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私は文官になりたいのに、口先だけかまってちゃんが税金で貢いできてキショイ  作者: ハムウサギ


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47:モコモコオバケ

新学期の初日が終わり放課後になった。

なんか色々と疲れたので、早く寮の自室に帰ろうと準備をしていると、廊下付近の席の女子生徒から声をかけられた。


「セレーネさーん!お客さんのようですよ」

「私にお客さんですか?」


誰だろうと思いながら廊下を見るとクレアさんがいた。


「しぇ、せれーねしゃん」


噛んだわね。教室に残ってた生徒の視線もちらほら集まってるし、緊張しちゃったのかな?


「クレアさん?今そっち行くわね」

「だいじなお話がありましゅので、私の部屋にきてくだしゃい・・・うっ、、それでは!」


人前だったから恥ずかしかったのか、噛んだのが恥ずかしかったのか、顔が赤かった。


「えっ、あっちょっと。クレアさん!?」


私がドアにたどり着く前に、クレアさんはそれだけ言い残し教室から走っていってしまった。


周りがざわついているわね。

確かにね!なんか、意味深な感じだったもんね!

けど!ただ人前で恥ずかしかっただけだと思うよ!


「そ、その、私は女の子同士でもありだと思います!頑張ってください!」


・・・私を呼んでくれた女子生徒から謎の応援を受けた。


「あの、たぶん人前で恥ずかしかっただけだと思いますよ」

「なるほど。鈍感系美人を想う、小動物系美少女の図ですか」


いや、違います・・・

とりあえず、クレアさんを追いましょうか・・・

教室がざわついていたので、女子寮に戻る前にミラとレイ様に視線を送る。


(ごめん!あとは任せた)


ミラとレイ様は、ニヤニヤしながら、なぜか2人で手を合わせて小さく1つのハートを作っていた。

あの2人仲良いわね!わかってるでしょうに、楽しんでるわね!


ーーーーーーーーーーーーーー


コンコンコン


女子寮のクレアさんの部屋をノックした。

先ほど教室でクレアさんから呼ばれたので、急いでやってきた。


「クレアさーん。セレーネよ、きたわ」


すぐにドアが開いてクレアさんが出てきた。


「先ほどは急にすいませんでした・・・2人きりでお話ししたかったとは言え、セレーネさんが部屋に戻った頃を見計らって声をかけた方がよかったでしたよね・・・」


それは正直ちょっと思った。

とはいえ、もう終わったことなので、「気にしてないわ」と言いつつ、クレアさんに促されるままに部屋に入る。


「その、すぐにセレーネさんと話したいと思って・・・昨日は夜に帰ってきたようですし、今朝もお昼も会えなかったですし・・・」

「特に気にしてないわよ。それで、どうしたの?」

「実は春休みからずっとセレーネさんのことが頭によぎっていて・・・」


クレアさん・・・?

なんか、言いたいことがあるけど、言っていいのか悩んでいる感じ・・・?


「そうなの?」

「はい・・・。お父さんとお母さんからも、早く話した方がいいと言われてて・・・」

「うん」


ご両親に相談するほどの内容?


「でも、言わないとダメですよね。先に進まないですよね」


そこで、クレアさんはバックに手を入れた。


「セレーネさんと私の今後の関係に関わるかもしれませんが、驚かずに聞いてくれますか?」


クレアさん、意を決した様子でもある。


・・・えっ?私とクレアさんの今後の関係?そんなに真剣な雰囲気で?

いやいや、確かにクレアさんは可愛らしいとは思うけど、お友達で・・・

と、私が逆にあたふたしていると、


「あの、これってセレーネさんですか?」


クレアさんの手には何かの情報誌?があった。


「クレアさん、これは?」

「ナポラーノ方面の週刊誌です。あの、第一面のこの記事なんですけど・・・」

「『早朝の怪奇!ナポラーノ近郊にモコモコオバケ現る!』っていう見出しが書いてあるわね」

「はい。フェビウス月の5日にナポラーノの近郊で、魔物と盗賊に襲われた集団が助けられた事件があったみたいなんです」

「うん。・・・うん?」

「その時、空中に浮かぶ何かから風魔法が放たれたみたいです。その何かは、なぜかモコモコしてて、布みたいな物がヒラヒラしていたので、生前人助けが好きだったオバケ説が囁かれました」


・・・あっちゃー。心当たりあるや。

フェビウス月の5日、2月5日ね。私ちょうど毛布にくるまって空中から風魔法放ちました・・・。


「セレーネさんって、春休み始まってすぐにケニルワース領に向かいましたよね・・・?タイミング的にちょうどよさそうだと思いまして・・・」

「クレアさん、たぶんそれ私」

「・・・やっぱりこのモコモコオバケはセレーネさんですか?」

「うん。ニュースになっちゃってたのね・・・」

「それだけならよかったんですけど・・・」


あれ?クレアさんの顔色が暗い?


「えっ?まだ何かあるの?」

「実は、その時に助けられた集団というのがナポラーノも属するクライン領を統治しているクライン公爵家なんです。お子様がお忍びで遊びに出かけられていたようでして・・・」

「なるほど。確かに、護衛は優秀そうだったから公爵家なら納得ね。・・・って公爵家!?」

「はい・・・それで、そのことを知った公爵様は旅行中だった高位の魔法師の可能性を考え、私の両親に該当の人物がいないか相談したみたいなんです。オバケは非現実的なので・・・」

「うん・・・」

「私と両親が家で夕食を食べてる時にセレーネさんがケニルワース領に帰るみたい、と言ってしまって・・・。そこでこの事件のことも教えてもらったんです。宮廷魔法師団内部には候補になるような人がいなかったということも聞きました」

「それで、ウィリアムさんとシャノンさんがモコモコオバケの正体が私かもしれないと思ったのね・・・」

「はい・・・すいません」

「えっ?」

「私が言わなければ大事にならなかったのに・・・」

「その時は知らなかったんでしょ?ただの雑談だししょうがないわよ。それに、これは私の行動が原因で、クレアさんが責任を感じることではないわ。気にしないで」

「そうですか・・・、えへへ、ありがとうございます」


クレアさんはホッとしたのか微笑んだ。

かわいいわね・・・って違う違う。


「クレアさん、私たちの今後というのは、クライン公爵家への対応をどうするかということ?」

「あっはい、そうなんです。公爵様は大々的に家に招いて謝礼をしたいとおっしゃってます。もしセレーネさんがそれに応じる場合は、フローリー家が準備を手伝います。けれど・・・」

「・・・けれど、私がクライン公爵家に囲い込まれるのね」

「たぶんですけどそうなります・・・」


うーん、ちょうど昨日お兄ちゃんから囲い込みについて言われてたわよね。

この事件のこと知ってたのかな・・・

でも、あの領を統治しているクライン公爵家には悪い噂はないどころか、善良よね・・・

お兄ちゃんのはたまたまかな。


でもこれどうしようもなくない?相手公爵家よね?

貴族最下層の男爵家の私に拒否権ある?


「セレーネさん」

「うん?」

「お父さんとお母さんは、セレーネさんが乗り気じゃなければ今回の件をもみ消すと言ってました」

「えっ?もみ消す?」

「はい。宮廷魔法師団内に該当者なし、とだけ報告するそうです」

「・・・えっ?それはありがたいけれど、どうして・・・?」

「詳しくは教えてくれなかったんですけど、考えがあるみたいです。たぶん、何か隠してますね。娘の勘ですけど」

「なるほど・・・?」

「それはそれとして、セレーネさんは乗り気じゃないと伝えておきますね」

「そうしてもらえるとありがたいけど、もしもフローリー家に何か不利益が発生したら言っちゃっていいわよ?」

「でも・・・」

「大丈夫大丈夫、いざとなればお兄ちゃんと海外逃亡するわ!」

「海外逃亡・・・?」

「うん、そう。でもちょくちょくクレアさんにも会いに来るから安心してね!」

「えっ、はい・・・」


そもそも海外逃亡してほしくないなぁと思うクレアであった。

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