エピローグ
仕事が忙しい。
最近ほとんど寝ていない。
あれから大学にはいかず、上京し、バイトをしながら漫画を描いた。
時にはくじけそうな時もあった。
でも俺はあきらめなかった。
先輩との約束は自分の生きる理由のようなものだった。
おまえ馬鹿だろ。
そんなことをいう奴もいた。
お前のことなんかもう忘れてるよ。
俺はある意味尚代先輩のことはどうでもよくなっていた。
ただ尚代先輩の気持ちを無駄にはしたくなかった。
俺は未来をみながらも、過去を見ていた。
尚代先輩の可憐な笑顔。
「おーい。べた塗っといてくれ。」
そう俺はアシスタントに言う。
一応漫画家にはなれた。
しかしこの世界は厳しい。
人気がないとやっていけない。
新人賞をとった時はとてもうれしかった。
先輩のことを思い出しながら酒を飲んだ。
きっと俺のことなんて忘れてる。
けれどあの時の約束はかなえた。
それだけでおれは満足だった。
やつれた自分の顔を鏡で見る。
だいぶ老けた。
髪はもう何か月も切ってない。
髭もそらなきゃな。
「ワタルさーん。お客さんです。」
「はいはい。今行きます。」
客室に入ると、女の自分とおなじくらいの年齢の人が座っていた。
バックには見覚えのある星のキーホルダーがさげられている。
あなただけはどんなに時が経とうと忘れない。
そのお客はあのときと同じような可憐な笑顔で俺に笑いかけた。
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