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大変遅くなりました。仕事が忙しいため投稿が不定期になってしまいますが、とりあえずなるべく早く次回を投稿できるように頑張ります。
しばらくすると応援が到着し、竹羽が連行されていった。見届けた勇斗は助けてくれた男に歩み寄り
「助けていただいてありがとうございました。」
と言った。男は
「気にすんな。こっちも仕事の一環だからな」
と笑った。
「仕事?魔導省では見かけたことないので、もしかして刑事さんとかですか?」
不思議そう勇斗は聞いた。
「ははは、そうだよな。見かけたことないよな。」
そう笑いながら革ジャンの内ポケットから職員IDを見せながら言った。
「魔導省特別捜査課所属の蒼鳴竜一郎だ。ちょっと、別の事件の捜査してたんだが関係ありそうだったからよ・・首突っ込ましてもらったぜ」
特別捜査課、魔導省に伝わる噂話で女性たちが話しているのをよく聞く。幽霊が集まっているとか左遷された職員が集められた所だの言われていたが、実際 誰もその存在を見たことがなかった。誰かがふざけていった噓だと誰もが思っていた。
「いや・・・、そんな課は存在しないはす・・・」
勇斗は、驚きと戸惑いが混じりながら本音が漏れるように声を出した。
「上の一部しか知らないからな。そりゃ信じるわけないよな。噂だと思った?でも実際にあるんだよ。うちの課は」
竜一郎は、そう言いながら苦笑いを浮かべ続けて
「まあ、本棟とは、別の場所にあるからそう言う噂話が出るのもわかるけどな。不便だから本館に移してくれって掛け合ってるんだけどダメだって言われててな。そうだ、今度うちの課に招待してやるよ。大したもんは出せないけどな」
「い、いえ。なんて失礼ことを。疑ってしまって本当にすいません。自分は、捜査一課に所属してる子咲と言います。正直、部外者だと思ってました。ご招待いただいたのは光栄ですが、ご迷惑になると思いますのでお断りさせていただければと・・」
そんな会話をしていると
「勇斗、こっちは終わったぞ。部長が呼んでるからそろそろ戻ろうぜ」
とこちらに歩いてきた隼平が声をかけた。
「おう、引き留めて悪いな。じゃあそろそろお別れだな」
竜一郎は、そう言いながらバイクに跨った。
エンジンをかけることもせず勇斗の顔をジッと見ると竜一郎はおもむろに口を開いた。
「勇斗。お前、その眼鏡は昔から掛けてんのか?」
「いえ、この仕事ついてからですけど・・・」
その返事を聞いた竜一郎は、頷いたあとアクセルを回して走り去った。
聞かれた勇斗は特に気にすることもせず、少し経ったあと隼平とともに魔導省へと戻った。
一方、竜一郎はバイクで走りながらニヤリと笑い誰かと連絡を取っていた。
通話越しの人物は怒っているようだったが竜一郎は気にせず用件だけ伝えて連絡を切った。
その顔は、まるでおもちゃを見つけた子供の様だった。