No.5 学校
「...これ、学校?」
「...そのはずだがな」
タルヤと聡美は、呆然と立ち竦んだ。
***
果たして、ここが本当に『先生の資格を取るための』学校なのだろうか?
学校...、と言うよりは、おんぼろアパートと言った方がしっくりくる気がする。
「とっ、とりあえずサトミに任せた、俺はやることがある」
えっ、タルヤ二日酔いで散々吐いてたから、『先生の資格を取るための』学校に行くの延期になったのに、逃げるの!?チキンですか!?!?
...とか思っている間に、置いて行かれた。
「うぐぅう...タルヤめ...」
あの薄情者...。
ベネさんに看病されて、めっちゃ鼻伸ばしていたくせに...。
「あーっ、この子新しい子!?!?」
「アニカ、うるさい...。ちょっとは静かにして...」
「名前はっ!?なんて言うの!?」
おんぼろアパートらしき所から出て来た女性は、すぐにぎゅっとサトミの手を握ってそう言った。後ろからついて来た男性は、溜息をつきながらドアを閉める。
「...サ、サトミって言います...」
「サトミ!珍しい名前やね、うちはアニカ・レチェ。ねえねえ、どこ村出身?」
「日本...じゃなくて、イェゴ村です」
「イェゴ村!国境付近の村やない。疲れた?」
「え、ええ、それは勿論...」
アニカと言った女性は、訛った口調で元気良く話しかけてくる。対するサトミ、押され気味である。
「あははっ、『それは勿論』だって!!ねえねえ、聞いた、ザキッダ君!?」
「...アニカ、これ以上恥晒しはやめろ。どうせ世間知らずの田舎者だろ?」
「何でそんなこと言うのよー!!??」
...ついて行けない、んだけど。
「ごめんね、紹介遅れた、私は『ヒュッテ村』出身。んで、こっちは...」
「名乗るものでもないぞ」
「もう、何でそんな言い方しか出来ひんの!こっちはザキッダ君、『シャルル街』出身」
「はぁ...」
いきなりの二人の登場に、ついて行けない。
会話で迷子になったんだけど...あの...。
「ほら、もう少しで授業始まるよ!!行くぞぉ!!」
アニカさんに引っ張られて、ずるずると建物の中に入っていった。
***
「にしても、サトミはエリートなんやねえ」
「えっ、何でですか?」
「だって、『村』出身の人なんて少ないんよ。中々貧困から抜け出せんくて。だから、私とサトミはエリートなのです!」
「アニカ、それエリートの定義間違えてるだけだぞ」
「もぉーっ、何でそんな意地悪言うの!」
ペラペラ喋りながら、廊下を歩いて行く。薄暗い廊下にかけられた肖像画の一つ一つが怖く感じる。
「ほらっ、授業開始時間4分前!ギリギリセーフ!!」
「アウトだろ、もう講師来てんぞ」
ザキッダ君が呆れながら、席に着く。アニカさんも「何でそんなこと言うの〜」と言っていたが、着席したら静かになった。
えっ...、なんか、空気が違う。
周りに散り散りと座っている人達も、じっと教壇を見つめる中、講師が教壇に立った。
「こんにちは、今日も授業を始めます...って、あら」
眼鏡をかけた女性が、ゆっくりと聡美の方を向く、
「新しい子?名前は??」
「あ、えっと...サトミです!」
「サトミ...貴方、2日前から来ることになっていたはずよね?」
「連れが二日酔いでして。申し訳ないです」
「それなら仕方ないわね、でも次からは遅れないように」
ひぇえ、意外と厳しめだあっ...。
髪の毛も一つにキュッとまとめているし、アホ毛さえない...、しかも、めちゃくちゃ整った顔。でも、キツそうなお顔しているなぁ...。
「...今回は、特別講師が来ています。失礼の無いよう、接して下さい」
「「「!?!?!?!?」」」
教壇に立ったのは、一人の女の子である。金髪碧眼で、ふりふりしたピンク色と白色のワンピースを着こなしている。眼が、すごくキラキラ輝いていた。
「こんにちは、イオタで〜す。皆の先生だよ」
「「「...」」」
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「ほらぁ、セータちゃんも出ておいで〜」
「...こんにちは...『マリオネッタ』の、セータです...」
「あらセータちゃん、ご機嫌よう〜。私、セータちゃんのこともっと知りたいわぁ...」
「ふわっ!?」
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背景に、百合の花が飛んでいる。
「おい、待てよ...お前等、『マリオネッタ』か?」
ザキッダ君の声に、皆がはっと眼を見開く。
「...『マリオネッタ』...って、もしかして、貴方達!?!?」
ざわざわとし始める教室。皆がひそひそと何かを囁きあっている。
「...『マリオネッタ』って、一体何ですか...」
「はぁ!?お前、『マリオネッタ』も知らないのかよ?」
ザキッダ君が見下したようにそう言う。
「いいか、『マリオネッタ』って言うのはな、要するに『操り人形』だ。死者の魂を入れて作られる、生ける人形だよ。大抵は、マスターの命令に従って動く。でも、アイツラは...」
一瞬、教壇に立っている少女2人を見て黙って、そしてまた言う。
「...意志を持った『マリオネッタ』だ。噂だが、とある人は...技術がすごかった故に、意志を持った『マリオネッタ』を作れたらしい。それは、死者の魂なんかいらない。創作者が魂さえも作れたからな」
「えっ...?」
「あらあら、ご名答ですねぇ。ええ、私は意志を持った『マリオネッタ』ですよ。この眼が何よりもそれを語っていますもの」
そう言うと、コツン、とイオタは眼を叩いた。青色の眼が良い音をたてる。セータも同じように、紫色の眼を叩いた。
「...宝石の眼、ですから」
どこか空っぽな声で呟く。
「でも、皆知っていたようで...。ああ、一人を除いてですが」
「...!」
じっ、とイオタが見つめる先は、勿論私だった。イオタとセータが、一瞥を向けて怖い顔で呟く。
「「...この程度のことも分からないような人は、ここにはいりませんわ」」
こうして、怒涛の授業が始まった。
お早うございます、どうも作者ですお久しぶり。
お友達から「眠いのです」というラインが送られ続けています。おろおろしながらこれを書いております。果たして彼女は寝ずに日常生活が送れるのでしょうか、と思ったんですけど、よく考えてみれば今日は土曜日でした。今日ぐらい、「眠いのです」と言わないとやっていけないですね。
イオタちゃんはロリータです。可愛い。
この物語の核心?というかテーマ?を書きたいのですが、裏設定等が多すぎて未だ書けないです。早く書かなければ。




