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私は文官になりたいのに、口先だけかまってちゃんが税金で貢いできてキショイ  作者: ハムウサギ


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85:裸の王様、教会から破門宣告される

1月15日、のちに裸の王様の化けの皮が剥がされた記念日と言われる日に、セレーネはアナスタシアに会うために王宮に顔を出した。

アナスタシアの部屋のノックすると「どうぞ」と中から入室を許可する声が聞こえ、ユリアがドアをあけた。


「ユリアさん、今日もお疲れ様です」

「いえいえ、セレーネさんこそようこそお越しくださいました。我が主人がお待ちです。どうぞお座りください」


セレーネがふかふかの椅子に座ると、先に座っていたアナスタシアが口を開いた。


「セレーネさん、先日はご面倒をおかけしました。おかげで、あの口先だけの上部だけの自称王都を守る騎士様を断罪することができます」

(うわぁいい笑顔!アナスタシア様もあのかまってちゃんに良い印象持ってなかったのね!)


「いえ、国民として当然のことをしたまでです。国の癌はしっかりと排除しなければいかませんから!」


ニコッと笑うセレーネをみて、アナスタシアは少し哀れみの目線を向けた。


「・・・そうですか。それほどあのかまってちゃんの被害を受けていたのですね。あのかまってちゃんには、無駄遣い大魔王、職権濫用大魔法、無能大魔王のレッテルがはられることでしょう。一連の責任をとっても、騎士としてのキャリアは困難になりました」

(大魔王多い!それほど色々とやらかしていたのでしょう!)


「いえ!ちゃんと処罰されるならよかったです!」

「そういっていただきありがとうございます。ところで、今日呼んだ理由ですけれど、王都の治安維持部隊の諸悪の根源、つまり、公害の源に確固たる証拠を突きつけ、それを白日の元に攫うことができました。しかし、その特性上、国民に知らせることは難しいのです」


目をふせるアナスタシアを前に、セレーネは「それもしょうがないわね。まだ学生とはいえ、治安維持部隊の評判に関わるしね。特に、落ち着いたとはいえ裸の王様騒動のあとは国民感情を優先すべきでしょう。内部で処分で手打ちにすべきだと思う」と納得した様子だ。


その様子をみたアナスタシアは言葉を続けた。


「ご理解いただきありがたいのですけれど、あのかまってちゃんが出した損害はかなりの額にも及びます。その処罰を行うことができるのも功労者のおかげ。その方には、相応のことをしなければなりません」


王宮に出入りするようになり、多少危機管理意識の芽吹いたセレーネは、何やら嫌な予感をしていた。


そのため、


「いえいえ!元はといえば、私に貢ごうとしたせいですし!プラスマイナスゼロ!むしろマイナスです!」

「思えば、貿易歴などの功績もありますわね」

「それは、文官の方が実現したので!私は口先だけでひょろっと言っただけです!」

「そういうわけで、セレーネさん本人を男爵の爵位を授けようかと思っておりますの」

「はい!?いえ、それは・・・」

「それは?」

(王族相手に、爵位なんていりません!のんびりのほほんと過ごしたい!とは言い難いなぁ)


セレーネが言い淀んでいると、部屋のドアが乱暴にノックされた。


「王女殿下!急ぎお耳に入れたいことがございます!」


何やら普通ではない声色に、アナスタシアは専属メイドのユリアにドアを開けるように目で促した。


「王女殿下!国王陛下が教会から破門されました!」


連絡係からのこの報告を聞き、アナスタシア様は目を見開くも、


「なんですって?それは確かな情報ですか?」

「恐れながら、事実でございます」

「理由はなんですか?よほどのことがないと破門などありえないのですが・・・」


ーーーーーーーーーーーーーーー


アナスタシアが、国王が破門されと報告を耳にする数分前。王宮の別の一室では、その国王と第一王妃の会話が繰り広げられていた。


「国王陛下。お話があります」

「なんだ!カトリーナ!余は忙しい!」

「具体的になぜ忙しいのですか?」

「そ、それは・・・」

「第二王妃を探しているのですか?愛想をつかされたのでは?」

「アンはそんな女ではない!お前と違って心の優しい女性だ!」

「そうですか・・・。では、なぜ陛下に目的地を告げずに旅行に行かれたのですか?」

「それは、きっとなにか事情があったのだ!」

「・・・そうですか。その行き先は帝国だったとしても?」

「なんだと!なぜお前が知っている!」

(あなたの部下が無能すぎて調べられなかったでしょう。それにあの第二王妃は別にそこまで隠していなかったわ)


カトリーナが考え事をしている様子を、斜め上の解釈をした国王は、


「わかったぞ!嫉妬のあまりお前がマイスートハニーを追いやったのだろう!」

「・・・違いますよ。おめでたい頭ですね」

「なんだと!国王たる余になんたる態度だ!」

「はぁ・・・。そうおっしゃるようでしたら、国王としての責務は果たされてるのですよね?」

「もちろんだ!」


自信満々にドヤっている国王を見たカトリーナは呆れている。


「そこまでいうようでしたら、この前お渡しした書類はいかがでした?」

「いかがとは?」

「中身、確認されたのでしょう?解決策を教えてください」

「そ、それは、あれとあれをいい感じにやればいいだろう!」

「どれとどれですか?」

「あれとあれだ!伝わらないなんて、お前は愚か者だな!」

「・・・では、国王陛下の方で対応してください」

「無礼だぞ!」

「はい?」

「国の王である余に指図など無礼だぞ!」


このアーサー国王陛下の発言を聞いたカトリーナは「何を言ってるんだこいつは?」のような目線を向けた。


「では、国王陛下に全ての指揮をお任せします」

「なんだと!」

「出来ないんですか?」

「何をいうか!この前の余の緻密な施策を見ていなかったのか!余ならできるに決まっている!」

「どの件・・・、ああ!あの件ですか!二兎を追う者一兎をも得ず、ですらなく、一兎を追っても一兎もえなかったあの件ですか?」

「な、なんだと!余の計画が完璧すぎて嫉妬しているんだろう!」

「何をおっしゃって・・・。報告書はきちんと読みましたか?”上部だけで何かやっても根本的な部分や中身には影響なし。ただの税金とリソースに無駄遣い”というのが現場の正直な報告だと認識していますか?」

「な、なんだと!あの緻密なやり方ができないのか!無能な現場だな!」

「緻密?いいえ、稚拙ですよ」

「愚か者には見えない緻密さだ!」

「裸の王様の寓話から引用しました?」

「それくらいの一般素養はお前でもあるのか!伝わってよかったぞ!」

(違いますよ。あなたかが周りから裸の王様と言われるので、自虐ネタに走ったのかな?と思って確認しただけです・・・)


「はぁ・・・。権力と財力があっても、能力がない・・・」


先ほどから、どんどん残念なものを見る目になっていたカトリーナの表情がさらに険しいものになっていく。


「なんだと!?これほどの金額を動かせる余に能力がないわけがない!僻みか!?」

「ほんとに、なんでそんなに無能なのですか?あなたが使い込んだ税金の額が無能のインジケーターでしょうに・・・」

「なんだと!しっかりと確認しろ!お前が理解していないだけだ!余の素晴らしい成果を見せてやる!」


成果、という単語を聞いたカトリーナの表情が無表情になった。


「前のことを引き合いに出して言って何アピールか知りませんけれど、それはつまり、あなたの低レベルなごっこ遊びの無い成果の実績がしっかりと組織内で記録に残ってるってことですよ?無能の証拠がしっかりと記録されてるのを確認できてこちらからするとありがとうございます、とお答えすればいいですか?」

「不敬だぞ!」

「そうおしゃるなる国王としての務めを果たしてください」

「これが王としての余の正義じゃ!お前には理解できないようだが!」

「この社会は、あなたの正義ごっこの舞台じゃないんですよ。お遊びじゃないんですよ。本当に権力におんぶにだっこ。おんぶちゃんとだっこちゃんどっちがいいですか?まぁ、これだけ権力と税金を使えて隠しきれないほどの無能っぷりはすごいとは思いますけれど・・・」

「ええい!お前みたいなやつは離縁だ!アンを正妃に迎える!!!!!!」

「・・・そのアンさんは姿かが見えませんね。見捨てらました?」

「なっ!嫉妬しかできないのか!」


カトリーナは少し考える仕草をしてから、


「違いますよ。でも、いいですね。私も見捨てますか」

「は?」

「国王陛下。先日の偽の敵襲警報からデモが広がっているのはさすがにご存知ですね?」

「愚民どもが何を騒いでおるのだろうな。愚かなものだ」

(愚かはあなただ・・・)


「あなたに国王は務まりません。オリバーに王位を継がせ、生前退位をしてもらいます」

「はっ?」

「何をそんな間抜けな顔をしているのですか?反対する者は王城に残ってないと思いますけれど」


アーサー国王陛下が何か言い返そうとしたところで、2人がいる部屋のドアがノックもせずに開かれた。


「アンか!余に会いたく、いやお前誰だ?」

「確か文官の方でしたね。そんなに焦って何かありましたか?」


「国王陛下、王妃陛下。先ほど教会から知らせがあり、アーサー・ビネンツェ国王陛下を破門とすることが確定したそうです」

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