表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/7

悲報その2:北条時政さん、領国統治でも下手打っていた

 突如、周囲の景色が一変してしまっていた。


「あ、あれ? またどっか別の場所に飛んだのか……?」

「どうやら、時間がかなり巻き戻ったようです。山野の配置からして……恐らく先ほど話した武蔵国(むさしのくに)でしょう」


 莉央ちゃんが秒で断定したのなら、きっとここは武蔵国なんだろう。

 さっそく辺りを見て回る事にしたのだが……なんというか、実に鎌倉武士な領国であった。


「あぁん? よくも貴様、俺ンとこの隠し田を見つけてくれちゃったよなァ?」

「ひ、ひいッ……で、でも。国司に黙って勝手に田んぼを耕すのは……よ、よくないですし……」

「木っ端役人くんさぁ……逆に考えてみなよ。隠し田なんて見つけて報告したら、面倒な事になるぜ? 俺もお咎めを受けるし、上も俺を罰して恨みを買わなきゃならん。誰も得しない、幸せにならない……この状況。すべてまーるく治めるハッピーな方法があるのさ!」

「ハッピーな方法……? 一体それは……」

「死人に口なし! 今お前の喉笛を一思いにかっさばいてやる事さァ!!」

「ギャアアアアア!?」


 入っていきなり、傍若無人なやり取りが繰り広げられている。

 てか、不正を取り締まろうとした役人が逆にイビられ、武士になぶり殺されてるんですけど。


「ここの川の水は俺たちのもんだァ! お前らには一滴たりとも分けてなんかやんねー!」

「ンだとこらァ!? 勝手に水路を変えて、自分とこの田んぼばっかり水を引きやがって!」

「うるせー文句あんのか!? おう? ()る気か? あん?」

「言わせておけばクズどもがッ! 殺ってやろうじゃあねェかァ!!」


 猫の額ほどの小さな土地や水場を巡り、血で血を洗うヤクザ的抗争が目の前で繰り広げられている。

 ……うん。何しろ鎌倉武士だもんね! 分かってたよ、ホント。


「この武蔵国(むさしのくに)は鎌倉の真北にあるため地政学的にも重要かつ、領土も広く税収も美味しい。いわゆるAクラスな領地です。

 しかしながら血の気の多い武士(ヤクザ)だらけと言われる坂東でも、トップクラスに統治が難しいと言われています。

 各地に生息する野生の武士団(ポケモン)たちによって、毎日のように田畑や水の所有権を巡って争いが起きたのです」

「一応人間なんだし、ポケモンってルビ振るのやめーや」


 直接、武士団を従えていたのは畠山重忠(はたけやましげただ)であったが、苦労は絶えなかったらしい。

 それでも、武蔵を統治する豪族・比企(ひき)一族が健在だった頃は、調整役として機能しており、どうにか被害を最小限に食い止めていたのだが……


「二代目将軍・頼家が病に倒れて政務不能になり、比企一族が滅ぼされてしまってから……武蔵守(むさしのかみ)の役職は北条時政(ときまさ)が引き継ぐ事になります。

 彼は己の実力を知らしめるため、幕府での権威を上げる点数稼ぎのため。急進的な検地や粛清を強引に断行してしまいます。

 このせいで現地の武士団には不満が溜まる一方。当然ながら実務担当の重忠さんとは、どんどん折り合いが悪くなっていったのです」

「あー、なるほど……そういう理由で重忠さんもジャマになっちまった、と」


 しかも悪い事は重なるもので、時政と重忠の関係を最悪にしてしまったのが、時政の嫡男の急死である。

 溺愛していた息子が死ぬ間際、重忠の息子と口論していたという情報を聞いた時政は、自分の息子は畠山に殺されたと早合点してしまい……「畠山滅ぼすべし、慈悲はない」と暴走してしまったのだ。


 確かにとんでもない事ばかりやらかしてる時政だが、北条氏は京の連中に犬扱いされてしまうほど身分が低かった訳で。

 そんな一族がのし上がるには、なりふりなんて構ってられなかったのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点]  相変わらずの毒舌、ありがとうございます! めっちゃ笑いました(*´∀`)  ルビの威力w
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ