子2「ほんとだ。ねこさんがピンク色!」
レ子 アハアハアァ・・・・・
猫「笑い事じゃねえよ。熱いって!もーいーよ。お前ら好きにしろよ・・・」
犬2「ミケさん。まあまあ、子供のすることじゃないですか。私のほうが空いていますからこっちへいらっしゃい。今日は雪です。今出て言ったら寒いのと悔しいので風邪を引きますよ。みんなで仲良く温まりましょう。さあ、ミケさん、ここで横になってください。ゴローンと。」
猫はチワワのラブちゃん先輩の言う通り、思いっきり横に伸びて寝転がった。
犬2「ふわ・・・あったかい枕。」
犬「ほんと・・・柔らかさもちょうどいい・・・」
猫「ちょっと、あんたたち。また騙したわね。」
犬2「いいじゃないですか、仲よくしましょう。」
犬「そうそう、ラブちゃん先輩に任せておけばぜーんぶうまくいくから。」
猫「いってねえじゃん。ぜーんぶうまくいってんのはお前らだけじゃん。
微妙に重たい・・・・」
猫は自分がチワワより先にここに居たことを思い出すまで枕で居続けた。
けど、外は雪でコタツからは出られず、なんやかんやで頑張る猫だった。
今年の冬、猫のフェイバリイスポットは猫だけのものではなくなった・・・・