表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/50

No.18 長女

「サトミ、これって『アケビ』じゃないこと!?」


てってこてってこ走って来て、スチャッと取り出したのはサロネちゃん。昨日泣いてから、少し性格が大人しくなったというか...素直になったっぽい。


「うん、そうだよ!『学校』に帰ったら、皆で食べようねぇ」


にっこりと笑うサロネちゃん。か、可愛い...。


「サロネちゃん、あの、聞きたいことが...」


「ぎゃおおおおおおおおおん!!」

「「「!?」」」


えっ、何ッ...!?


猛獣?いや、でも此処らへん一帯のは全部手懐けた、仲良くしている。...違う所から来た猛獣?でも『メイコスリ』が鳴っていないし...。


待って、『メイコスリ』が鳴らない条件って...。


「ルイス君、サロネちゃんを『学校』に避難させて!!」


『メイコスリ』は、人が近づいた時には鳴らせないようにしてある。そして、あの猛獣...多分、ライ君のあの鳴き声は...。


自分の家は、代々続くハンターの家、そんなことをサロネちゃんは言っていた。


「全く、猛獣達が多いんだから。駆除を怠ってるわねぇ...この下賤村は」

「...ハンター...」


若い女性が、ライ君の上に立って、構えていた鞭をしまった。



***



「...足、退けて下さい」

「あら...足置きとして丁度良いのだから、別に良いでしょう」


「...足置き...!?」


怒りが、沸々と込み上げてくる。

この人、動物に対して、『足置き』呼ばわりした?


「ええ、そうよぉ、本当は鞭打ちで鳴き叫ぶ姿が見たいのだけれど」


鞭でパシッ、と下に踏んでいる躰を打って、彼女は更に続ける。


「鳴き叫んで、許しを乞う猛獣程、情けなさが極まって、これまた興奮するでしょう?」


ぺろり、と鞭を舐めると、はぁはぁ息も荒々しげにそう呟いた。顔が真っ赤になっていて、息も荒い...。まさか、本当に興奮しているの?


ゾッとした。


この人...人として最悪だ。


「それなのにこの猛獣ったら、直ぐに気絶しちゃって。全く楽しみがいが無かったわ、此処に来て損した」


そう台詞を吐くと、地面にふわり、と降り立った。持っている剣やら、装飾品やらが、彼女が動く度にシャラシャラ揺れる。どれも豪華なものではあるが...ある種の空っぽさを感じる。


「さてと...一応、モルダッダ家の長女として、すべきことはしなければいけないの。サロネを返して頂戴ね」

「...サロネちゃんは、貴方と帰りたがってないです」

「そんなもの気にしないわ。あの出来損ないでも、政略結婚位は出来る筈だもの。家計の足しにはなるから、安心して頂戴ね、丁重に()()()()()扱うわ」


「...道具?」


道具?道具?


笑って、泣いて、ちゃんと感情のある子なのに、人間なのに、それを道具?素直で、優しい子なのに、家のことであんなに悩んでいた子なのに...。


それを道具って言うの?


「お引き取り下さい、此処は貴方が来ていい場所じゃありません」

「ええ、此処がいかに下賤者の巣窟かは分かっているわ。さっさとサロネを出してくれたら帰るわよぉ」


...下賤者ッ...?


「そ・れ・と・も」


にやぁ、っと悪い笑みを浮かべて、鞭を撫でる。


「貴方も、酷い目に逢いたいのかしらね?」


クスクス笑うと、彼女は鞭を構えて、にっこりと微笑んだ。



***



「...ッ...」


どう、しよう...。


今私が出来る、最善手を考えろ...何だ?


ベア君やアナちゃんに頼んで追い出してもらう?それとも...自分の、『魔法』が出来るかどうかにかけてみる?


いや、駄目だ。


今は、そんなこと悠長に出来るわけない。何か、違う手を...。でも、なにを、どうやって...!?


考えていると、パリパリッ、と火花が散る音が何処からともなく聞こえてきた。段々と、強烈な電気をそれは帯びてくる。


...『電気魔法』?


「...タルヤの、猫...?」

「みゃぁー」


何やらご機嫌斜めなタルヤの猫は、不機嫌そうに尾っぽを揺らしながら、『電気魔法』を発し続けた。どうやら、あの女性はいけ好かない、ということは感じているらしい。


「猫ちゃん、もっとパリパリして!!」


猫に頼るのはちょっとあれだけど...でも、今は取り敢えず、彼女を追い出さなきゃ!!


「ひぃんっ!?」


...効いている?何だか、少し前のめりになって来ている。

これ以上は、人間的に保たないから、もう止めに...。


「猫ちゃん、そろそろ...」

「イイッ、良いわァ、もっとパリパリしてぇ!!」


!?!?

ヒッ...この人...。


きょ、極度の、へ、変態ッ...。


「あっはぁ...良い刺激だわぁ...しょうがないわね、今回はこれに免じて許すわぁッ...」


うっとりとした、素敵なお顔でそう言うと、モルダッダ家の長女は聡美の方に歩み寄り、「次はどんな刺激を与えてくれるのぉ?」とゆっくり聞いた。


その後、ふふふっ、と息が抜けたように笑うと、「じゃあさようならっ、サロネをよろしくね!」と去って行った。


聡美はその場に、呆然として立ち竦んだ。

モルダッダ家の長女は、モルダッダ・サロメさんと言います。ちなみに、次女はサロネの双子の片割れで、名前はモルダッダ・サロナちゃんです。


長女さんは、親が厳しいお家柄で生きていく内に、頭のネジが外れたのか、何だか良くない方に成長しちゃいまして、今のMだかSだか分からない性格に...。


作者はMよりだと思っています。(個人的見解)


なんか、変な嗜好の人が多すぎる気が...気の所為かな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ