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0.降来
少年は、じっと天を仰いでいた。
藍色に広がるそこには、ちりばめられた無数の光。
彼は佇み、待っている。
常に共に在ると知ったのはほんの幼子の頃。
姿が見えず、声も聞こえなかったが、彼は確かに彼女の存在を感じていた。
彼が嬉しいときには擽るような微笑みが、哀しい時には慰めを伝えられないもどかしさが。
確かに、彼女はそこにいた。
不意に、星の一つが輝きを増す。
ゆっくりと、ゆっくりと近づきながら光は色を帯びる。
少年は、自分だけを目指して来る透明な緑の光に両手を伸ばす。
待ちきれず、少しでも早く触れられるように。
決して触れる事の出来なかった時は今、終わりを告げる。
その生命のある限り、別れる事は二度とない。
「やっと、逢えたね」
微笑みに答えるように、光は彼の額へと宿った。
―――暖かい。
少年はそっと額に触れた。
愛しげに、自らが決めた名を告げる。
「…―――――――柊」




