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虹の向こうへ  作者: Rred
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第一話

できるだけ読みやすくかこうと意識して書きました。

最後まで読んでくれたらうれしいです。

 オタクという言葉がある。

 俺はその言葉が嫌いだ。

 なぜなら自分がその人種にあてはまり、オタクというその人種にかなりの偏見があるからだ。

 俺はかなり服装には気を使うし、髪型もいつも美容院にいって切ってもらっている。

 でも、自分がオタクだと分かったら、相手はいつも避けていく。

 栄子もそうだった。

 あんなに自分のこと愛してると言ったくせに、オタクと分かったら違う男に乗り換える。

 


 憂鬱な午後の日だった。

 高校の授業はすべて終わり、学校附属の図書館へとむかう。

 

 なぜ図書館へ向かうのかというと、クラスの委員会決めで図書委員になったからだ。

 はっきりいってやりたくなかった。

 漫画やアニメなら興味はあるが、小説などの活字が並ぶ本を見ると目眩がし、読む気がなくなる。小説に興味がないのだ。


 図書館に着いた。

 中はなかなか広い。五十メートルプールくらいはあるだろうか。

 冷房がきいていて気持ちがいい。本が整然と並んでいる無機質なイメージが更に体をひんやりさせる。

 

 入口の近くに貸出カウンターがある。そこで受付をするのが俺の役目だ。

 

 受付のところに女の子がいる。

 いままで見たことがない子だ。

 同じ学年だろうか。

 眼鏡をかけている。

 一応挨拶をしよう。

 「こんにちは。松本亘っていいます。今日から図書委員の仕事するのでよろしくおねがいします。」

 そうわずかにうわずって俺は挨拶をした。

 「そう。」

 そう新参者がきてうれしいだとか、恥ずかしいだとかの感情がわからない調子で答えた。

 その女の子の席の隣に俺はとりあえず座る。

 仕事はどうやってするのだろうか。

 目の前にはコンピューターがある。これになにかを入力するんだな。

 コンピューターを意味もなくいじっているうちに本をもった男子が来た。

 本をとりあえずその男子からうけとり、どうするか分からなくてあたふたしてると、隣の女の子が、本を俺から取り、その本のバーコードを読み取って、コンピューターをパチパチと打った。


 「わからないんなら言って。」

 そう女の子は言った。


 わからないもなにも、初めてだからしょうがないじゃないか。


 その女の子の第一印象は、暗い、の一言だった。


 パソコンの打ち方はその女の子から教えてもらいなんとか仕事はなんとかなった。

 仕事を覚えてしまったら、あとは楽というか、暇だ。

 ずっとあまりひとがいない図書館に一時間半いることになる。

 漫画もってくればよかったな。

 

 なにもすることがない。

 

 栄子のことを考えた。

 滑らかなラインの健康的なふとももが見える、短いスカートをはいている栄子。

 ふざけてわざと怒った顔をする栄子。

 自転車で二人乗りをした時に背中に感じた生暖かい体温。

 初めてキスをした栄子の柔らかい唇。


 「終わり。」

 そう眼鏡をかけた女の子は言った。


 「え、もう終わり?」

 いつの間にか眠ってしまったようだ。少し間の抜けた声で答える。

 「鍵閉めるから出て。」

 そう言われると、俺はあわてて図書館から出た。

 図書館を出ると、夕方の涼しい夏の風が吹いていた。

 夕焼けのオレンジが顔をまぶしく照らす。

 ずっと座っていたので背中が痛い。少しのびをする。

 さて、帰るか。


 俺の通っている高校は市街地とは少し離れたところにある。

 駅から徒歩十分だ。

 しかし通称「イチョウ坂」という坂があり、登校する学生を苦しめる。

 

 そのイチョウ坂をゆっくり下る。

 そこから街が見える。

 オレンジからすこし暗くなりはじめた光を柔らかくビル群が反射する。

 

 あっ!

 虹だ!

 その街を優しくなでるかのように虹がかかっている。

 とてもきれいだ。

 人間の美しさとは違う、大自然の美しさ。

 人工的なビル群があるから、よりいっそう映えて見える。

 消えかかっているが、なにか自分に問いかけてくるかのように、はかなげだ。


 なぜか自分の未来について考えた。

 将来は漫画家になりたい。

 そう強く思っている自分がいる。

 どうせ叶わないとはわかっているものの、それが余計に自分を悩ませる。

 人生は一度きりだ。

 後悔はしたくない。

 夢を追いかけたい。

 

 そう虹に今度は自分から問いかけた。


読んでくれてありがとうございました。

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