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私は文官になりたいのに、口先だけかまってちゃんが税金で貢いできてキショイ  作者: ハムウサギ


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79/97

75:夏休みの前(続き)

にっこり微笑んだままのアナスタシア様を前に、私は強硬手段にでることにした!


「2つ目!用事は2つあるとおっしゃっていましたよね?2つ目はなんでしょうか!」

「あら、せっかちですね。ですが、いいでしょう。話題を変えますか」


私がほっとしていると、ユリアさんがさっと紅茶のおかわりを入れてくれた。

ありがたや!


「セレーネ・ケニルワース子爵令嬢、落ち着きましたか?」

「はい」


アナスタシア様はにっこり微笑んだままだ。

・・・?というか子爵令嬢?


「あの、アナスタシア様」

「なんでしょうか。セレーネ・ケニルワース子爵令嬢」


あえて強調してるから言い間違いじゃなさそう。


「あの、私って男爵令嬢ですよね?」

「そうですね。今までは」

「・・・今までは?」

「ええ。ケニルワース家は、男爵から子爵になることが決まりました。ぱちぱちぱち」


アナスタシア様の拍手に合わせて、ユリアさんが紙吹雪を出してる。

息がぴったりだなぁ、と現実逃避しかけたけど、これは!聞かないと!


「何かの間違えではなくて、ですか?」

「何かの間違えではなくて、ですね。昇爵の事例は過去にもあります。身近なところですと、デイジーさんのフィナンシェ家が子爵から伯爵になったことでしょうか」

「・・・ケニルワース家は何かしましたっけ?」

「複式簿記や活版印刷ですね。アイディアはセレーネさんがだして、エリックさんが実用にのせたようですね。また、エリックさんは複式簿記を活用した株式、という概念も提唱しております。セレーネさんも、今回の文官補佐として、税金泥棒の調査に貢献しましたし、何より貿易暦の提唱者です。貿易暦については、テチス海の周辺国に浸透するまでには時間がかかりそうですが、どこの国も問題意識はあったようで、初期交渉としては受け入れられています。十分すぎる成果ではないですか?むしろ、伯爵になってもいいほどだとわたくしは思っておりますが、まだ足りないというようでしたら、何をしてもらいましょうか?」


にっこり微笑んだままのアナスタシア様を見て思った。これはもう確定路線だ!


「色々わかりました!子爵で大丈夫です!ですが!私の両親は貴族っぽくないですけれど大丈夫ですか?昇爵した貴族となると、貴族付き合いがでてくると思うのですけど・・・」

「ふふ、エリックさんと同じことをいってますね」

「兄に聞いたんですか?」

「それはもちろんですわ。子爵家の当主になるのですから」

「それもそうですね。・・・と言いますか、子爵家の当主?」

「ええ。昇爵に合わせて代替わりをすることになりました」

「えっ!?」

「実はケニルワース男爵と男爵夫人にもヒアリングをしていたのです。そうしたら、『自分たちは貴族っぽくない』とセレーネさんとエリックさんと同じことをいっておりました。さすが、ご家族ですわね」


両親にまで聞いてたのね!手際がいい!


「・・・わかりました」

「それともう1つ」

「まだあるんですか?」


正直お腹いっぱいだよ!


「貴族の当主になるので、婚約者も発表します」

「こんやくしゃ?」

「ええ、婚約者です。ミラですね」

「はい!?」

「あら?ミラから政略結婚を狙っているとすでに伝えてあると聞いていたのですけれど・・・」

「聞いてはいます!聞いてはいましたけど!びっくりしてます」

「反対ですか?」

「・・・いえ、賛成です」


ミラなら、私なんかよりもケニルワース家に貢献できると思う。反対するわけがない。

それにあの2人、普通に仲が良さそう。


「それはよかったです。それではこの件については改めてお話ししますね」


情報量が多過ぎて、これからどうしようと思っていたら、ユリアさんがハーブティーを入れてくれた。

優しい味が心に染みる。ありがたい・・・。



ーーーーーーーーー


アナスタシア様との衝撃の会談を終えて、フラフラしながら女子寮に向かって歩いていると、


「ここにいたか!探したぞセレーネさん」

「カール君?何?」

「夏休みはケニルワース領に帰るのか?」

「わかんない」


そう、わかんない。色々とやることが!一気に出てきた!


「そうか。頼みがある」

「何?」

「8月末に行われるコロッセオの団体戦に一緒に出てくれないか?3人1組で、もう1人はグレイスさんだ」

「いいわよ」

「・・・えっいいのか?」


カール、なんでそんな驚いた顔してるの?自分から誘っておいて。


「もちろん。ふふふ!コロッセオなら!わかりやすく殴り合うだけだからね!」

「お、おう・・・?」

「権謀術数に長けた、狐や狸の化かしあいはないもんね!」

「お、おう・・・?」

「このセレーネ、参戦しましょう!」


カール、だからなんでそんなに驚いた顔してるの。「こんな戦闘狂だったか?」と呟いたの、聞こえてるわよ。


「それで、登録とかはどうするの?」

「それはこちらでやっておく。それにしても、本当にトーナメント参加を承諾してくれるのか?」

「うん。自分から誘っておいてどうしたの?」

「俺のこと嫌ってるとばかり思ってたから、ほんとに参戦してくれるとは思ってなかった」

「胡散臭いとは思ってるけど、嫌ってはないわよ」

「そうか!それはよかった」

「けど、どうしてコロッセオのトーナメントに参加するの?なんかガラに合わないんじゃない?」

「それは・・・」


カールには珍しく言い淀んでる?


「うーん、まぁ言いにくいならいいわよ」

「いいのか?」

「賭博とか犯罪の片棒を担ぐとかなら断るけど?」

「それは断じて違う」

「それならいいわ」

「今の説明でよかったのか?」

「うん?カール君って、私を落とし穴にはめようとしたりはするけど、肝心な所では嘘つかなくない?」

「そうか・・・」

「それより目標はあるの?」

「できればベスト8以上、最低でも本戦出場だ」

「なるほど・・・コロッセオのトーナメントは現役の上位冒険者も参加する中でベスト8・・・。私も戦闘の準備しておくわ。私ただの文官志望だけど・・・」

「それはそろそろ無理があるんじゃ・・・」

「何か言った?」

「いや!じゃ今度グレイスさんも含めて作戦会議をしよう!」

「わかった」


カールと別れて女子寮の自室に戻った私は、アナスタシア様のお話で疲れていたので真っ先にベッドにダイブした。


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