別れの瞬間
これからよろしくお願いします。
ある日デパートでのデートを終えた響と愛里は、冷たい風が吹き抜ける中の公園で向き合っていた。
響は相変わらず緊張した様子だったが、愛里からいきなり別れを宣告される。
「あなたって本当に役に立たない男だよね。」
イライラした様子で愛里は言い始めた。
「ろくにお金も貢げないし対等な関係を望むだなんて私に対して失礼だとは思わないの?」
「それに私をイライラさせたのが悪いのに、ちょっと殴られただけで痛いとかやめてくれとか言いやがって」
そして愛里はニヤニヤしながら響に向って言った。
「もう用済みの男なんていらないから別れましょう」
この言葉を聞いた瞬間に響は膝から崩れ落ち、愛里に縋るように言った。
「嘘だよな…別れるって…嘘だと言ってくれ…悪いところは全部直すからさ…」
愛里はその言葉を無視してこう続けた。
「役立たずなんて要るわけないでしょ?まぁせいぜい頑張ってね!ばいば~い」
その瞬間に二人の恋愛は幕を閉じたのだった。
響はこの現実を受け止めることができずに居た。
過ぎ去る時間の中で響はこれまでの生活を思い出していた。
彼女のために学食を奢ったり席取りをして彼女に喜んでもらおうと尽くした日々、放課後にはカフェで高いデザートなどを奢り、彼女の重い荷物まで持った帰り道、そして彼女の機嫌が良くないと殴られる日々…
これもすべて彼女に喜んでもらうためにやっていたというのに…僕の人生って何なんだろう…
そう思いながら響は重い足取りで公園を後にした。
現実世界でも愛里みたいな女性がいると思うと怖いですよね…