閑話 告白
これはちょっと遡って、キッシュ君がタルヤの家に着く少し前の話。
「...サトミ、もう一回言って」
「えっ、あの、ほら、告白する前に、練習をするのはどう?」
「はぇぇぇぇぇぇぇぇぇあ!?」
サトミ、な、何言って...こっ、こっ、告白?練習??
「ほらっ、告白って言葉に過剰反応しているようじゃ、告白なんて夢のまた夢の話でしょっ!?」
うっ、ま、まあ、た、確かに...!?
そうかも知れない、だって告白のことを考えると、あ、熱いし...恥ずかしいし。
「ナウット...私、貴方が好き...です!」
ガタンっ、と音がして、ぱっと辺りを見回すと、サトミが「うん、どうしたの?」とにっこり笑った。
あれ、なんか、今...?
「音しなかった?」
「へ、なんの音がした?」
??サトミが聞こえなかったってことは、空耳だろうか。まあ、良いや。
「...で、ど、どぉ?」
「...うんっ、良いと思う!本番もそう言ったら、バッチリだよ!」
「そ、そう?やったぁぁ!」
「...うん、頑張ってね、レーナちゃん」
...ありがとう、サトミ。
頑張るよ、私。
大丈夫、大丈夫。
きっと、思いは伝わるよ、レーナ、だから大丈夫。
落ち着いて、落ち着いて、ナウットに...。
今日こそ、思いを伝えるんだ。
***
「作戦をまず伝えるね」
そうサトミが5分前に言った事を、何回も頭の中で反芻する。
「まず...」
サトミがナウットをタルヤ様の家に呼び出す。それから、サトミは急用があるからちょっと家で待っていて、と言って家の中に隠れる。其処で、私が出て来る。
「それで、あとはナウット君に思いを伝える...」
自分でそう呟いて、その後に大丈夫だと言い聞かせる。
その時、ガタンっ、と音がした。
遠くから、サトミの声も聞こえる。きっと、サトミがナウットを呼び出したのだろう、まずは第1段階クリア。
「...じゃあ、ナウット君、ちょっとここで待っててね」
サトミのくぐもった声が聞こえた。ナウットも、頷いて「うん」と言っている。そして、サトミが...隠れる。
よし、今だレーナ、頑張れ。
「...ナウット」
「レーナ?レーナもサトミに会いに来たのか?」
太陽の光のように、優しく柔らかく微笑むナウット。やっぱり、かっこいいし、優しかった。好きだなぁ、と想いが募る。
一瞬目を逸らした後、続けようと口を開いた。
「あっ、あのねっ、ナウット...」
見上げた瞬間、固まる。
ナウットの視線は、違うところにあった。視線を追った先には、隠れたつもりでいるけれど、マル見えなサトミの姿が。
頬を染めて、熱視線を向けているナウット。
その視線が何を意味するか、自分は分かっている。
だって、自分もそれをナウットに向けるのだから。
そっかぁ、ナウットは、サトミのことが...。
「...やっぱり、何でもないっ。私、用事あるから帰るね!」
「?そうか、気を付けて帰るんだぞ」
ナウットは優しい。でも、それは誰にでもだ。
ナウットが、心からああいう風に視線を向けれるのは、きっとサトミだけなのだ。
「...ナウット、早くサトミに告白しなよ」
去り際、ボソリと彼に呟くと、彼は初めて顔を赤くさせた。ふふふっ、やっと動揺した顔が見れた、と笑って、帰路に着く。
...初めての恋と、初めての失恋だった。
遅くなってすみませんー!色々忙しかったので...(新規小説を書く方に夢中になったりとか)
レーナちゃん、ついに思いを伝えないまま終わっちゃいましたね。ナウット君の視線が分かりやすすぎたんです、きっと。
あのガタンっ、って音がしている時に、実はキッシュ君がいたというのを分かりにくかったので、補足として入れておきます(?)
次も閑話で行く予定です。




