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第1話
「……美月、遅いなぁ」
テレビを見ながら、ぽつりと呟く。
今日も仕事だと言って、美月は出ていった。
机の上には、ラップのかかった食事が置いてある。
「手こずってるだけか……」
自分に言い聞かせるようにそう言って、ソファにもたれた。
画面の中では、まもなく映画が始まるらしい。
美月が見たがっていたやつだ。
「あー……あいつが見たかった映画、始まる」
そう言ってから、リモコンでテレビを消す。
「サブスクで見ればいいのに、なんでテレビで見ちゃうんだろ」
小さく笑った、その時だった。
ピンポーン。
「……ん?」
こんな時間に誰だ。
立ち上がって玄関へ向かう。
「どちら様ですか?」
扉の向こうから、低い声が返ってきた。
「佐倉悠斗さんですか」
「……そうですけど……」
ガチャリ、と扉が開く。
「ちょ――」
思わず息を呑む。
あれ。
鍵、閉めてなかったっけ。
遠慮もなく入ってきた人物に、思わず眉をひそめた。
「急に人んち入ってきて、何なんですか」
相手は答えない。
「……何」
数秒の沈黙のあと、その人物は無表情のまま言った。
「香山美月は死にました」
「……は?」
言葉の意味を理解するより先に、手が伸びる。
がし、と顔を掴まれた。
「っ!?」
視界がひっくり返る。
――そこで、途切れた。




