17/26
6.禍 ―1
リーン…リーン…
音は耳からではなく、空気を震わせ肌を通して彼へと伝える。
リーン…リーン…
優しい音色。穏やかで心地よい響き。
「恨み言くらい、覚悟しているよ」
弱い微笑みは、淡い光に照らされる。
光は淡い緑。白い檻の中で揺れた。
「ねえ、君は僕の大切なひとにとても似ているよ。彼女もそうしていつも笑いかけてくれたんだ」
光は揺れる。それが問いかけである事が彼には分かる。
「知りたいかい? そうだね、いつか話してあげてもいい。もう暫く、君はここにいなければならないだろうから」
リーン…リーン…
「この檻がなければ、きっと言葉も聞けると思うんだ。君が大人しくしていると約束してくれるなら、僕が一緒の時だけは自由にしてあげてもいい」
ふんわりと微笑み、彼は背を向ける。
「また来るよ。今の返事はその時に聞く」
リーン…リーン…
音色は変わらず、彼へと伝えている。
言葉では聞こえなくとも、彼には光が何を云いたいのか十分過ぎる程分かる気がしていた。




