閑話 虹
「...うあああっ...」
タルヤの家を飛び出した後、涙が出てきた。
初めての、恋だった。初めての、失恋だった。
本当に、本当に、好きだった。
雨が地面に水溜りをつくる。空から降ってくる雨が、水の大粒が頬を伝って靴にぽたり、と落ちた。私は、そのまま其処にぺたり、と座り込んだ。
「...やっぱり、無理だった、よぉ...えへへぇ...」
サトミを見ている時の、ナウットの視線を、自分は知っていたはずだ。
知っていた上で、それを知らん振りして告白しようとしたのは自分だ。こんなの、『道化』以外なにものでもないよ...。
サトミが前に言っていた、『道化』という言葉が思い浮かぶ。
自分の思想だけで動く、本当に馬鹿な人のことを指す。
でも、サトミが相手なら、良かった。
だって、サトミは優しいし、綺麗だし、料理も上手いし、頭だって良い。
勉強家で、常に面白くって、それで、それで...。
「...ナウットが、幸せなら私はもういいよ...」
好きな人が、彼の好きな人と仲良くなれますように。
そう虚しい願い事をしながら、私はふっと微笑んだ。
***
「...おい...レーナ?」
...?キッシュ?
「起きたか?頭痛いだろ、じっとしてろ」
ゆらゆら地面が揺れているような感覚。ズキズキ痛い頭。
やがて周りがある程度見えてくると、自分の置かれた状況に気付いた。
「...キッシュ、下ろしてよ、重いでしょ」
「おっ、重くねぇよ!!」
どうやら、おんぶされているらしい。
重くないと言われたところで、今の状況では嬉しさも半減だ。というか、なんで其処で張り合うように声を上げるのか??
「...重くねぇから、ちょっとだけおんぶされてろよ」
「...うん、分かった」
何だか、キッシュの雰囲気が違った。
何時もヘラヘラしているのに、今日はちょっと...真剣?
「あのなぁ、レーナ!!!」
「!?」
「俺、お前の良い所、沢山知ってるぞ!頭良くて、優しくて、えっと...可愛い...だろ!!!」
「えっ、何を言って」
「だからぁっっ!!!!」
大きな声で、キッシュがそう叫んで、続ける。
「お前、我慢する必要、ねぇんだぞ。泣きたいなら、泣けばいいし、愚痴を言いたいんなら言えばいいんだ!」
...キッシュ...。
「うぁっ...うわぁぁん!!頑張った...頑張った...のに...」
「...ああ、そうだな」
キッシュが、にっこりと微笑んだ。
「お前は、よく頑張ったよ」
...あれ?
何だか...ドキドキ、してる?
何で??
き、気の所為だよね、うん。
...絶対、違うもん。
キッシュの背中に揺られていると、何時の間にか雨は止んで、空に虹がかかっていた。
はーいっ、キッシュ君とレーナちゃん編は一旦終わりです!
いやぁ、更新遅れてごめんなさい。
新しい新規小説を書いていまして、あ、『灯した光を断ち切って』も読んでみて下さいね。(逞しい宣伝根性)
次は、閑話か本編か、どちらを書こうかなぁ...。




