No.17 有罪判決
いた、いた、いたっ...!!
「掴まって、早く!!!」
差し伸べた手に、ぎゅっと掴まれる感覚を覚える。
そのまま、ぐいっと引き寄せると、ライ君が彼女を乗せやすいように躰の向きを変えた。サロネちゃんを、私の前に乗せる。
「ライ君、このまま走って東の森を抜けて!!」
段々点になってくる狼を見ていると、前にいる小さな者が、ぎゅっと手を掴んでいるような温かさがした。
***
「...つ、着いたっ...」
正直、日の出前に帰れるかどうか、心配だったんだけど。
ま、ちょっとオーバーしちゃったけど、でも朝には帰ってこれたし、ば、万事おっけー?
「あーっ、そうだ、サロネちゃん!」
ライ君の鬣を、おずおずと撫でていたサロネちゃんが、ちょっとびくり、と躰を震わせる。
「サロネちゃん、駄目だよ、東の森に行ったら!危なかったんだよ、喰われたらどうするの!」
ちょっと厳し目に叱っちゃった、けど。
でも、本当に、危なかったんだもん!もし狼に喰われちゃったら、大事どころでは済まなかったんだから!!
「ごっ...ごめんなっ...さい」
あ、あれっ...?
な、なんか、しおらしくなっている?
ああああっ、待って、サロネちゃん!
泣かせたいわけじゃないの!
えっと、な、なんて言えば...。
「...分かれば良いんだよ、もう大丈夫だからね」
控えめにハグをして、頭を撫でる。うん、こうしたら落ち着くもんね、泣いている時の人肌って、すごく落ち着くもの。
ぎゅ、っと袖を掴むサロネちゃん。
「ど、どうしたの?」
「あっ、あのねっ...その、あの」
え、だ、駄目だった!?ハグってもしかして、駄目だった!?
「...も、もうちょっと、頭撫でて欲しい...」
ぎゅんっ、って何かが加速した気がする...んだけど。
かっ、可愛すぎですか!?無い母性が覚醒しそうなんですけどぉ!?
「うん、良いよ」
はぁぁ~、やっぱり、ちっちゃい子って可愛いよなぁ...。
元は悪口ばっかり言っていた子だけあって、こういう変化って、やっぱり嬉しかったりもするんだよね。
...自分が死ななければ、こんな経験も、普通の世界で出来たのかな...。
私、一応...死んでいるんだし。
でも、じゃあ、どうして...。
「...何が良いって、サトミぃ〜?」
あっ...。
「ナ、ナウット君...!」
後ろにいる、明らかに運動して疲れたライ君に、サトミが抱擁している、昨日何処かへ行ったはずのサロネちゃん。
これでナウット君が、何かを悟ったのは言うまでもないだろう。
***
「えーっと、状況を整理します」
ナウット君の響き渡る声。眼の前にいる自分は土下座をして、上から降る声を聞く。くっ、まい・ぷらいどが何処かへ行きそうだッ...。
「サトミは、頭を負傷しているのにも関わらず、モルダッダ家の少女を探す為家を無断で出て行ったと。皆、どう思う?」
「「「ゆーざいはんけつでーす!」」」
ね、ねぇ皆、どうして有罪判決とかいう言葉知っているわけぇ!?
ナ、ナウット君だな、教えたなさては!!
「じゃあ、罰を言い渡します」
はえええええええ、やめてぇえええええ!!
「サトミに、キャラメルを1ヶ月間作ってもらいます!」
「「「さんせーいっ!」」」
...は、はえ?
「えっ、それだけ?」
「まだ、他にも何か欲しいのか?」
まっ、まるで私がMみたいに...違います!!
微笑んでいるナウット君。あ、もしかして...。
私に気を使わせないように、言ってくれたの?
「...ありがとう、ナウット君」
「な、何だよ、まだ罰が必要なのか?」
顔を真っ赤にさせてそう言う、ナウット君。
いえ、それは結構です。
「...あっ、あのっ」
か細い、躊躇いがちな可愛い声。
昨日、悪口ばっかり言っていた彼女の声とは違って、なんだか、此方の方がしっくりくる声だった。声の主が、口を開く。
「わ...悪口、沢山言って、傷つけてごめんなさい。わ、私...その、すごく...羨ましかったの」
静寂の中、静かに彼女が言葉を紡ぐ。
「お母様も、お父様も、私の家族は皆...私のことを、必要ともしていないのに、家族でも無いのに仲良くしている...から」
「「「...」」」
「だっ、だからっ、その、私、あの」
「うんうん、辛かったね」
ルイス君が、何処かから取ってきたキャラメルを一欠片、サロネちゃんの口に入れる。にっこりと笑うと、「言いたくない辛いことまでは、言わなくても良いんだよ」とサロネちゃんの頭を撫でた。
「そうだよ、お前が言いたくないことは、今言わなくても良いんだぞ!」
「何時か、言える時が来たら言ってくれたら良いなの!」
ルイス君に続いてそう言う皆。
「...何でッ...私、沢山傷つかせてっ」
「サロネちゃん、皆もう傷ついていないから大丈夫だよ」
微笑みかけると、サロネちゃんの顔から涙がぽろぽろ。
「...うん、あ...ありがとぉ」
サロネちゃんが微笑んで、そう言った。
先日、友達に「もっと情景描写しろ分かりづらい」とめちゃくちゃ言われた作者です、どうも。
サロネちゃんのお父さんお母さんって一体どんなん何でしょうねー?
...書くことが思いつかないので、此処らへんでさ、さようなら(ごめんなさい)




