第5話
第5話
「なんだ、テメェは!?」
「さぁな、少なくともアンタにとっては死神に等しい存在だと思うけどな。いや、鬼っていったほうがいいか」
男が驚いて振り替えり、反射的に剣を降り下ろした。だが、次の瞬間・・・。
「へ?」
ギン!という鈍い音とともに自分が振るった剣が折れたのを見て、男は間抜けな声を上げた。
「随分と質の悪い剣だな。それに、使い手もお粗末だ」
俺はそう言いなが男の腕を掴み馬車の反対側に投げ飛ばした。
「がっ!?」
投げ飛ばされた男は、50メートルほど離れた岩に勢いよくぶち当たりピクリとも動かなくなった。
「さてと、馬車の中の人は無事かな?」
そう言うと、俺は馬車ドアから中を覗きこんだ。
「・・・・・」
何が起きたのか、状況がわからないマークはただ呆然としていた。するとドアから、今さっきの追い剥ぎの男とは違う男が顔を見せたので緊張感を取り戻した。
「あ~、そんなに身構えなくても大丈夫ですよ。」
「・・・君は?」
「取り敢えず、質問は後にしましょう。2人ともケガをしているようですし。手伝いすからそこから出ましょう」
マークは未だに警戒を解いていなかったが、娘のケガの具合も気になり、自分も限界だったので彼の言葉に従うことにした。
「まずはその子から外に」
「すまない」
俺は女の子をお姫様抱っこの要領で持ち上げると馬車から降り、近くにあった岩にもたれさせた。そうして改めて少女の顔を見て唖然とした。
17年生きてきて年齢=彼女いない歴の俺には大きなショックを与えほどの超絶美少女だった。髪は日の光のような金髪のストレート、ほこりで所々汚れているが陶器のように白い肌、人形のように整えられた顔、服の上からでも容易なわかる抜群のスタイル。元いた世界では一生かかってもお目にかかれないほどであった。
「絶世の美女って自分でも確信できる女の子って初めて見たな。・・・と」
と、見とれていた俺はまだ中に人がいたことを思い出し、馬車に戻るのだった。
「助かりました。礼を・・言いいます。」
「ケガはどうです?えーと・・・」
「マーク・・と申します。私のほうは・・・問題ありません」
そう言うが、所々息が切れていて苦しそうだ。頭から少しだが血も出ている。
「それよりも、娘が・・・」
マークは苦しそうにしながらも、隣で気を失っている娘に顔を向けて心配そうな表情をしている。
「ちょっと待ってて下さいね」
俺はそう言うと右手を2人にかざした。
「?」
マークは意味がわからずただじっと自分たちを助けてくれた男をみていたが、しだいに自分と娘が淡い光に包まれていくのがわかった。
「これは?」
「・・・これで深いキズ意外は完全に治っているはずです。娘さんも直に目覚ますはずです」
「本当ですか!?」
俺は一つ頷くと、今度は故障箇所を調べるため馬車に近き足回りが壊れていないのを確かめると片腕で車体を起こし始めた。
「・・あなたは・・いったい?」
マークは驚きを隠せずに目を見張っていた。
「今はただの迷子なんですけどね」
俺はそう言うと頭をかいた。