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私は文官になりたいのに、口先だけかまってちゃんが税金で貢いできてキショイ  作者: ハムウサギ


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39:ユッカの木

コースの希望調査書を無事に提出した翌日、教室に入ると私の机の上に手紙が置いてあった。


なんだろう?と思って中身をみると、「セレーネへ 放課後、下記の教室で待ってます ミラ」と書かれていた。ご丁寧に指定した教室までの地図も描かれている。


教室でレイ様と話していたミラの方をみるとウィンクされてしまった。これは、その時になるまで教えてくれないやつな気がする。悪いことにはならないだろうし、まいっか。



そして放課後。指定された教室にいくと私以外にも人がいた。


「あれ?グレイスとクレアさんも?」

「ああ。そうだ」

「そうなんです。セレーネさんもなんですね」

「うん。2人は理由は聞いてる?」

「いや、聞いてないな」

「私もグレイスさんと同じく聞いていません・・・」

「うーん、なんなんだろう・・・」


3人で頭を悩ませていると教室のドアが開いた。


ミラかな?と思ってドアの方を見ると、そこにはレイ様がいた。


「あれ?レイ様も?」

「ああ。ミラはまだか?」

「まだきてないわね。レイ様は理由は知ってるの?」

「知ってはいるが、ミラが楽しみにしていたから僕からは言わないほうがいいと思う」

「・・・それもそうね」


4人で雑談をしていると、また教室のドアが開いた。

今度こそミラかな?と思ってドアの方をみると、そこにはカールがいた。


「もしかしてカール君も・・・?」

「そうだけど、セレーネさんのその嫌そうな顔はなんだ」

「あっ、つい」

「つい、ってなんだついって」


「みんなー揃ったー?」


カールの後ろから、すぐにミラがやってきた。


「うんうん。揃ってるわね。それではユッカの木の活動の説明を始めます!」


えっ?ユッカの木?グレイスとクレアさんの方をみると首を横に振っている。

私と同じくよくわかってないようだった。


「ミラ、ユッカの木とはなんだ?」

「グレイス、いい質問ね。この学園では、学生が主体となったグループ、いわゆるクラブとか研究会と呼ばれる活動ができるのは知ってる?」

「ああ、知っている」

「ユッカの木はそれね。春学期からコースに分かれるからみんな離れ離れになっちゃうでしょ?だから作ろうと思うの!」

「なにをするんだ?」

「ユッカの木は成長の木とも言われるわ。だから、自己成長とか?自己研鑽とか?」

「なぜ疑問系?」

「そこは個人の自由ということで!そうね、例えば、学園の正式なグループとして認められているから、修練場とかも借りられるわ。団体として借りるから、個人で借りるよりも広かったり、色々な機材が使えるわね。グレイスは興味ない?」

「ある!私は喜んでメンバーになる!」

「ふふ、よかったわ。これがメンバーの申請書だからサインお願いね」


あっ、グレイスが落ちた。


ミラは次にクレアさんの方を向いた。


「修練場と同じように、生産系の設備も使えるわね。春学期から生産コースに所属するとはいえ、やっぱり団体で使える設備とかに興味はない?複数人での使用を想定しているから、それぞれの作業を記録する魔道具も使えるわ」

「ほんとですか!?個人だとなかなか使用許可が下りなさそうだったんですよ!私も喜んでメンバーになります!」


あっ、クレアさんも落ちた。


ミラは次に私の方を向いた。

私が興味を持ちそうなのってなんだろう?文官関係で図書室の利用権利とか?

ちょっと楽しみ。


「自己成長、自己研鑽という言葉の定義は広いわ。例えば、食文化の発展への寄与のために技術を磨く、とか。なので、学校の厨房をかりることもできます。私が試作品を作る、セレーネがそれを試食する。どう?」

「最高!ミラの料理美味しいもの!役得!やった!」

「も、もう、なんでそんなに喜んでるのよ・・・」


ミラが照れてる?


「だって美味しいものは美味しいの!」

「そ、そう?」

「うん!ここにサイン書けばいいのね!」


私が気分よく名前を書こうとすると、


「1人だけ食べ物につられるとか、子供かよ・・・」

「カール君、余計なお世話よ。どうせ私は、地方の貧乏男爵家のなんちゃって令嬢ですからね」

「・・・祭りの日に教会で言ったことを根に持ってるのか」

「それより、カール君はなんでいるの?」


ちらっとミラの方をみたカールは、


「ミラさんとの利害の一致だ」

「ふーん?というか、いつ話したの?2人って接点あったの?」


私の問いにはミラが答えた。


「あっそれは、セレーネがクレアの家に天体観測に行った日ね。あの日私はカールに会いに、お祭りの時に寄った教会に改めて行ってたの」

「そうだったの?てっきり文官の手伝いだと思ってた!」


ミラは指を口に当てて、考えるようなそぶりをしながら


「うーん、間接的にはある意味文官の手伝いかな?」

「そうなんだ?」

「ふふ、知りたい?」


なんか、ミラの雰囲気的に聞かない方が身のためな気がしてきた。


「いえ、結構でございます」

「そう?残念。ちなみに、代表がカールで、私が副代表の予定よ」

「えっ?ミラが代表だと思った」


「まぁ、その方が色々と都合がいいんだ」

「カール君、私はミラと話していたんだけど・・・」

「まぁそういうなよ。同じクラブの仲だろう?」

「はぁ、まぁいいけど。メンバーはこのメンバーなの?」

「そうだな。本当はⅠ組のリチャードも誘ったんだけど、実家の鍛治の手伝いで忙しいらしい」


「カール君、リチャード君はこないんですか?」

「クレア嬢?残念ながらこない」


人見知りのクレアさんがリチャード君のことを気にしてる?

もしかして?


「そうなんですか・・・残念です・・・武器とかを作る生産系希望だったと思うので、武器とか装飾品への魔法陣の付与とか色々と一緒に試してみたかったんですけど・・・」


あっ、そっちですか!

・・・というかそれ、爆発しない!?

この2人混ぜるな危険じゃん!


「まぁクレア嬢もリチャードも同じ生産系だろう?機会はあるんじゃないか?」

「カール君のいうとおりですね!楽しみにしています!」


おっと!おっと!!


危ない方向に話がひと段落したところで、ふと気になった。

レイ様はなんでいるんだろう?


「そういえばレイ様は?何に釣られたの?」

「僕か?『いいから手伝って』ってミラに言われた」

「・・・そうなんだ」

「同情してくれるのか?」

「お疲れ様です」


「それじゃ私が悪女みたいじゃない!」

「ミラ、僕はあまり的外れなことは言っていないと思う」

「レイ君ひどい・・・ぐすん」

「はぁ。それより、修練場とか生産設備とか厨房に惹かれるのはいい。けれど、僕たちはその前にやることがあるだろう?今月末にある秋学期の期末テストは大丈夫か?」


レイ様のこの一言により、教室の一部、具体的にはグレイスの周りの空気が一気にどんよりした。


「レイモンド、世の中には言っていいことと悪いことがあるぞ」

「グレイス・・・そんなことを言ってもテストはあるんだ」

「私は戦闘コース希望だ。社交の場での挨拶の仕方など戦場では役に立たない」

「生徒である以上そうもいかない。1年生の秋学期は一般素養系のテストがある」

「ナゼダ・・・」


絶望するグレイスの様子をみたレイ様は、私たちみんなに目を向けた。


「各々やりたいことはあると思う。けど、ユッカの木の活動はしばらくテスト勉強会にしないか?」


グレイスの様子を見た私たちは、満場一致でテスト勉強会に同意した。

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