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私は文官になりたいのに、口先だけかまってちゃんが税金で貢いできてキショイ  作者: ハムウサギ


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65:王女殿下からの呼び出し

そろそろ年末年始休暇がやってくる頃、1日の授業が終わり女子寮に帰ろうとしたところで私は捕まった。

ユリアさんに連行されて、学園の建物の中にはあるけど目立ちにくい部屋に着くと、アナスタシア様が座っていた。ティーカップ片手ににっこりと微笑んでいらっしゃる。


「セレーネさん、こんにちわ」

「こんにちわ」

「急に呼び出してごめんなさいね」

「いえいえ大丈夫です」


呼び出しというよりも連行だと思ったけど、黙っておこう。


「何かご用でしょうか」

「ちょっとお話しない?」

「それは構いませんけど・・・?」


どういうことだろう?と思っていると、そばに控えていたユリアさんがさっと椅子を引いて座らせてくれた。流れるような動作で紅茶とお茶請けまで用意してくれた。そして、ユリアさんは音もなく部屋から退出した。


「・・・新しい毒とかですか?私は毒には詳しくないですよ?」


私のこの発言を聞いたアナスタシア様は呆れていた。


「なんでそうなるのかしら・・・。先ほども言った通り、ちょっとお話がしたいだけよ」

「あっはい」


目の前のお方の紅茶を飲む仕草は上品で洗練されている。

最近一緒にいる機会が増えたからわかったけど、アナスタシア様はあまり王女としてうやまれるのは好きではなさそうだった。でも、ところどころで育ちの良さが垣間見れて、やっぱり王女なんだと思う。


「アムダムの視察の件は助かりました。セレーネさんがまとめてくれたレポートは評判がよかったです」

「恐れ入ります・・・」

「それに、秋学期も大活躍だったらしいですね」


あまり心当たりがないぞ?


「えっと・・・?」

「その顔は惚けているのではなくて心当たりがないのね。結構表情がわかりやすいわよね」

「・・・ミラにも言われます」

「あら、そうだったの」

「はい、よくいじられますね」

「仲がいいのですね」

「・・・大事なお友達だとは思ってます」


アナスタシア様は微笑みながら、

「それは喜ばしいことですね。ラズウェル家の娘ゆえに利害関係ばかりの環境にいたミラに同年代のお友達ができてよかったわ」


アナスタシア様の様子的に、純粋にミラを心配してたような感じは受けるけど、なんかちょっと大事なお友達とか言うのはむず痒いので、話題を変えようと思う。


「あの、アナスタシア様。以前お預かりした透明な水晶の置物なんですけど、無事に色を黒くかえることができました」

「あらそうだったの?今度見せてもらえる?」

「あっ、収納魔法にしまってるので今取り出しますね」


そして、収納魔法から取り出した黒くなった水晶の置物をテーブルの上に置き、アナスタシア様に見せた。


「まぁ!綺麗な黒色ね」

「ほんとですね。ブラックパールみたいです」

「それでは、お礼を差し上げますね。このネックレスをどうぞ!」


収納バックから取り出したらしいネックレスが私に手渡された。思わず受け取ってしまったけど、


「えっ!お礼だなんて!そんな大したことしていませんよ!」

「大したことですよ」

「でも・・・」

「いいですか?これは王女としての命令です。謝礼の品を受け取ってください」


王女としての命令!?アナスタシア様が立場を強調した命令を出すのは珍しい。

とはいえ、受け取らないといけない雰囲気なので素直に受け取ることにした。


「受け取りましたね?では、水晶の時のように魔力を通してください」


とりあえず言われた通り魔力を通した。


「これで、セレーネさんは王宮の入場許可を手にしました」

「はい?」

「それは、魔力を登録できて身分証にもなる優れものですわ。そういうわけですから、年明けから文官の補佐として働いてもらえませんか?」

「はい?」


くっ!はめられたか!?


「それと、先ほど大したことしてないとおっしゃってましたけど、この水晶は現時点でこの王国内で色を変えられるのはセレーネさんだけです」

「えっと・・・?」

「現時点というよりも、テチス海大戦以降数百年、という言い方の方が正確ですね」


えっ、ほんとにどういうこと?


「ネタバラシをいたしますと、この水晶は闇属性の魔力にしか反応しないのですよ」

「えっ?闇属性・・・?」

「はい、闇属性ですわね」

「私が適性があるのは風属性ですけど・・・」

「2つの属性に適性があるということでしょう。心あたりはないのですか?」

「・・・ないです」

「そうですか。ちなみにですけれど、文献によると闇魔法は重力操作などにも秀でています。使い方次第では浮遊魔法に非常に似た効果が出せるようです」


・・・浮遊魔法?そういえば、私の浮遊魔法ってちょっと普通と違うってよく言われたっけ・・・?


「その様子だと心当たりに思い当たったようですね。また、闇魔法は黒い魔力として実体化することが多いそうです。例えば、風の剣のつもりが闇魔法が混ざって黒くなるなど」


・・・黒い風の剣。えーとなんだっけ。勘違いでクレアのお父さんと戦った時?


「どうやら思い出したようですね。闇魔法は非常に希少な魔法です。しばらくは伏せた方がいいでしょう。加えて、闇魔法の練習をする必要もあります。王宮にある宮廷魔法師向けの訓練所で、フローリー子爵が魔法全般についてしばらく指導してくれるようです。そのネックレスがあれば入れますよ」


アナスタシア様にニコッと微笑まれたけど、私は今それどころじゃない。どうにか現状を整理していると、ドアが開いて馴染みのある声が聞こえてきた。


「お、お、お、お、お、王女殿下っ!?」


オットセイみたいに「お、お、お、お」と言っているのはクレアさんだった。フローリー子爵関連で呼ばれたのかな?


「クレアさん、まずは落ち着いてください。わたくしは確かに王女ですが、あなたと同じで人間です」

「お、お、お、お、同じ人間!?」

「あら、わたくしが化け物だとでも?」

「ひゃ!」


倒れそうになったクレアさんを支えたユリアさんは、そのままアナスタシア様に冷たい目線を送っている。


「お戯れがすぎます。最近小説で流行ってる悪役令嬢ですか?」

「そういうつもりではないわよ。軽い冗談じゃない?」

「相手を選んでください・・・」

「・・・確かにクレアさんには刺激が強すぎたようですね。今後は気をつけます」


クレアさんはというと、ユリアさんに介抱されながら椅子に座った。それを確認したアナスタシア様は、


「クレアさん、早速だけれどお話があります」

「ひゃい」

「・・・ごめんなさいね。少し強引にでも話を進めます。あのセレーネ式魔法陣なのですけれど」


!?

セレーネ式魔法陣ってなんだ!!!


「ひゃい」

「模擬戦で使っていたのが最大威力ですか?」

「ちちちち違います!」

「なるほど・・・それでしたら一度王宮の専門家も交えて検討しましょう。性能が高すぎます」

「うっ」

「学園の外に漏れないように、年末年始休暇中は一応箝口令を敷きますが、おそらく漏れてしまうでしょう」

「うぅぅ」

「技術を狙った輩に狙われる可能性もあるので、外堀が落ち着くまでは保護します。学園にいる間は安全でしょうけれど、休みの期間は王宮にきてください」

「ひゃい!?」

「大丈夫ですよ。セレーネさんもしばらくは王宮に頻繁にきますから」


クレアさんがすがるような目で私のことを見てきた。


「そうらしいわ。私も王宮にいるから、一緒にすごしましょう?」

「ゼレーネザン!!!よがっだです!!」


クレアさんは半泣きのまま、言葉を続けた。


「セレーネさんも魔法陣の件ですか?」

「えっ?文官の手伝いと、闇魔法の練習をクレアさんのお父さんに見てもらうからよ。ウィリアムさんは闇魔法使えないと思うから、魔法全般についてかな?」


半泣きだったクレアさんが一瞬で真顔に戻った。


「セレーネさん、今闇魔法って言いました?」

「えっうん」

「闇魔法って実在したんですか!どういう魔法が使えるんですか!?」

「じゅ、重力操作とか?たぶん私の浮遊魔法は闇魔法系列だったんだと思う」

「なるほど!改めて普通の浮遊魔法との違いを調べたいですね。そのためには、」


「おほん!」


クレアさんが魔法オタクモードになったところで、アナスタシア様が咳払いをした。正直助かる!


「クレアさん、一度落ち着いてください。セレーネさんも交えて今後について話をします」

「ひゃい」


そして、魔法オタクモードが解けたクレアさんと一緒に、アナスタシア様と色々とお話をした。

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