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気まぐれ短編集

君の幸せは僕の幸せ

作者: 千羽 銀

とある方の短編に感化されたので書きました。初短編ですが、お願いします。







『――約束したよね?』




 覚えてるよ。君はいつもそうだ。

 僕のことを振り回して、嫌な顔をしている僕を見て楽しそうで。


 そのくせ、自分の思い通りにいかなかったら癇癪を起こしてさ、泣いてしまうこともあったね。

 その度に君の言うことに渋々従ってしまう僕もどうかと思うけど。



『――私にちゃんと言ってよ』



 何を言えば良いのだろう……君は僕のやることなすことにいちいち注文つけてさ、僕は君の思い通りに動く人形じゃないし召使いでもないって、喧嘩することもあったね。


 その度に仲直りして、また喧嘩して、そんな日々の繰り返しだったね。



『――ねぇ、どうしたの?』



 また君はそんな顔をする。

 君には関係ないのに、僕だけの問題なのに、なんで君までそんな泣きそうな顔をするの?


 泣かないでよ。僕なんかの為に泣かないでよ。僕だって、君が泣いてるだけで泣きたくなるほど胸が締め付けられるのだから。


 そんな君の顔を見るのが辛くて、どうせ言っても君を悲しませるだけだと判っているのに言ってしまう。

 あぁ、だから泣かないでよ。ごめんね。



『――ねぇ、なんで避けるの?』



 言わないといけないんだろうか。

 知ってるんだよ。君がずっと憧れていた先輩が、君の事を好きだってことは。


 知ってるんだよ。君と先輩はとてもお似合いで、見ているだけで画になることを。

 それを見て嫉妬して、そんな感情に自己嫌悪して、自分がとても惨めに感じるんだ。


 きっと僕は君の側に居てはいけないんだよ。ただの友人としてなら上手くやっていけると思うけどさ、それを僕の感情のせいで君に迷惑だけはかけたくないんだ。

 だから、ごめんね。君とは居られない。



『――お願、いだからっ……一緒にいてよ……!』



 なんで泣くの? なんで、先輩の告白を……断ったの?

 あれから二ヶ月が経ったけど、僕はずっと君を見てたんだよ? ストーカーみたいだと言われるかもしれないけど、僕は本気で君の幸せを願っていた。


 先輩が嫉妬しないように、君と先輩が関係を築けるように出来るだけ避けていたんだよ。

 先輩と話している君の顔は楽しそうで、周りの人もお似合いのカップルだねって話していたんだよ?

 それなのになんで、君はそんなことをしたの?



『――私は……君が好きなの』



 なんで……そんなことを言うの?

 僕は諦めていたんだよ。君が僕の事を見てくれることは無いって。諦めていたから、そう割りきったから、僕は今、君の側にいるのに。


 そんなことを聞いたら、僕はもう二度と君から離れる事が出来なくなる。

 底無し沼のように、どんどん君にのめり込んでしまうよ……嘘じゃないのかな。



 ――貴方がいいの。



 それは僕だってそうだ。



 ――貴方じゃないと嫌なの。



 うん。君の隣は僕じゃないと嫌だ。



 ――貴方が好き。



 僕も……君が、好きだ。




『――私と……付き合ってください』




 …………勿論。僕は君が好きだから。






◇ ◇ ◇





 あれから色々な事があったね。

 付き合ってから初めての遊園地は楽しかった。

 手を繋ぐとき、顔を赤く染めたりした。

 キスは付き合ってから半年でやっと出来た。二人して、緊張したのを覚えてる。


 辛いこともあった。別れるんじゃないかと危惧したのも一度や二度じゃないよ。

 君が引っ越してしまった時は本当に真っ暗になった。遠距離で、君と関係が崩れるんじゃないかって……。


 でもさ、そんな障害は、些細なことだったんだね。今になってそう思うよ。



 ――今日も、君は僕の隣にいるのだから。



 君と一緒なら、君が居てくれるなら、君が見てくれるなら、


 僕は、僕たちは幸せになれる。

 だから、もう一度、何度でも言うよ。




 ――僕は、君を愛してる。





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― 新着の感想 ―
[一言] とても心の優しい主人公ですね。 好きな女の子を一途に思い、献身的に尽くすその姿に、心が打たれました。 最後は幸せになれて本当によかったと思います。 心の中がほんわかとあったかくなる短編でした…
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