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「お、来たか。待ってたぜ」
「竜一郎さん!」
扉を開けた先にいたのは、ソファーでくつろいでいる竜一郎であった。
中は広々とした空間に、ソファーやテレビ、ビリヤード台や漫画が大量に置いてある本棚、お酒がズラリと並んでいるバーカウンターなど、とても捜査課のデスクとは思えないような場所であった。
「やめてくれ堅苦しい。俺のことは竜さんって呼んでくれ」
手をひらひらと振りながら笑って言った。
「わかりました。竜さん」
勇斗がそう返した瞬間
「竜!あんたまた私のケーキ勝手に食ったわね!今度という今度は許さないんだから!」
と女性が怒りながら奥の階段を駆け下りてきた。
「あのケーキお前のだったのか。旨かったぜ、姫子」
「あたしをその名で呼ぶんじゃねえ。「アイスアドラー《氷鷲》!」」
「ばっか!ちょっとからかっただげだろうが。「フラムシュイルド」」
竜一郎が発動した魔法に鷲の形をした氷が勢いよく突っ込んできたが竜一郎に届くこともなく途中で溶けていき届くことも無く蒸発した。
驚いている勇斗に、竜一郎は頭を掻きながら面倒くさそうに紹介した
「勇斗、こいつは虎雅 姫子。こんな感じで気がとても短いから気をつけろよ」
「誰が気が短いよ!あんたがいつも原因じゃない!」
姫子は竜一郎に不満を言いながらも勇斗に視線を移した。不思議な顔をした後、もう一度、竜一郎の方に向き直った。
「誰そいつ?」
「新しくうちの配属になる新人」
「はぁ?あんたもしかして巳嶋さんに黙って連れてきてないでしょうね?」
「流石にそれはしねえよ。まぁ、蛇ちゃんに大分怒られたけど・・・。ちゃんと許可もらったぜ?」
「当たり前でしょ。巳嶋さん、あんたがやりたい放題やったせいであの後、上から色々小言言われたみたいよ」
姫子はあきれながら竜一郎に説教した。
そんなやり取りをみていると勇斗は服を引っ張られた。