No.26 話
仲間なぞ、どうでも良いはずだった。
それなのに、此奴等は助け合って、それでも互いに認め合って、宝石みたいに眩く輝いて生活している。己の贅沢品に囲まれた生活より、此方の土臭いはずの生活の方が、何で...。
***
「...そうか、俺は、今まで...」
はらり、と涙が一滴、彼の頬を滑り落ちた。紅茶を入れたカップを持っている彼の手が、カタカタと震える。
...????????
えっ、何でいきなり泣いてるの?????
何か皆、納得したように頷いているし。
...も、もしかしてっ、状況出来てないの、私だけ?
「アヘル子爵、大丈夫だよ、もう悩まなくても良いからさ」
「そうなの、私達が何時でも美味しい紅茶作ってあげるなの!」
「...ありがとう」
...???
......??????
.........?????????
えっ、なんか感動のシーンみたいになってるけど。
私だけ、仲間外れ...??
「あ、あのぉ、その、状況が把握出来ないんですが...」
しーん、と黙る一同。
その後、皆一斉に笑う。
「皆この状況で、それは無いなの!サトミは、鈍いなの!!」
「サトミ...幾ら疎いからと言っても...子供の扱い方は上手いのに...」
がーん。な、何に疎いって言うの?
「...サトミ、空気読んでくれ...」
ナ、ナウット君まで...!?
紅茶を持っていたアヘル子爵は、呆れたりしている子供達と違って、ゆっくり紅茶を飲んでいた。レモンパイを食べて、紅茶を飲んで、時折ふわっと微笑む。
「...大事なことを、君達には教えてもらったよ」
「えっ、なんて言いました?」
「...いいや、何も。これから、俺の...いや、僕の昔話を聞いてくれるかい」
にっこりと、柔らかい笑みを浮かべながら、アヘル子爵はそう言って、彼の昔話を紡いだ。
***
「...というわけだよ」
だぱぁ、と涙が溢れ出た。
アヘルさん、そんな過去を持っていたんだね。お父さん、めちゃくちゃ怖かったんだね。じじいとか言って、ごめんなさい。
「え、何で君達そんなに泣いているんだ」
「だってぇ...アヘルさんがぁっっ...そんな過去を持っていたとは...ひっく...思わなかった...んですもの」
大粒の涙を流しながらそう言ったレーナちゃん、涙でお顔ぐずぐず。
「レーナ、そんなに泣くなよ...」
「そうだよ、レーナ...」
そう言うアラン君あんどナウット君、めちゃくちゃ泣いているじゃないですか。もう、人のこと言えないじゃん。
「...泣かれたら、反応に困るのだが...」
「アヘルさんっ...一緒に、いるからね。私達は、アヘルさんの、味方だよ...!」
アヘル子爵に、抱き着いてそう言うレーナちゃん。レーナちゃんの発言に、虚をつかれたように黙ったアヘル子爵は、一瞬黙った後に、お日様みたいに明るく笑って、「ありがとう...」と呟いた。
***
「アヘルさん、絵が上手いんだね!」
「猫の絵も描いてー!」
アヘル子爵に、わらわらと集まる子供達。
すごく微笑ましいんだけど、お願い、今はそれしないで。
だって、だって...!!
「...これは、一体どういうことだ」
「はい、まじでごめんなさい、もうしません」
タルヤが、帰還したからである。
眼の前に広がる茶色には、妙な既視感がある。デジャヴである。そう、前にもこんなことがあった。あの時も、子供達の前で土下座して、プライドが削られたなぁ...。
「...あのなぁ、サトミ、俺はアヘル子爵を丁重に扱えと言ったんだ。ちゃんと丁重に扱ったか?」
「そっ、それは勿論、もう丁重すぎて高級ホテルか、って具合に」
「「「アヘルさん、高い高いして!」」」
「...」
ああっ、純粋な子供達。
お願いです、一生のお願いです、後生だからタルヤの前でアヘルさんにその態度は止めてください。まじで、お願いします。
「...ほぉーん、丁重ねぇ...」
「あっ、あははははっ、これ、私の世界流の丁重、って言う?やつでさ...」
「サトミィィィィィィ!!あれ程言ったのに!!!」
ひぇぇぇ、ごめんっ、ごめんなさいってばぁ!!
「タルヤ...そんなに怒らなくても良いじゃないか」
「アヘル子爵...」
「...アヘルさん、で良いかな。子爵と呼ばれる程ではないよ」
「!?」
えっ、いや、タルヤ、こっち見ないでよ。
ていうか、アヘルさんに指ささないでよ、丁重に扱うんでしょ。
「...まあ、アヘル子...いや、アヘルさんに免じて、許そう」
困ったように、タルヤはそう呟いた。
***
「...サトミ、まだ起きていたのか」
「ああ、うん、明日の『学校』で何を教えようか、考えていたの」
夜、小さな蝋燭の光の下で考えていると、タルヤが来てそう言った。タルヤが家にいるなんて、久し振りだ。いや、まあ此処タルヤの家ではあるんだけど。
「本当に、此処に来てから、色んなことがあったなぁ...」
レーナちゃんとか、ナウット君とか、キッシュ君とか、可愛い子供達にも沢山出会えたし、アヘル子爵...いや、アヘルさんみたいに悩んでいる人とも交流出来るし。
イェゴ村を貧困から救う為に、沢山したなぁ...。
って、まだまだすること盛り沢山だけどね。頑張らないと!
「そういえば、アヘル子爵...いや、アヘルさんは明日、家に帰るって。帰ってやらなければいけないことが出来たらしい、多分、慈善活動の類だな」
「アヘルさんが?すっごい、流石子供達の癒しの力だねぇ」
「ははは、そうか」
「うん、また引き続き、イェゴ村を貧困から救う為、頑張っていこうね」
「サトミ...そのことなんだけど」
「何、タルヤ?」
「...話があるんだ」
真剣な面持ちをしたタルヤは、一言そう言った。
1日ぶりですね、どうも作者です。
アヘル子爵、すっかり浄化されてましたね。恐るべし子供達。
そして、タルヤは何だか、真剣な話があるそうです。何だか気になりますけど、それはまた次の話で...。
***
3,000pv突破!今日突破していました。
お友達が言うには、「これはアドバイスをあげ続けていた私のお陰だ」等と言っておりますが、これは言うまでもなく読者様のお陰です。あ、お友達もちょっと入っていますね。
私のお陰では、どうやらないようです...笑
何時もありがとうございます。




