▼第一話
初めて書かせていただきます!
至らないことだらけだと思いますが、よかったら読んでみて下さい(汗)
会うときはいつも
お馴染みの場所
また、会おうって約束する
『いつもの場所で。』
「姉ちゃん、どこ行くの」
「ちょっと散歩」
弟の問いにそっけなく答えた私は、ワンピースにパーカというラフな格好。
足元はビーチサンダル。
お洒落からだいぶ遠ざかってるけど、全くもって問題なし。
だって絶対知り合いには会わないもん。
私は今、地元から離れた海辺の街に来ている。街というより、町。
私の住んでいる場所に比べたら田舎。
っていうか、ここは俗に言う田舎。
どうしてそんな町に来ているかというと、お母さんの妹の出産のため。
私のお父さんは単身赴任だし、どうせだから、とお手伝いに来ている。
私と弟は、海という言葉に釣られてやって来たのだけど。
お母さんの妹、麻奈美さんのお腹はもうパンパン。だけど本人は至って元気で、よく暇な私を見つけては
「千夏ちゃーん!」と呼んでくる。
あ、千夏って私の名前ね。
夏生まれだから、という普通の名前。
身長は少し小さくて、ルックスも普通。
成績はまあまあ…普通かな。
どこにでもいる高校一年生で、平凡な日々を送っていた。
でも、ここには友達も先生もいない。
授業も宿題もない。
嘘…宿題はありました。
とにかく違う場所で、なんだか自由な気持ち。今なら何だって出来そうな気分。
あくまで気分ね。
とりあえず初めて訪れる地だから探検しなきゃ、と思って辿り着いたのが、海。
海に来るのは久しぶりだ。
浜辺に腰を下ろして、回想してみる。
まだ小さかったころ、クラゲに刺されてとても痛かったのに
「痛くないもん!」
と言って泣いていた自分。
あの頃から強がりだったなぁ。
少し大きくなってから、友達とビーチバレーしたときは、負けても負けても
「早く次やろ!」
とか言ってた。
負けず嫌いもあの頃から。
かわいくない自分の過去に、思わず苦笑。
気付くと夕日が沈みかけている。
砂浜にいるのは、散歩してるおばさん達とランニングしている少年と自分だけ。
立ち上がって砂を払い、家の方向へ足を向ける。
これからこの町で何が待っているかなんて知らず、今日のご飯はカレーがいいなぁ、なんてありきたりな妄想をしていた。