No.3 歌声
「店長、お早う。今日も元気そうだね」
「ああ、ベネちゃんお早う。今日も『回復ポーション』かい?」
「んーん、今日は『酔い止めポーション』でお願い。直ぐ治るやつで」
「はいはい、ちょっと待ってね」
ベネさん、店長が鼻伸ばしてるんですけど、あまり色気を出しちゃ駄目ですよ。あと店長、その顔汚いんで止めてください。
「はいはい、ベネちゃん、『酔い止めポーション』ね。おまけで『回復ポーション』も1本入れておいたよ」
「わぁーい、ありがと店長。また来るからね」
「また来てくれよ、ベネちゃん。それじゃ、さよなら」
はぁーっ...店長、終始ベネさんを見て鼻伸ばし。
途中、店長に「お前ベネちゃんの何だよ」と言うような眼で見られた。何者もなにも、お前こそ誰だよと声を大にして言いたい。
めちゃくちゃ疲れたよ???
「...サトミ、大丈夫?これ、オマケしてくれた『回復ポーション』だけど、飲む?」
「あー...ありがとう御座います」
お前にオマケしたわけじゃない、と怒っている店長の姿が脳裏に浮かんだが、有難く頂いた。
甘い...柑橘系の、さっぱりした甘み...?
「!?」
味...変わった?
なんか...塩?しょっぱい?
「...不味い...」
「あははははっ、『回復ポーション』なんだから、そりゃあ、多少はねぇ。最初は甘いんだけど、途中で味が変わるのが、また面白いじゃない?」
...ベネさん、笑い事じゃないですよ...。
眼の奥で、ザマァミロ、と言っている店長の姿が浮かんで、なんだか癪だった。
***
「はぁーっ、これで今日の買い物おーわり。さ、宿屋に帰ろっか、サトミ」
「ちょ、ちょっと待って下さい...」
にっこりと微笑むベネさんの両腕には、買ったものが沢山ある。対するサトミは、おおよその荷物をベネさんに持ってもらいながら、息をするのも精一杯だった。
「...その、力強すぎませんか...」
「えっ、そう?強いて言えば、一応『ハンター』やってるからさ。でも、これぐらいだったら多分、10歳の男の子でも持てる量だよ」
...え、じゃあ。
また、異世界転生者である私の特定の、『ステータスダウン』ってこと...?
いや、異世界転生者なのに、なんなのこの落差!?!?
「...ベネさん、少し待っ...」
その時、わぁっ、と歓声が聞こえてきた。
声の方に振り向くと、人だかりだ出来ている。何があるんだろ...。
「皆様、お集まり頂きまして有難うございます!私の『ショー』を、どうぞ見ていってください」
『ショー』?
「...王都ってのは、出稼ぎのやつも集まるんだよ。ああやって『ショー』をしてお金を稼ぐやつも勿論いる」
「そう、なんだ...」
にしても、あのボールジャグリングはすごい。どうやって、あれをやるのだろう。
...あれ?
「ベ、ベネさん...どこですか?」
これは、もしかして。
ま、迷子?
「ど...」
どうすればいいんですかーーーーー!?
***
えーと、『ショー』に見惚れていたら、いつの間にか迷子になりました、と...。
いや、子供かな??
「ど、どうしよ...」
土地勘もないし、それ以前にここが何処かも分からないし、帰り道も知らないし。えっ、と、これ、は、どうす、れ、ば...。
「...お姉さん、一人なの」
「えっと...ちょっと困っているだけよ」
いや、大分困っているんだけど。
そう思いながら、にっこりと笑いかけて声の主を見た。瞬間、眼が大きく見開く。
その声の主は、明るい茶髪を緩く結わえた少女だった。まだ、15歳ぐらいだろうか。只、少女らしくないところと言えば、額から、顔を覆い隠す薄布を垂らしているところだった。
「困ってる...そう、私と同じ」
顔が見えたわけじゃないのに、憂いを帯びた顔に変わった気がした。
「お姉さん...助けてあげる」
「え?どうやって...」
果物を入れるような箱の上に立つと、彼女はすう、と息を吸って口を開いた。
「ゆーきやこんこ、あられやこんこ、ふってもふってもまだふりやまぬ」
...綺麗。
声が、透き通っている。
その歌声につられて、他の人達も彼女の周りを囲み始めた。
「わぁ...」
彼女が、周りの手拍子と一緒に歌い続ける。いーぬはよろこび庭かけまわり、と歌って、最後に息を吸うと歌を終わらせる。
「ねーこはこたつで丸くなる...」
「サトミ!!!」
彼女が歌い終わったと同時に、ベネさんが歩いてきた。
「歌声につられたら、サトミがいるものだから。ごめんね、迷子にさせちゃって。さ、帰りましょ」
「あ...はい」
ベネさんがにっこりと笑って、「お礼だけ言って来てもいいのよ」と言った。バ、バレていたのか...。彼女に、お礼を言いたいな、と思っていたのだ、丁度。
「あのッ...ありがとうございます、私、迷子だっ...」
「見つかって、良かったね。さようなら、また会いましょう」
去り際、彼女の薄布が一瞬、目元まで上がった気がした。
明るい、緑色の眼が見えた。
***
あれ、そう言えば...。
なんか、違和感があるのだけれど...。
前の回で散々『連続投稿頑張ってる』オーラを出していたくせに、書いていませんでした、どうも作者ですお久しゅう。
ベネさんの服は、チラリズムを散りばめた服...と勝手に想像しています。上半身は防御力高めでも、下半身は着てるようで薄い、みたいな...?
そして、緑色の瞳の少女、一体何なんでしょうね。薄布なんか被っちゃって、暑いの我慢出来ない作者には生き地獄を想像させる気がします。それをキャラにさせるなんてなんて、お前どんな薄情ものなんだよ、って?
ツッコまないでください...。
そう言えば、今日靴紐を踏んで盛大に転びました。皆様、靴紐はちゃんと結びましょう。この後書きもたまには皆様の役に立ちますね(?)




