No.19 住民決定
えーっと、若い女性が現れて、鞭打ちをして、電気を浴びせられてにこにこ興奮しながら帰っていきましたと。
「...何、今の...」
***
ヘタリ、と崩れるように座り込んだ聡美は、そう呟いた。眼の奥に、まだあの若い女性の興奮した顔が残っている。
「あっ、ライ君...大丈夫!?」
ライ君の方を振り向くと、ライ君はにっこりと微笑んで、大丈夫だよ、と伝えるような仕草をした。力弱い雄叫びまでしてくれる。やっぱり、ちょっと無理しているんだろな...。
「みゃぁーっ!!」
「あっ、タルヤの猫ちゃん!大活躍だよ、本当にありがとう!!」
「...みゃぁ」
あれっ、黙っちゃった!?
何か、いけないこと言っちゃった!?!?
「サトミ...多分、照れているんだよ、それ」
「ナ、ナウット君?て、照れてんの?タルヤの猫が?毎回ビリビリしてくるのに?そ、そんなわけ...」
「...多分、それ照れてるよ」
は、はぇ!?
サロネちゃんまで!?猫をみると、真っ赤な顔をしてそっぽを向いている。ま、まさか、本当に照れているの?
へぇー、め、珍しい...。
なんか、いっつも生意気だけど、今日は可愛い...かも。
「...ねぇ、サトミ」
「ん、どうしたの、サロネちゃん」
サロネちゃんが、深刻そうな顔をして、静かに切り出す。にっこりと笑って返事をすると、尚更言い難そうな顔をされた。一体、何を言いたいのだろう。
「あの、ねっ...わ、私、帰った方が良いのかなぁ」
「...え?」
「だ、だって、私がいても、サトミとか村の人達を怖がらせるだけだし、お姉様、怖いのよ。お兄様達も怖いし、この村さえ危なくなるの。だ、だからッ...」
ふるふると、肩を震わせながらそう呟やく。
でも、サロネちゃん、本当は...。
「まだ、いたいんでしょ、この村に」
「えっ、何で...」
...バレバレだよ、サロネちゃん。
「大丈夫だよ、お姉さんだってお兄さんだって、そんな乱暴しないよ。サロネちゃん、此処にいて大丈夫だよ」
「...サトミ...」
何かを言いかけたサロネちゃんは、ぎゅっと手を握ると、「ありがとう、サトミ!」と笑った。
***
「てなわけでー、サロネちゃんは学校に住みまーす!!!」
「「「ずりィィィィィッッ!!」」」
男の子達、大ブーイング。
彼等曰く、サロネちゃんが住むのなら俺等も住ませろ、ということらしい。いや、まあ駄目だけど、普通に。
「おいっ、そもそもソイツめちゃくちゃ悪口言ってたじゃねぇか!そんな奴住ませて...」
「えっと、そのっ...」
サロネちゃんに向けて、そう叫んだ男の子に対して、サロネちゃんが口を開く。
「その、本当にその節はごめんなさい。私、すっごく不安で...強がっていたの、本当に、ごめんなさい」
「...お、おう」
しおらしくなったサロネちゃんを許したのか、はたまた違う理由か、その男の子はすごすごと下がっていった。鼻が伸びているんですけど。
サロネちゃん、なんて罪な女。
「他に反論ある人ー!挙手ーッ!!!」
しーん。
「じゃあ、サロネちゃんは今日から此処の村民でーす!!」
「「「わぁぁぁぁぁぁっ、やったぁぁ!!!」」」
叫ぶ女の子、男の子達。やっぱり、何だかんだ言いながら、住んで欲しかったんじゃん、もう。
「良かったねぇ、サロネちゃん」
「あっ...ルイス君、うん、ありがとう」
にっこりと笑うルイス君に、ちょっと緊張した面持ちでそう返すサロネちゃん。
あれ、なんか...。
既視感が...。
「サロネちゃん、良かったねぇ、春が来たね」
「?サトミ?季節はまだ変わっていないけれど...」
純粋な顔でそう言われる中、サロネちゃんの恋心が少しでも進展しますように、と祈る私なのであった。
次は、閑話祭りです!!!
レーナちゃん、キッシュ君の閑話を終わらせて、それからサロネちゃんの閑話もっ...ああっ、やっと私の時代が到来したっ...(違う)
サロネちゃん、何やら可愛い乙女になったようで、にこにこと笑って見つめる主人公、まるで近所のおばさんのよう。
主人公の恋が枯れているので書きにくいです。も、元々独身なので、ね...(汗)
あら、こんなこと言っちゃうと怒られそう。此処らへんでさようなら、また次の話で。




