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閑話 キッシュ君再び

「...レーナって、ナウットのことが...」


好きなのかなぁ...。


家の天井を見ながら、そう呟くと、何だか自分に嫌気が差してきた。腕をベッドに置いて、考える。


...なんで、レーナは、ナウットのことを...。


いや、確かにナウットは良い奴だ。あんな口調だけど、何時も俺等のことを考えてくれていて、それでいて凄く優しい。


でも...ナウットよりも、俺の方がレーナと一緒にいるのに、昔からの幼馴染なのに。


なんでだよ、レーナ...。


「ちょっと、ベッドで寝るのは夜だけだよ、ほらどいて。シーツを洗うんだから」

「姉ちゃん...」

「何よ、そんなしみったれた顔をして。レーナちゃんが、さっき誘いに来てたわよ、遊びに行こう、って」


レーナという言葉に、過剰に反応する自分に心底嫌気が差した。


なんで、あいつのことなんかをこんなにも気にかけなきゃいけないんだ?


別に、レーナがどんな人を好きになろうが、知ったことではない。それに、ナウットだって良い奴だから、好きになったら、普通は応援するはずだろ?


なのに、なんでこんなに俺は...?


「レーナちゃんも、大切にしてあげなさいよ。あの子、もう少しで『誕生日』でしょ」

「た、『誕生日』?」


それだ!!!!


『誕生日』、サトミが前に、教えてくれた異世界(サトミがいた世界らしい)の言葉である。自分が生まれた日のことを表す言葉であるらしい。


特別な日で、その日だけはお祝いをしたりとか、うんと甘やかせたりするらしい。


レーナに、何かプレゼントをあげよう。彼女が好きそうな、特別綺麗で可愛いプレゼント。それから、もし、もし、出来るのなら...。


...もしかして、俺、今レーナに告白したい、って思っている?


急に、顔が赤くなった気がした。レーナの喜ぶ顔を想像すると、なんだかドキドキして、嬉しい。


俺、ついにおかしくなっちゃったのかなぁ...。


「ね、姉ちゃん、もしもだけどさ、ある特定の女の子の、喜ぶ顔を想像すると、ドキドキすることがあるとすると、それってどんな病気なの?」

「...キッシュ、それはきっと...病気じゃないよ」


病気じゃないの?


じゃあ、このドキドキはなんなの?


もしかして、俺、ナウットに嫉妬しているから、さっきからナウットのことが気に入らなかった?


もしかして、俺...レーナのことが、す、好き?


ぼぉっ、とさっきのとは比じゃないぐらいに、頬が赤くなった気がした。


「俺...レーナのことが、好きなの?」


何故か、姉ちゃんの頬がきゅっと強張った気がした。


「...そうよ、キッシュ。だから、沢山大切にしないと、駄目よ」


長い沈黙の後、姉ちゃんが微笑みながらそう言った。腕を上げて、頭を撫でると、微笑んで、「私が、もし...」と呟く。



姉ちゃん、私が、もし...ってなんなの?

何を、言おうとしたの。


「レーナちゃんを、大切にしてね」


なんで、そんな、悲しい顔でそう言うの?


姉ちゃん、ねぇ、なんで...?


姉ちゃんは、洗濯物を入れた籠を抱えると、無言で部屋から去って行った。


その後ろ姿は、なんだか、何処か悲しそうで、それでいてとても儚なそうに見えた。


本編を書く前に、やっぱり、閑話を、ね...?

本編は学校を建てようだのなんやかんや楽しそうな雰囲気ですが、閑話は何処か三角関係(それかもっと?)特有の重い雰囲気がありますね。


キルシュナーさん、何だか言いたげですね...。


次は、キルシュナーさんの閑話になる予定です(多分)

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