蝶の章〜告白を〜
帝が思う『今』をこの『思い』を、、、
「皆お疲れ様!今日の分全部良かったよ!」
「打ち上げしようぜ!ここで!」
全ての公演を終え、もうクラス内は打ち上げムードである。せっかくだからと教室を使うそうで皆盛大に盛り上がっていた。
「、、、、、」
「なぁ、竹中」
ぼーっとしている輝夜に俺が声をかけると輝夜は目に涙を浮かべながら俺を見る。その顔を見て俺はドキッとしてしまう。
ハッとして輝夜が目を拭う。
「ご、ごめん、、、終わっちゃった事が切なく思えてきて、、、」
俺と輝夜の格好は演劇が終わったばかりということでまだ衣装のままである。
「竹中さんと帝君早く着替えちゃってよ!早く打ち上げしよう!」
監督に促され、俺と輝夜は急いで教室を出る。ドアを出る最中有希太が俺の目をまっすぐ見て親指を立てて応援してくれたことを俺は心強く思った。
更衣室に向かう中いつものように気まずい空気が漂う。
「、、、なぁ、竹中、、、」
「ん?なぁに?」
「その、、、なんて言うか、、、」
いきなり告白なんて出来るはずもなく、言葉を詰まらせてしまう。そんな俺を見て何かを悟ったのか、輝夜が
「ねぇ、屋上行かない?風に当たりたいんだ」
俺は輝夜の言っている意味を理解することもなく、ただ輝夜について行った。
夕方時の屋上は夏とはいえ風通しが良く肌を心地よくしてくれる。日は沈みかけ、闇夜が世界を支配しようとする時刻に男女2人で屋上へと、、、。夢にまでに見た光景に思わず黙り込んでしまう。
「、、、かぐや姫の恋は実らずに終わるんだよね」
唐突に語りかけてきた輝夜はいつもよりも真剣な顔で同時に笑っているような気がした。
「もし、かぐや姫に月からの迎えが来なかったら御門と幸せになったんだろうね、、、」
「、、、そうだな」
闇夜が世界を包み出した時同時に月が姿を現す。どこも欠けていない丸い満月が二人を照らす。
「、、、、なぁ竹中」
「ん?」
月光が俺達を照らす中俺は輝夜に歩み寄る。輝夜の顔は赤く染まっていてどうやらこれからの展開に察しがついているようだった。
「おれさ、、、楽しかったんだ、、、竹中と月を見て、竹中と月の話をして、、、そしたらさ、俺も輝夜と同じ病気になったみたいなんだ」
「うん」
「俺もこの痛みの意味は分からなかったけど、やっと理解したんだ」
「うん」
輝夜の瞳が潤い始め俺も気恥ずかしくなる。
ここで言うのだ。全てを、、俺が思っていることの全てを、、輝夜と出会って数ヶ月。何回月を見に行った。何回一緒に笑った。そんな輝夜との二人の時間が俺は楽しかった。そして、大事だと思えた。なら、、、俺は、、
「俺は、、、輝夜の事が好きだって、、、」
「うん、、、」
俺のその一言を聞くと輝夜の瞳から涙が溢れでる。今にもはちきれそうなほどの締め付けが自分を襲う。だが、、まだ終われない。
「だから、、、俺は輝夜と月を見ていたい。ずっと、、、一緒に、、、だからー」
「まって、、、」
涙を流しながら笑う輝夜の人差し指が俺の口を塞ぐ。俺が口を閉じるとそっと指を離し口を開いた。
「1人だけずるいよね。私だって、、、帝君」
「、、、うん」
「私ね、、帝君に会ったとき何となくだけど分かったんだ、、、この人はイイ人だなって、、、そしたらやっぱり優しくて、おまけに趣味だって同じなんだもん、、、」
「うん」
「私も気づいたんだ、、、帝君が好きだって、、、だから、、」
このままだと俺は涙を流してしまう。そんなことよりも早く輝夜は次の言葉を発した。
「ずっと一緒に月を見て下さい。私は、、、あなたが好きだから、、、あなたと一緒に私は大好きな月を見たい」
真夏の夜は満月によって照らされ、月光が俺達を照らす。そんな月に照らされながら、輝夜と俺は永遠を誓った、、、。
それは、竹取物語のようなものにならぬよう、、、永遠を、、、。




