用語集(白の国の章まで)
注意!:大いにネタばれの可能性がありますので、章を終えた時など、必要になった時に見る程度をお勧めします。
※更新に合わせて、随時更新していきます。
本編は青の国の章より始まります。
始まりに、天へと続く御柱があった。そこは天が定めたすべての中央にして、礎となるための土地である。天は御柱の四方に四獣を配し、それらを世界の守護とした。天に守られたその土地にやがて人々が集まり、その中から四獣と心通わせる者が現れた。それが王である。四獣とそれと共に在る四人の王が治めしその地こそ、今日我らが生きる国である。
そして、いつしかその国は、その容と天授の平和をもってこう呼ばれた。円なる国、中つ国、と。 ―――――冒頭より、国の興り。
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あ行
青の国:御柱の地の東側の国。東王と神獣青龍が治めている。首都は東都。春を司る国で、医療、薬学に秀でる地。国の色は青。豊かな緑に覆われ、低くなだらかな山が多い。北は黒の国、南は赤の国と接している。
赤の国:御柱の地の南側の国。南王と神獣朱雀が治めている。首都は南都。夏を司る国で、美術、芸術に秀でる地。国の色は赤(朱)。広い平原と、西に活火山、陽山を持っている。東を青の国と、西を白の国と接する。
王府:四方の国の行政組織。王を中心に、武官・文官で国を治めている。地方の町は、その町の者からの推薦を受けた人物、または王府から、王の任命を受けて長の任を負う。
か行
街道:大街道。円を成す中つ国を環状に巡る街道。陸路だけでなく、途中に渡河や渡海を要する。街道沿いは物資や人が行き交うため、発展している。
麒麟:天を象徴する獣。殆ど姿を現したことが無く、よって獣人もいない。額に角を持つ、金色の獣。天社に神体として祭られている。救国の神獣。
凶荒:二十年ほど前、当時の王と神獣が揃って死んだことによって、引き起こされた大災害。天候の不順や、大地の崩落、不作、蝗害など、様々な災害が相次いだ。かなりの死者と他国への流民が出た。
金環山:御柱が降ってきた衝撃で出来た、環状の山脈。内側は黄の地とされ、御柱以外に人の住まうところはない。内側への道は元来なかったが、御柱への巡礼のために、現在は至黄の道という細い街道がつくられている。
化生:生まれた時よりその身に獣性を備える者。その多くは幻獣付きで、数が少ない。常人よりはるかに長い時を生き、歳を取りにくい。バクなど。
幻獣:滅多に現れず、人目に触れず、種というより個がその存在としているような、希少な獣。大抵が特殊な術を持ち、強い力を有している。神獣も幻獣の類。他の獣は家畜や野の獣のようなありふれた存在。これらの獣人は、獣と同時に存在しない。
黄の地:御柱のある中つ国の中心。中央に湖があり、その上に御柱が立っている。その地に町はなく、また御柱の力によって人の出生の起こらない場所。
五行:すべての物事を陰陽に分けた際に、そこからさらに分かれた五つの気。木火土金水の五つで、東が木行、南が火行、西が金行、北が水行、そして中央が土行を備えている。木火土金水の順に互いを生み強める流れを相生といい、木土水火金の順に互いを押さえその勢いを殺す流れを相剋という。この二つの流れによって国は均衡を保ち、安寧を作っている。
護虫:四方に巡らされた、力の総称。土地により異なり、そこで生まれるものに獣性をもたらし、認められたものと結びつく。東は鱗で鱗を持つ生き物、西は毛で四足の獣、南は羽で翼のあるもの、北は介で甲や殻を持つものをそれぞれ司る。また、四獣がそれらの長を務めている。
獄:中つ国の地下であり、異界。青龍となる前のシンを封じるために、四凶が作った広大な空間。建国後は蚩尤と四凶、魔の者が封じられている。咎を負った者は死後ここに送られ、虜囚の餌となり、そこに堕ちた魂は二度と出ることはない。中央に、影の王宮がある。
さ行
四凶:建国時に天と対立した蚩尤の擁する四柱の魔獣。天の勝利と同時に、それぞれ四方に封じられる。東に檮杌、南に窮奇、西に饕餮、北に渾沌。蚩尤は御柱の地下深くに封じられた。
至黄の道:四方から御柱のある黄の地へ向かう、細い街道。山を切り割って作られている。
四獣:四方を統べる神獣の総称。東は青龍、南は朱雀、西は白虎、北は玄武。天が国を分ける際に、各地の獣をそれに任じた。
蚩尤:建国の時、四凶を率い、天と対抗した魔の軍勢の王。天に封じられた後、太極を狙い復活したが、ファンの母に阻止され、バクによって再び眠りにつかされた。
獣人:自らの素養に沿う、獣の力を使役する人間。獣人は善き者、とされ、国の要職につく場合が多い。獣人は大まかに、昇化、化生、獣堕の三種がある。
獣堕:素養に沿いながらも、本人の意志に反して外野の獣の気が憑くと現れる。ごく稀に、素養を無視してとり憑く場合もある。大抵にして自制、理性を失い、暴れ出す。
昇化:獣人のほとんどがこの種。自らの素養を知り、四方への礼を行い認められると、土地にある獣の気が、その身を介して力を出現させる。
白の国:御柱の地の西側の国。西王と神獣白虎が治めている。首都は西都。秋を司る国で、工業、商業に秀でる地。国の色は白。西に海を持ち、切り立った山々と荒野が続く。南寄りに大河湍水が流れている。北は黒の国、南は赤の国と接している。
神魔大戦:建国の際、天と対立した魔との間で起きた戦い。天と人の混軍と、蚩尤の率いる魔獣の軍が戦った。建国神話のひとつ。
水盆鏡:深めの盆のような鏡。水を入れることで鏡となる。獣人はこれを用い、別の獣人と会話することが可能。熟練すると小さな物なら渡すこともできる。
朱雀:南の地を守護する神獣。火を纏い、五色の尾を持った火行の具現。羽虫(羽のある生物)を統べる。すべてを焼く火の力を持ち、同時に邪なるものを滅する浄化の力を持つ。陽山の火口より生まれたとする火の鳥。神獣同士での呼び名は、朱明。
聖獣:四方の神獣に次ぐ力を持ち、年月を重ねた獣。大抵が希少な幻獣で、遥か昔から生きている。それらの獣人となると更に稀少。
青龍:東の地を守護する神獣。青い龍で木行の具現。鱗虫(鱗のある生物)を統べる。回復の力を持ち、生ける者の気の流れを読み、春の目覚めの力をもって傷を癒す。また、木行の起こりとされる風の姿でもある。神獣同士での呼び名は、句芒。
仙人:獣人とは別に、特殊な術、技能を持った不老長寿の人間。大抵が浮世から離れて過ごすか、御柱に仕えている。自覚の有無はそれぞれ。
素養:すべての人間に備わるという獣の素質。しかし、定まる時期には個人差がある。
見立て:素養の内容を見定め知ること。御柱の社より遣わされた者によって行われる。
た行
太極:御柱のある中つ国中央、黄の地で生まれた人間。黄の地の特性の為、まず生まれないとされてきた。その素養は御柱や天の力に関わるため、天や獄への鍵となる可能性があるされる。
旅一座:中つ国を旅し、芸を見せて回る一座。多くが曲芸や歌、舞を披露する。王と神獣の舞を有する一座はたびたび王の寵を受けるが、一所に留まることは少ない。所属する者には獣人が多く、旅先の問題を解決して回ることもある。
湍水:中つ国に流れる二本の大河の内の一つ。流れが早い上に荒く、下流までその勢いを失うことがないため、長く船を渡すことはできなかった。下流に唯一渡るための渡「河伯の渡」がある。水妖の大赦に伴い、橋がかかる予定。
天社:天を祀る社。天の定めた理を説き、人々を導く。また、人に備わる獣性を素養として見立て、その身が善なるをはかる。御柱の天社が本拠で、各地に分祀を持ち、御柱から派遣されたものが官として任につく。
天社の官:四方に派遣された者は、分祀の管理や、天の理を説き、素養を身立てるのが主な仕事。本拠である御柱の天社に務める官は、中つ国全ての情報を管理し、必要ならば四方へそれらを発信する。ここに務める者は大抵が仙や化生の者で、長命不老の者が集まって、長期的な視点で中つ国を見守っている。相応の力がなければ天意を預かれないため、大抵のものが強い力を持っている。それら全ての長が、神官長と呼ばれ、それを補佐する副官がついている。
な行
中つ国:物語の舞台となる世界。中央を除き、東西南北の四つの国を配している。御柱を中心に円をなす国。
は行
はじめの町:町の名は浅水。街道沿いにあり、比較的大きな町。
はじまりの王達:中つ国建国に際し、四方の国の祖となる王。魔の軍勢と戦い、平和を勝ち取った、善なる者。東西南北それぞれが後に、木王、金王、火王、水王とおくり名される。彼らの使っていたものが、神器となり四方に王権の証として残されている。
白虎:西の地を守護する神獣。白い虎で金行の具現。毛虫(毛のある生物、獣)を統べる。強靭な肢体を持ち、生半可な攻撃では傷ひとつ付けることができない。また、その金のような頑強さを利用しての苛烈な攻撃を得意とする。神獣同士での呼び名は、蓐収。現在の白虎は二代目。
ま行
湖:御柱の周囲を覆う大きな湖。この湖を源流に、北東と南西へ二本の大河が走っている。御柱のある中島へは、日に数度道が現れる。
見立て:素養の内容を見定め知ること。御柱の社より遣わされた者によって行われる。
御柱:みはしら。中つ国の中央にある巨大な搭。空から降ってきた剣といわれ、天が住まうとされる。天を祀る社があり、各地に分祀を持つ。湖の中島にあり、一日に数度現れる道によってのみ渡れる。
や行
陽山:赤の国にある活火山。遥か昔から噴火と休息を繰り返している。今は活動期で、特に大きな噴火が予想されている。朱雀と鸞の誕生の地。
ら行
わ行