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私は文官になりたいのに、口先だけかまってちゃんが税金で貢いできてキショイ  作者: ハムウサギ


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46:新学期始まるよ

王立第二学園では、今日から新学期が始まり、コース別のクラスになる。

私は、支度を済ませると女子寮の自室からでて、春学期からの私のコースである文官のクラスの教室に向かった。


教室に着くとすでにミラとレイ様がいた。


「おはよう、ミラ、レイ様」

「「おはよう、セレーネ」」


ざっと教室を見渡す。マリーさんもいるわね。

教室も他のコースと違って比較的大きめの割り当てられているみたいね。


「文官のコースって1クラスだけなんだっけ?」


私の疑問にミラが答えてくれた。


「そうみたいね。毎年そういう傾向があるらしいわ」

「そうなんだ。他のコースに比べて学生が少ないのね・・・」

「文官の登用試験の勉強は家庭教師でもできるからだと思うわ。貴族限定かもしれないけれど・・・」


それをレイ様が捕捉してくれた。


「それと、商人なら人脈、戦闘なら稽古相手と修練場、生産なら素材と生産設備が使えるから、というのも大きいのだろう。自前で準備するのが難しい」


それもそうね。私は一応男爵家で貴族だけど、家庭教師とか雇えないから学園に通っているけど!


けど、学年があがると文官コースも国家の文官と領地の文官のコースに分かれちゃうから、このクラスメイトとも離れちゃう可能性があるのか・・・


すると、教室のドアから担任の先生らしき女性がきた。

かっちりしているような雰囲気ね。服装までピシッとしている。


「皆さん、着席してください」


先生は生徒が着席するのを確認してから、


「わたくしがこのクラスを受け持ちます、イザベラと申します。以後お見知り置きを」


イザベラ先生はクラス全体を見渡した。

生徒同士の自己紹介かな?


「さて、さっそくですが、本学園の心得をお答えください。第1条第10項はなんですか?そうですね、そこの生徒」


私の斜め前に座っていた生徒が指名されて、ビクッとしつつも返事をした。


「わかりません・・・」


うん、私もわかんない。学校の心得をいちいち覚えてない・・・。

結構分厚い冊子だったのよね・・・。たぶん寮の自室のどこにはあると思う。

この様子だと探しておいた方がいいかもしれない。


「そうですか。では、次は、」


イザベラ先生が次の獲物を探し始めた。


私は息を殺して、気配を消している。

そう、私はただの人型の置き物。


しかし、私の置物人生はすぐに終了することになる。

なんと!マリーさんが手を挙げている!


「では、そこの手を挙げている生徒。名はなんといいますか?」

「マリーです」

「わかりました。それではマリーさん、学園の心得の、第1条第10項をお答えください」

「『王立学園の運営には国民が支払った税金が使われている。それに見合うだけの学びをしなければならない。それができないものは国民や同級生から疎まれるだけではなく軽蔑されることにもなる。自分の学びがこの学園に注ぎ込まれている税金に見合っているか、常に振り返るべきである。もし見合っていないとすれば、それは国民に対する裏切りである。この考えを大切にし、成長しなければならない』、以上です」

「マリーさん!素晴らしい!!いいですか、みなさん。みなさんは将来文官として公務員として働くことになる者がほとんどでしょう。その時になって初めて税金を使っていることを意識するのではなくて、今から意識してください。わたくしの教室から税金泥棒はだしません。再来月に修学旅行があるとは言え、うわつかずに勉学に励むように。いいですね?」


誇らしげなマリーさんとは裏腹に、クラスはシーンとなっている。

修学旅行というみんなが騒ぎそうなワードが出たけど、それ以上にインパクトがあるのか、シーンとなっている。

言っていることはもっともなんだけど、さすがになんというか・・・。


イザベラ先生はこの雰囲気を意に介さず、話を続けた。


「それではみなさん。わたくしに続いて復唱してください。『私たちは税金泥棒にはなりません』」


「「私たちは税金泥棒にはなりません」」


マリーさんともう1人の女子生徒以外は無言だった。


「わたくしはみなさんと言いました。いいですね?『私たちは税金泥棒にはなりません』」


「「私たちは税金泥棒にはなりません!!!」」

「「「「「私たちは税金泥棒にはなりません」」」」


マリーさんともう1人の女子生徒以外はとりあえず言った感がすごい。

私もだけど。


「声が小さいです。そんなことでは将来国に損害を与えるだけの無能な役人になってしまいますよ。それではもう一度。『私たちは税金泥棒にはなりません』」


「「「「「「「私たちは税金泥棒にはなりません!!!」」」」」」


「できるなら最初からそのようにしてください。それでは、大事な心得を再確認したところで、自己紹介に移りましょう。廊下側の先頭に座っている生徒から順に始めてください」



みんなの自己紹介が終わり、結構インパクトの大きい初回のオリエンが終わった。


休み時間になったので、学園の心得を取りに寮に行こうかなと思っていたら、女子生徒に話しかけれらた。


「あの、元Ⅰ組のセレーネさんですよね・・・?」

「えっ、はいそうですけど・・・?」

「あの!私はエイミーっていいます。いきなりで申し訳ないのですけど、ガントチャートやクリティカルパスについて教えていただくことは可能でしょうか」


そう言いながら頭を下げられてしまった。


「えっあっ、まずは頭をあげてください。私でよければ構いませんよ」

「ほんとですか!?ありがとうございます!王宮で取り入れられて最新のスキルを習得できるわ!」


「俺もいいですか?」

「私も!」

「僕も!」

「あたしも!」


おっと!話を聞いていたのか、近くにいた生徒も集まってきてしまった。

王宮で取り入れられて最新のスキル、ってなんだろうとも思いつつも、人に囲まれどうしようかとあたふたしていると、少し離れたところにミラとレイ様がいるのが目に入った。


(助けて!)


しかし、ミラにはウィンクされて、レイ様には口パクでたぶん「これも経験だ」と言われてしまった・・・。


教えるにしてもまずは場所を変えた方がいいわよね、と思っているとふと怨念のようなものを感じたので、その方向を向くと、


「ぐぬぬ、なんであの女なのよ!学園の心得を完璧に答えたあたしに人が集まる流れでしょう!」


マリーさんがハンカチをかみながらこちらを睨んでいる。

そんなこと言われても知らないわよ!


マリーさんの隣には1人女子生徒がいて、マリーさんの肩に手を置いた。

さっきマリーさんと一緒に、活き活きとイザベラ先生の復唱してた生徒だ。


「マリー、あの女がチヤホヤされるのも今だけよ。実力がわかればおのずとみんなも誰がすごいかわかるはずよ。グレイスさんも悪女への正当な評価をしてくれるようになるわ!」

「そうね、ビビアン。一緒に頑張ろ!」

「もちろん!」


なるほど、ビビアンという名前なのね。

でもなんで、2人一緒にこちらを睨んでくるの・・・。

それと悪女ってもしかしなくても私・・・?


ーーーーーーーーーー


私のお昼休みは、ガントチャート、クリティカルパスの紹介と、学園の心得を寮の自室から探すことで終わった。お昼ご飯は収納魔法に入れていたサンドイッチを片手間に食べた。


教室に戻ると、ミラに声をかけられた。


「あっ、セレーネ。さっきクレアが来てたわよ」

「クレアさんが?」

「なんか重要な話があるみたいな感じだったわね。『セレーネは今いない』と伝えたら生産コースの教室に戻っちゃったみたいだけど・・・」

「そうなの?あとで聞いてみるわね。ありがとう」

「いえいえ」

「そうだミラ。学園の心得を持ってきたんだけど、イザベラ先生が好きそうな項目ってわかる?」


せっかく自分の部屋から心得をもってきたんだし、と思って私は軽い気持ちで聞いた。


「そうね・・・第1条第15項、第6条17項あたりじゃないかしら?」

「えっ!」

「どうしたの?」

「まさか学園の心得の中身を把握してるの・・・?」

「ふふふ、最低限はね」

「さすが、ミラ様・・・」

「なーんてね!あの先生、去年も同じところを出したみたいなの」

「なるほど?」


ミラのアドバイスを受け、学園の心得を見直していると、午後のオリエンが開始される時間になった。


早速、イザベラ先生が、


「それでは、午後のオリエンテーションを始めます。そうですね・・・、窓側の一番後ろの席の生徒、学園の心得の第1条第15項を答えていただけますか」


えっ嘘!ほんとに的中した?

これが情報戦か・・・違うか。

いや、違くないか。


「・・・すいません。わかりません」

「仕方ありませんね。それでは、」


イザベラ先生が教室を見渡すと、またもやマリーさんが手を挙げている。


「マリーさん、それではお願いできますか?」

「はい、先生。『王立学園生たるもの、以下のことを理解しなければならない。上辺だけの装いを完全に隠し通すことはできない。自分の実力以上に見せようと、他人の権力を利用してはならない。言葉の意味を理解せず、一喜一憂してはならない』です」

「素晴らしい!!みなさんもマリーさんを見習うように!優れた規則が優れた公務員を育成します!」


誇らしげなマリーさんと、それを讃えるようなビビアンさん。シーンとしているクラスメイトとの温度差がすごい。


「さて、クラス委員を決めたいのですが、立候補はいますか?」


シーンとしているクラスのなか、マリーさんが手を挙げている。


「マリーさん、素晴らしい意欲です。それではお願いします。もう1人決めたいのですが・・・」

「ありがとうございます、しっかりとクラス委員を務めさせていただきます。もう1人ですけど、セレーネさんはどうですか?」


マリーさん、なぜに?

私の方睨んでるし・・・。睨んでるのになんで推薦したの・・・?


「マリーさんの推薦ですか。セレーネさん?」

「あっはい、私です」


呼ばれたからには反応しないと・・・、と思って手を挙げる。


「学園の心得の第1条第15項を答えてください」

「えーと、『能力の劣る人間が国の要職に任命されると、逆に敵に利用され重大な被害を引き起こす可能性がある』です」


またもや的中!

ありがとう!と思ってミラを見ると、目立たないようにウィンクをされた。


「素晴らしい!さすがマリーさんの推薦ですね!帝国と休戦中とは言え、いつなにが起こるかわかりません。帝国のスパイに利用されないよう、この点を皆さんは肝に銘じてください」


おっと!先生、そんな深い思慮があったんですね!


一方マリーさんはというと、それはもう睨んできた・・・

もしかしたら、本当に推薦しようとしたんじゃなくて、恥をかかせようとした?

グレイスはいないのに・・・

なんか、クラス委員になると事あるごとにつっかかってきそうね・・・個人的な問題にクラス全体を巻き込んではいけない・・・


「イザベラ先生、マリーさんからの推薦は光栄ですが、私はクラス委員は辞退させていただきます。代わりに・・・そうですね、マリーさんのご友人のビビアンさんはいかがでしょうか?クラス委員同士仲良く、クラスのことを優先するためにはぴったりな組み合わせだと思います」


クラス委員同士仲良く、クラスのことを優先、という防衛線をはった。これで、もし私になっても、多少はなんとかなるでしょう。


「そうですか・・・。しかし、マリーさん、セレーネさんお二人の推薦となればビビアンさんも素晴らしいのでしょう。わかりました。ビビアンさんにお願いしようと思いますが、ご本人としてはいかがですか?」

「セレーネさんの実力に余るということですので、喜んで受けさせていただきます!」


実力に余るとは一言もいってないんだけどな・・・。

これから大丈夫かな・・・。


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