第一章 『出会い』 (1)
・・・あれ?寝ちゃってたのかな・・・
ゆっくりと体を起こす
・・・嫌な夢。見たな
昔の思い出。思い出したくないもの
初めて好きになった人だった。必死で追いかけて。電話して。初めて近くに行ったのに・・・
わたしの顔を見て・・・・死んでしまった
死因は心臓麻痺。わたしとはなにも関係がない。だけど・・・・
わかっている。わたしのせいで死んだんだって
「メリーさん」
ぽつりとつぶやいてみる
誰でもきいたことのある都市伝説
急にメリーさんという人から電話がかかってきて何度もその電話をとるたびにメリーさんは自分に近づいてくる
そして最後は自分の背後に来て・・・・後ろにいるメリーさんを見ると死ぬ
そんなものはデマだ。と思う者が多いがこれは事実で・・・・その張本人はわたしで・・・・・
ツーと頬を暖かいものが流れた
あんまり考えたくない。わたしは誰とも接することができない存在
だれもいない裏路地を歩き続ける。あの日以降わたしは人とは顔をあわせないようにしている
顔をあわせるだけじゃ死なないことはわかっている・・・だけど
「怖いよ・・・」
もしまたわたしのせいで人が死んでしまったら・・・・そう思うと人のいるところにはなかなか足を踏み入れれなかった
あの人が死ぬまえからわかっていた
・・・わたしと電話をしたあとわたしの顔を見ればだれもが死んでしまうって
だけどそれを知ったときは、わたしはそれを信じなかった
だってわたしはその頃は私自身「人」だと思っていたんだから
わたしの記憶の一番古く残っているのは、今のここのような誰もいない裏路地に一人たたずんでいるわたし
そのときのわたしは・・・なんて言ったらいいのかな
記憶喪失?そんな感じ
そのときにあった記憶は、わたしの名前は「メリー」それとわたしが人を「殺す」方法。
馬鹿みたいだ。って思う人もいるかもしれないけど実際そうだった
年はわからないし家もない。知っている人もいない状態でわたしは「生まれた」
だけど、わたしはそんなにとまどいはしなかったんだ。それがそれであるように・・・わたしはそれを当たり前だと思った
それに信じはしなかったんだ。わたしをみたら死ぬなんて・・・そんなのありえないって思ってた
けど違ってたんだ。ほんとに・・・わたしを見たあなたは死んだ
そして今・・・だれにも会わない。誰にも会えないこの場所でわたしは意味もなく存在し続けている
さあまた一人ぼっちの今日を歩こう