No.27 決断
「...え...何、話って」
「...」
え、何で静寂?沈黙??
「...その、王都に行かないかい」
「えっ?」
***
王都って、あのタルヤが毎回行く所?何で態々...?
「何で態々、そこに行くの?」
だって、此処で貧困問題を解決するんだったら、そんなことは必要無いし。
この村でしたいことだって、しなきゃいけないことだって、沢山あるのに。
「...お前を、我々で言う異世界、つまりお前の元の世界に戻すからだ」
「...あ、そ、そっか」
ドクン、と心臓が跳ねた気がした。予想は、していたのかもしれない。私は只の転生者であり、村にはいなくてもいい存在。今は、私がいなくても、レーナちゃんとかナウット君とか、しっかり者だって沢山いる。
でも、何かもやもやする...。
...もしかして、私帰りたくない、って思っている?
「で、でも、何で王都に??」
「王都には、俺よりも優れた召喚師が沢山いるからな。元は俺の責任と『召喚魔法』の不出来から出来た問題だ、それぐらいは俺も頭を下げて手伝いを請おう」
...でも、でも。
「そんなにいきなり行ったら、相手側に悪いんじゃ?子供達にはなんて言えばいいの??」
「その為に、何回も王都に行って準備をしていたんだよ。あと、子供達にはショックなことだと思うから、名目上は『先生になる資格を取りに』王都へ勉強をしに行ったとでも言っておく。実際、一応もう『勉強所』に申し込みはしてある」
でも、私、まだやること沢山あるのに...!!
村の可愛い子供達や、その親の為に、村の発展の為に、沢山しなければいけないことがあるんだよ。それが、終わってからでも良いんじゃないの。
「...嫌だ、よ、タルヤ」
だって...。
「私、まだ、あの子達と一緒にいたい、よ...」
それに、私は、転生する時に、車に轢かれた。もしかしたら、私の世界には...もう、私さえいないかも知れないのに。
まだ、死にたくない...。
「...サトミ...」
「ナウット!?」
「ナウット君!?」
カタン、と音がして、部屋から出て来たのはナウット君。どこか後ろめたそうな顔をしているということは、今までの会話を聞いていたということだろうか。
「...ごめん、アヘル子爵が、急用があるからって帰ったよ、って伝えたくて、夜だけどタルヤ様の家に行ったら、話し声が聞こえて」
「ううん、大丈夫だよ」
にっこりと笑って応答した。上手く、笑えた気がした。
「...サトミ...もう、帰っちゃうの?」
ナウット君は、抑揚のない声でそう続けた。眼は、此方を真っ直ぐと見据えて、見ていて良心が咎められるような感じがした。
「う、うん、私、もう帰るんだよ」
だって、私此処の世界の人じゃないもん、と作り笑いをした。
そう、忘れていたけど、私は只の異世界転生者だ。この村の人じゃない。
「でも、まだ村でやることは沢山ある!だから、サトミっ...」
「ナウット、彼女だって元々は来たくて来たわけじゃないんだ」
タルヤの声に、黙るナウット君。
「...私ねぇ、ナウット君と会えて、良かったよ」
泣きそうになりかけているナウット君の瞳を覗き込むと、聡美はそう言った。
本心だよ、本当だよ、伝わって。
「...なんで、サトミまで泣きそうなんだ」
「...え?」
慌てて頬を触ると、涙の線が。
な、なんで、私、泣いて...???
「あっ、あははははっ、ごめん、つい涙が」
だって。
私、この村で沢山あって、全部楽しかったんだもん。ナウット君と出会った時も、あの憎らしい『メイコスリ』も、山菜採集も、サロネちゃんも。
全部全部。
「楽しかった...んだもん...」
「サトミ...」
「嫌だよ、まだ帰りたくないよぉぉぉ」
泣いたら、一気に全部本音が出た。うん、まだ帰りたくない。まだ、まだこの村にいたかった。嘘じゃない、建前じゃない、本当に、心からいたいって、そう思ったんだ。
「サトミ...でも、きっと家族も心配しているだろう」
「そう...かもしれないけど」
私は、その世界では多分死んでいる。
「なぁ、サトミ、最初に俺に、りんごの数え方、教えてくれたよな。あと、それから『二次関数』とか、『部分分数分解』とか、色々教えてもらったな」
...?ナウット君、いきなり何を言って...?
「だから、サトミは元の世界に帰って、大丈夫だよ。俺、多分レーナ達も、サトミが教えてくれたことは、ずっと忘れないからさ」
ナウット君が、にっこりと笑った。
泣いていないように、泣くところなど見せまいと強気になって。
じゃあ、私がすべきこと、は...。
「...うん、じゃあ、私『王都』に行く」
微笑んで、そう言った。
いずれにせよ、別れの時はいつか来るんだ。
「私、『王都』に行くよ」
サボっていたわけじゃないです、どうも作者です久し振り!!!
サボっていたわけじゃないです(二回目)、中々書きづらい話で、「うーん、これも違うな」とか修正しながら書いていたんです汗汗
言い訳?
あっ、えっと、すいません...。
大事な話、いつかは来る別れですね!!
聡美さん、「シニタクナーイ」と「ワカレタクナーイ」で帰ることを拒んでいましたが、結局ナウット君に背中を押されて決断。
友達に書いている時に、「これもう終わるんじゃね?」などと言われましたが、それは秘密です!!!次の話で分かります!!(ためるタイプ)
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...とか言いつつ、読者様が「終わりならいいや」と離れて欲しくないので言っておきます!
『新章始まります(^^)』
わわわ、ネタバレしてごめんなさーい!!




