エピローグ―守人
砂の上に立ち、水城は朝がやって来るのを見ていた。
砂以外、何も残っていない。その中の一握りが、あの男達である事が分かった。
光の中で砂に還ってゆく姿を、崩れてゆく石を見つめながら眠りにつく彼を見た。
「…ここも緑の地だったんだね」
恐らくは、彼の持ち場だった場所。そこに彼等は還っていった。
「いつか。ここにもまた緑が生まれる。きっと大きな森になる」
日差しは穏やかにこの地を見守るだろう。悲しみが作り出した砂漠は、もうないのだから。
目を伏せた水城は、額が熱をもつのを感じた。柊が、額に触れている。
「水城」
振り返り、彼の民に微笑むその額には澄んだ緑の石。
「終わったな」
カイはその姿を眩しげに見る。
軽く上げられた掌に傷はない。浄化の光が癒してくれた。
「ここから始まるんだよ」
傍らで見上げる少年も、彼の民。
まだ沢山の民が大地と共に、彼を待っている。
いつか、新しい守人が生まれる。その時まで彼が護るべき大地は途方もなく広い。
――砂漠にも、緑は生まれるのよ。
もう帰らない人も樹々の中で、思い出として生きてゆく。
気遣うように淡く光る柊にそっと触れて、水城は歩き出す。
いつか大地に緑が溢れる時の為に、大切な人々を護ろう。
幸せを分かち合えるように、孤独に苦しまないように。
――護る力を。
それを手に入れる時間は、十分にあるから。
《 Fin 》
お付き合いありがとうございました。




