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エノシマ・スペクタクル  作者: EDONNN
2章:秘密結社とCIAと江ノ島の謎
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52話:棟梁(登鯉会)

「──して、取り逃したのか」

棟梁は(すだれ)の奥から、低く唸った。


「申し訳ありません」

自分はただ謝ることしかできなかった。


「ですが、四人目の巫女は奪取しました。なので、計画としてはまだ、是正が効く範疇にはあると理解しております」


相変わらずの嫌な香の匂いが立ちこむ狭い一室。今は自分と棟梁の二人しかいない。


「三人は我々の知る儀式の進むまま、ニ週ほどの間を開け、角と血は捧げております。そして四人目を我

が手中に収めた今、儀式は三日後に行います。五人目の儀式を行うまでにはまだ、時間は……」

そこまで話した時、簾の中の影が動いた。


「今回の祭りで全ての手筈が整う予定だった。違うか」

「それは」

言い訳を、何とかしなければ。そう思ったが、続く言葉はなかった。


「今回、登鯉会で抱えていた刺客、雇った者達が何人いると思っている。やつらにも報酬は与えないといかんのだぞ」

「はい」

その刺客のうち一人が警察に捕まったことなど言える訳もなかった。


「いいか。儀式も大詰めになっている。警察はおろか、かの国の介入まで来ている。時間はあるが、我々の動きは監視されているのだ」

「わかっております」

「わかっていない!」

怒号が響いた。今ではそれを受けるのは自分だけだ。


「猿はしくじった。あいつは我が計画を妄信していたが、いつ口を破るかもわからなんだ。だから奴は消した」

「消した……」

殺されたのか。まさか。その瞬間身が震えた。


「分かるか。もうこれ以上の失態は許されない。儀式完遂の暁には、確かに全て文字通り杞憂は全て泡となるかもしれない。だが、完遂せねば意味はないのだ」

「はい」

確かにそれはその通りだ。


今まで溜め込んできた金は関係者に今回のためにばら撒いた認識ではあったが、いよいよ出し切るタイミングなのかもしれない。


「滞りなくやるんだ。私もやるべきことをやる」

「承知しました」

部屋を出る。


江ノ島の夜はまだ暑い。日に日に疲れが取れなくなる体が嫌になる。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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