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四神獣記  作者: かふぇいん
赤の国の章
62/199

分祀(1)

 シンと別れて、ファンは広い都の中を歩いた。王の地図にあった赤丸の少ない、町の外側を目指して進む。今、あらためて周りを見回してみると、黒緑色は流行っているのか、やたらと目につく。流行っているのだろうか。ただ、具合が悪いのかどうかはわからないから、一概にすべてが病原とはいえないだろう。今はそれらを見ておいて、シンや王に伝えなくては。

 おおよその目的があるとはいえ、ファンは殆どあてもなく、都の中を歩いていた。途中で喉が渇いたが、なんとなく気が引けたので果物を一つ買って、(かじ)りながら歩いた。再び大通りに出ると、見覚えのある印を見つけてファンは足を止めた。東王が青龍印を、南王が朱雀印を用いるように、それはある土地の力を示す印だ。金色の獣が描かれたそれは麒麟印(きりんいん)と呼ばれ、御柱と天を意味する。国にいくつも点在する御柱の天社の分祀(ぶんし)には、決まって麒麟印が描かれている。

 ファンはその印を見て、胸の内に何か苦いものを感じた。分祀には良い思い出がないからだ。東の国、育った町にいた頃に毎日通った場所で、毎日肩を落として後にした場所だ。いつも落胆して帰っては、バクに励ましてもらっていた。彼の獣人としての力だけでなく、存在そのものがファンにとってありがたかった。家に帰れば、帰り道の(みじ)めさをそのたびに忘れることができた。

 そういえば、バクはここに描かれる瑞獣に会ったことがあったのだろうか。少し懐かしくなって、ファンは麒麟印を見つめた。帰ったらまた、獣化の練習をしよう。

 ひたひたと(やしろ)に近寄って見ると、入口に子供たちが集まって、列をなしている。神官による見立てを待つ列だ。本当に小さな子から、ファンよりも大きい者もいる。今、改めて見れば、確かにずいぶんと成長している者もいる。前までは小さい子しか目につかずに、この年で列に並ぶ自分を恥ずかしく思っていた。いや、シンに出会わなければ、今もそうだったはずだ。

 もう一度、入って見ようか。ファンは社への列に並ぶ。今は確かに、自分の中を二つの力が巡っているが、この力はシンや朱明が貸し与えてくれたもの。自分の力ではない。だから、二神の力に甘えないようにしなければいけないと思うのだ。

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