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流星

作者: 御華槻 羅夢

 読者の皆様こんにちは!

今回の作品は、女子中学生2人の青春物語です。最後まで楽しんで頂ければ嬉しいです!


それでは[流星]をお楽しみ下さい!

 あたしはあとどれだけ手を伸ばせばあの星を掴めるのだろう…。


 そう思いながらあたしは夜空へと手を伸ばし拳を握る…。


 するとさっきまで手のひらには感じなかったものがあった。


 手を開いてみるとそこには

雫の形をした透明な結晶がキラリと光を放っていた。





「マユミ~!あんた今日学校でしょ!」


…お母さんだ…。


「早くしないと遅刻するわよ!」


「わかってる!それじゃ行ってきます!」



 あたしは城之内マユミ…。

15歳の中学生。趣味はえっと…読書かな?

 そんな平凡なあたしが非日常の世界に巻き込まれていった話です。






 通学路であたしは親友のミカと歩いていた。



「…ねぇ。人の話聞いてる?」


「あっ…。ごめん。何だっけ?」


「人の話が聞こえないほどボーッとするって…。もしかして恋…」


「恋煩いじゃないから!」


「だってマユミって河村君のこと好きなんでしょ?」


「…そうだけど」




 そんな他愛もない話をしてるうちに学校へ着いた。


 そして、学校へ足を踏み入れた瞬間に親友とケンカするイメージが頭をよぎった。


「今のって何…?」


 あまりに突然だった為に、あたしは声を出してまった。


「どうしたの?マユミ…」


「なんでもないよ…。早く行こ!」






 そして、帰宅時間を迎え、あたしは勇気を出して河村君に告白した…。


「ごめん。俺、ミカと付き合ってるから…」


…時間が止まった…。


「…ミカと?」


「うん。結構前かな?」


 あたしは全力でミカを追いかけた。


 ミカは正門を出ようとしていた…。


「ミカっ!」


「ん?どうしたの?」


「河村君と付き合ってるんだって…?」


 ミカは驚いた顔をしていたけれど、暫く間を置いて答えた。


「ごめん…。私マユミに隠してたんだ…」


「…何でそんなことするの?」


…最低だ。


 あたしは走ってその場から逃げたした。


「マユミっ!」


 ミカの声だけがいつまでもあたしの頭に響いていた…。


 走り疲れて辺りをみると、いつの間にか土手に来ていた。そして、すでに日が暮れていた。


 いきなりマユミの頭にイメージが浮かんだ…。


 今度はこの土手でミカと河村君が並んで歩いている映像だった。


「なんで今こんなもの見るのよ!」


 そう思い、また走って家まで帰った…。






「ただいま…」


「おかえり。遅かったじゃないの…」


「…そう?」


「…学校で何かあった?」


…なんでお母さんには分かるんだろう…。


「…。ミカとケンカした」


「なぁんだ。そんな事か…」


「そんな事って酷くない…?」


「でも、お母さんも友達と何回もケンカしたのよ…」


「それでもまた会いたい、喋りたいって思ったらいつも仲直りしてたわ…」そして、続けて、


「仲の友達ほどケンカするって言うじゃない?」


「…。でもそれは諺だけでしょ?」


「現実だってそうよ?」


「まぁ明日ミカちゃんと会えば分かるわよ…」


「そんなことない!ミカはあたしに隠して河村君と付き合ってたんだよ!」


「とにかく今日はもう寝なさい…。明日になれば気持ちも落ち着くでしょうから…」


「…わかった」


 あたしは2階にある自分の部屋に入り、荷物を置くとベッドに倒れ込んだ。


 何故ミカはあたしに隠し事をしたんだろう…。


 そんなことを思いながらあたしは眠りに落ちた。






「マユミ~!そろそろ起きなさい!待ち合わせの時間でしょ~!」


「はぁ~い…」


 あたしはベッドから体を起こす。辺りはすっかり暗くなっていた。そして暗闇の中で携帯が光っているのに気がついた…。


…ミカから1件のメールが来ていた。


『昨日はごめんなさい…。今日、いつもの場所に集合ね。』


…何を勝手に…。


 あたしはメールの返信をせずに1階へ降りてご飯を食べた。


「ミカちゃんから何か連絡あったの?」


「…メールあった」


「メールかぁ。…何て?」


 あたしはお母さんにメールの文面を見せた。


「それでマユミはどうする気?」


 お母さんはあたしの方を見て言った。


「行こうと思ってる…」


 あたしは俯きながら答えた。


「絶対に怒っちゃだめよ…。ミカちゃんは真っ先に謝ると思うから。真面目な子っていうのはマユミにだってわかってるでしょ?」


「うん…」


 食器を片付けて家を出る…。


「行ってきます!」


「気をつけてね…」


「大丈夫だって!」







 待ち合わせの場所に着くと、ミカがすでに待っていた…。


「おはよう…」


 ミカがよそよそしく挨拶してきた。


「なんで他人行儀なの?」


 あたしは冷たく言った。


「だって怒ってるでしょ?」


「怒ってない!」


…この言葉は半分嘘…。


 本当は怒っていた。


「あたしが言いたいのは、なんで付き合ってるの隠してたかってこと!なんか理由あるんでしょ?」


 あたしがそう言うとミカは目を潤ませながら答えた…。


「…私たち…仲が悪くなってたんだ…」


「…えっ?」


 不意を突かれた気分になった。


「昨日、マユミが走って帰っていった後、暫くして土手で…ヒロキに…呼びとめられて…」


 ミカの声は嗚咽に変わっていった…。


「…それでっ…ヒロキがっ…別れようって…バチが…当たった…んだね…」



 落ち着きを取り戻そうとミカは深呼吸をした。


「私さ、マユミがヒロキのこと好きって聞いたときに応援しようと思ったんだ…。…私たちはもう別れるからって…」


 ミカはあたしを見ながら言った…。


「そんな…」


 思いがけないミカの告白と想いを聞いたあたしは言葉が出てこなかった…。


「だから、後はマユミの好きなようにして…。私が身勝手だってことは十分わかってる…。それじゃあ…」


 ミカはあたしに背を向けて歩き出す…。


…なんでそんな簡単に別れることが出来るの?


 そう思ったあたしは、いつの間にか声に出していた。


「ミカっ!」


 ミカは驚いてあたしを見ていた。


「…なんでそんな簡単に別れようとするの?あたしの親友はミカしかいないんだよ?」


「マユミ…」


 ミカは目に涙を浮かべていた。


「一緒にいてよ!…ミカ!」


「マユミっ!」



 そうしてあたしたちは仲直りした…。






「えっと…。付き合ってくれない?」


 あたしは翌日の放課後に河村君に呼び出されて告白された。


…あたしをフッたくせに!


「あたしは優柔不断な人は嫌いなの…。それじゃ…」


 そう言ってあたしは河村君に背を向けて歩き出した…。


 もう過去は振り返らないとでも言うように。

 そして、正門で待っていてくれたミカと一緒に並んで帰る…。


 他愛のない話をしながら…。





 その日の夜、あたしはベランダへ出て、夜空を見上げる。


 拳を空へと伸ばし、手を握る


あの星はもう二度と届かない。 しかし、違うものが手に入った…。


 親友という一番大切なものが…。


 あたしの目からは一滴の光が落ちていった…。



 翌日、いつも持っていた透明の結晶は消えていた…。


         END

 如何でしたでしょうか?

涙は出てきましたか?もし、そうであれば作者としては喜ばしいことですが…。(笑)


最後になりましたが

[流星]をお楽しみ頂き

ありがとうございました!

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