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私は文官になりたいのに、口先だけかまってちゃんが税金で貢いできてキショイ  作者: ハムウサギ


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48:ユッカの木の集い

春学期が始まって数日後の放課後、私はミラとレイ様と一緒にユッカの木の活動のために、教室を移動していた。


「ミラ、レイ様、この前のことはありがとね」

「あっ、あのことね。それなりにうまくやったと思うわ」

「そうだな。変な噂にはならないだろう」


「うん、助かったわ。というか、私があの虫使いのかまってちゃんイオーゴに困ってるのも周知の事実になってたのね・・・」

「そうね、セレーネに同情的な人が多いわ」

「そのおかげで、僕たちの話もすんなり受け入れてもらえた節はある」


「『かまってちゃんに困ってる友達を助けるために、クレアさんが体をはってセレーネとそれっぽい関係に見えるようにした』って、2人ともよく思いついたわね・・・」

「クレアの言動はさすがにちょっと誤解を招きかねないというか、否定するほど真実味が増しそうだったから、逆転の発想をしてみたの」

「ああ、それで、あのかまってちゃんへの牽制も兼ねてみた。二兎を追って二兎とも得られたと思うけど、セレーネ的には問題ないか?」

「ないわよ、レイ様」


これを聞いた時には驚いたというか、クレアさんの方が気にするんじゃないかな?と思ったけど、そんなこともなさそうだった。


3人でしばらく歩いていると、目的の教室に着いた。

ドアを開けるとクレアさんが先にいた。


「あっ、セレーネさんこんにちは!」

「こんにちは、クレアさん。早いわね」

「はい!特に仲の良いお友達と、課外活動なので!」


ミラとレイ様はクレアさんにも説明していた。その時、特に仲の良いお友達、という設定に落ち着いたみたいだった。

けれど・・・クレアさんの様子を見るに・・・たぶん、本当に文字通りに友達だと思っている気がする。

まぁ、変にそれっぽく振る舞うよりは、今まで通りに過ごせるからいいのだけど・・・。



数分後にグレイスが来て、その後、なぜかユッカの木の代表になっているカールがやってきた。

カールは私たちが揃っているのを認識すると、


「遅くなって悪い」


これには副代表のミラが返事をした。


「それほど待ってないわ、カール。話し合いを始める?」

「そうしようか。まぁ話し合いといっても今学期の活動方針を確認するだけだけど。じゃ、みんな何やりたい?」


まずは、グレイスが口を開いた。

「修練場で鍛錬」


それにレイ様が賛同した。

「僕も修練場で鍛錬がしたい」


次に、クレアさんが口を開いた。

「生産の設備で実験したいです!あそこなら多少ばくは、えーと、多少難しめの実験もできます!」


クレアさん・・・今爆発って言いかけてなかった・・・?


次は私の番な気がしたので、ちらっとミラを見てから、


「私は、ミラに相談したいことがあるわ。チョコレーネの試作とあとは、私の領で新しく作ろうとしているワインがあるの。成人してないからワインそのものは飲めないけど、最近のはやりとか知りたいわ・・・。今学期、ミラは忙しい?」

「セレーネの新作なら喜んで手伝うわよ!」

「えっ、私の新作?」

「そうそう!チョコレーネも評判いいし!料理人冥利につきるわ!」

「料理人じゃなくて伯爵家のご令嬢でしょう・・・」

「細かいことは気にしない気にしない!それじゃ、私とセレーネは学園の調理室メインね!」

「そうね」


「私も試食に参加していいだろうか」

とグレイスが、心なしかワクワクした目で聞いてきたので、「もちろん」と答えておいた。


一通りのやり取りが終わったのを確認してから、カールが、

「見事にみんなバラバラだな」

と、感想を言っていた。


「まぁ、いいんじゃない?」

「セレーネさん、活動報告としてまとめるのは俺なんだ。グループで活動しているかのようにいい感じに報告するのは案外大変なんだぞ」

「カール君、頑張って!」

「はぁ・・・」

「ところで、カール君はどうするの?」

「修練場だな」

「えっ意外。そういえば、カール君ってなんのコースなの?」

「戦闘コースだけど」

「えっなんで?」

「なんでって・・・」

「だって、カール君って教会の聖職者でしょう?治癒魔法も使うし」

「そうだな。けど、2年次から魔法師コースに行くには、この学期は戦闘コースになるんだ」

「でも、教会って戦力は最低限しか保持しないのよね?いいの?」


確か、”神の使いである我々は、武力ではなくて話し合いで解決する。そのために相手を傷付ける戦力はもたない”、だっけ?


「冒険者や騎士に同行する時もあるからな。というか、セレーネさんが教会に興味があるとは思わなかった。教典を説いてあげようか?」

「いえ、結構です。興味ないです」

「興味がないなら言うな」

「いいじゃない、いいじゃない!でも、教会の治癒師でも戦闘能力が必要なんだ、意外・・・」


・・・意外というか、何で?

カール君はああいうけど、私の知る限り、教会の治癒師が戦闘の本当の前線にでることはなかったはず。あっても、後方支援だったと思う。


「セレーネさん、君の視野が狭いんじゃないか?」

「余計なお世話よ!!」

「俺は治癒魔法師だけど、君の視野の狭さは治せない・・・これほどまでに己の能力不足を痛感したことはない・・・すまない・・・」

「だ・か・ら、余計なお世話って言ってるの!それより!ほら、早くいい感じにまとめてよ代表さん!」

「はいはい」


ーーーーーーーーーーーーーー


各々のやりたいことをまとめつつも、今学期の活動予定が出来上がり、今日の活動は解散となった。


女子寮の部屋が同じ階にあるので、クレアさんと一緒に歩きながら寮に戻っている。


「あの、セレーネさん・・・」

「どうしたの?」

「その、セレーネさんとカール君ってよく喧嘩してますけど、何かあったんですか・・・?」


うーん・・・、秋学期の対抗戦の時に騙されたこと・・・?


「第一印象が最悪だったかな・・・」

「そうだったんですね」

「急にどうしたの?」

「あっ、いえ、その、お二人とも他の人たちには優しいので何かあったのかなぁ、と・・・」


優しい?あの男が?

演技じゃない?

・・・あっ、もしかして、口喧嘩することで周りに気を使わせてしまっている・・・?


「クレアさん、ごめんなさい。雰囲気悪くしてるわよね・・・」

「えっ?それは大丈夫ですよ?今日も仲良いなぁと思ってますから!」


ナカガイイ?

仲がいい?

くっ、クレアさんに笑顔を言われてしまっては否定しにくい!


「そ、そう?」

「はい!」


けど、確かに言われてみれば、あの対抗戦くらいよね。

それもあくまで授業の一環で、作戦のうちだし・・・。

そのあとは売り言葉に買い言葉になってるけど・・・。

もう少し仲良くなる努力をしてみようかしら。


ーーーーーー


翌日、セレーネはカールと食堂ですれ違った。

周りに他の生徒がいるため、カールは猫被りモードだった。


「あら、カールさん。ごきげんよう」

「???」

「そのように驚いた顔をなされてどうされましたか?」

「いえ、その、セレーネ嬢。何か変なものでも食べましたか?治癒魔法が必要ですか?」

「そのようなことはございませんわ。おほほほ」

「そうですか・・」

「それよりも本日はお日柄もよく、カールさんにおかれましてはいかがお過ごしでしょうか?」


カールは耐えかねて、セレーネの耳元で小声で話しかけた。


「おい、どうした。その気味の悪い話し方はなんだ。新手の嫌がらせか」

「違うわよ!やっぱり相容れないようね!」


そう言ってセレーネはどこかに行ってしまった。


カールは思わずポカンとしながら、「なんだったんだ・・・?」と思っていた。

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