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腹を満たす食物を目指し、男は立ち上がる

御科之守が目覚めたのは兵に捕縛されてから74時間後のことであった。

御科之守は虚ろな目を少しずつ空けるとそこには淡い茶の色の天井があった。その天井は木造りであり、支柱と柱とを交差させて組んだとても頑丈な衝撃に耐性のある高級な造りであったが、御科之守はなぜ自分がこんな場所にいるのかなどの疑問は持つことができなかった。

その原因は三つあった。

一つは強烈な空腹感に苛まれた事。

二つ彼方から料理が調理される匂いが漂ってきていた事。

三つはそのことにより、疑問を持つための思考が強制的に奪われた事。それと同時に己が今持ちうる関心事すべてが腹を満たすことへと変化したことにあった。


御科之守は己の欲求を満たすべく、立ち上がろうと左手を支えに身体を反らし左足を引き摺るように寝台の左右へと動かした。そして、行動を繋ぐように右足も同様に動かすと、そのまま右手をつき、基本的な座位の姿勢にもっていった。

御科之守は意を決したような勢いの基四肢に力をかけ、寝台を押すような形で前方へと身体を動かした。

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