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第7話  白、紫。そして……

 ルティアーナ王国。その中心、ルティアーナ城から見て北側。


 南側と同じように、大きく広い草原が広がっている。

 だが、定期的に草を刈って整地し、人や馬が歩きやすいよう街道を作るなど、歩く人たちに配慮されている南側とは違い、最低限の整地すらされることもなく、ただ雑草は伸び放題、所々には石や岩も転がっていて、とても歩く人間には配慮されていない。

 そんな、とても道とは呼べない地面を超えた先には、それなりに高い木々も生え放題で、そんな木々が密集した個所は、ちょっとした林か森と化している。そんな林や森に隠れるように、各所に置かれた集落もまた、そんな地面と同じように、荒れている。

 生活はかろうじてできている。が、どうにか自力で育てた野菜を食して、リユンや城下町で働き日銭を稼ぎ、その日その日を何とか食べている状況は、安定しているのでなく、単純に貧しい。

 北端族ほど落ちぶれてはいない。だが、城下町やそれより南で生まれた人間たちと比べてしまえば、天と地ほどの生活水準差がある。



 そんな区域にある、いつ人が消えてもおかしくない……何なら、もはや人が棲んでいるかさえ怪しいほどに荒れ果てた、そんな集落の一つから、姿を現した男。


「…………」


 彼が幼いころから、家はもちろん、村自体が、とても裕福とは言えない有様だった。それでも、子どもたちは笑って走りまわり。大人たちはそれを優しく見守って。そんな優しい場所だった。

 そしてそんな、長いこと帰ることのなかった場所の現状を見て、感じる感情――


「レイ」


 集落を出て、しばらく歩いた先には、別の集落がある。住む場所や家々はバラバラながら、それでもお互い、歩いて行ける距離にあるため、ある集落に生まれた子どもが、別の集落にいる子どもの家へ遊びにいく。そんな光景も珍しくはなかった。

 そんなふうに広がる集落間の、ちょうど中心に位置する場所。かつては一本の大きくて高い木が伸びていて、子どもたちの待ち合わせ場所にも使われた。

 今では切り倒されて、中途半端な切り株が残っているだけの場所に立った時。


 そこでレイは、恋人の声を聞いた。


「…………」


 目を合わせるが、返事はしない。ジッと、シャルと視線を交わすだけ……


「……会ってきたのか? 母に」


 声を出したのは、シャル。


「うん……会ってきた」

「話はしたのか?」

「うん。したよ……僕が誰だったかも、分かってないみたいだったけど」


 皮肉を込めたそんな返事に、シャルも思わず苦笑する。


「まあ、無理もない……私は時々顔を見せていたが、お前は嫌がって一度も帰ろうとしなかったからな」

「それで、僕が誰かも気づかないで、延々昔話を聞かせてくれたよ。僕もよく知ってる話をさ……」


 嘲笑と、苦々しさを隠そうともしない、歪んだレイの顔と声。


「ああ。私もだ……今でも国防隊時代の『輝かしい青春』とやらに思いを馳せては、それを自慢して満足している。娘から見たら、虚しく見苦しいだけの一人語りを楽しんでいたよ。年を取った今も……年を取ったからか。誰もいない中、一人でブツブツしゃべっているせいで、誰もが気味悪がって家に近づかないそうだ」


 シャルもまた、嘲笑に顔を歪ませて、自らの家族に歪んだ思いを馳せていた。


「分かってたことだけど……結局あの人が大切なのは、家族じゃなくて、自分と、国防隊の思い出だけなんだね。僕が魔法騎士団に、また入るって言った時は、止めることもせずに国のためにがんばってきなさいって大喜びしてさ……子どもだった僕が、ずっとがんばってたことも忘れてさ。自分がさらってきたくせに、アッサリ家から追い出してさ。そんな僕のこと、ちっとも覚えてなくてさ」

「そうだな。お前は、ずっとがんばっていたのにな……()()()()

「……僕をそんなふうに呼ぶな」


 シャルの憐れみのこもった呼び名を聞いて、レイは反射的に、即座に否定した。


「僕は父親じゃない……あの女の夫じゃない……僕は、シャルの恋人だ。シャルの、恋人なんだ――」

「レイ――」


 自身の両肩を押さえて、震えながら声を絞り出している。そんな苦しげなレイを、シャルはいつもしていたように、抱きしめた。




 国の外で戦争が始まり、何年も続いていた中。この国を護るために、現在の魔法騎士団の走りとなる国防隊が創設されたことは、この二人もよく知っている。

 そして、創設することに賛否――どちらかと言えば、否の声が多数あったことも、この二人はよく知っていた。

 国防隊を創設する目的は、あくまでこの国の防衛のため。戦争に参戦するためじゃない。

 そんな創設の理由は、創設者であるマオラン・リーはもちろん、当時の国王の口から国民たちには知らされていた。だが、そんなものがなくとも平和を維持し、上手くやってきたこの国に、今さらそんな物騒なものを作る必要などない。そんな考えを訴えて、目的はどうあれ一軍隊を作ろうという動きに対して、激しい拒否反応を示す国民は少なくなかった。


 男たちが集まらないからと、女や、成人前の子どもを集めて組織しようとしたことも、彼らが拒否反応を示す理由の一つになった。力の無い女性や、誰よりも護るべき対象であるはずの幼い子どもたちを戦わせようだなんて、イカレてる――

 それでも、いや、だからこそ、約束された破格の報酬に釣られた希望者は、()()()()()()()()大勢いた。


 シャルの母親が国防隊に入ったのは、約束された高い報酬に、夫の目がくらんだから。

 シャルの実父は、控えめに言ってもクズな部類の人間だった。

 仕事はしていたが長続きせず、職を転々としながら稼いできたなけなしの金は家に入れることもせず、全額酒に変えてしまう。シャルの記憶の限り、素面で娘や、母と向き合ったことはなく、父の代わりに日銭を稼ぎ家を支えていた母に対しては、いつも暴力を振るっていた。

 そんなシャルの家にも国防隊募集の話は届き、それを見た実父は、母へ行くことを強制した。女、子どもを中心に募集を掛けていると言っても、限定しているわけでは断じてなく、むしろ成人男性は歓迎されていたにも関わらず、クズが働こうと考えるはずもなし。

 後で知ったことだが、国防隊に入って金を稼いでこなければ、代わりシャルを送ると脅していたらしい。それで母は、一度も暴力など振るったことのない身で、それでも幼い一人娘を守るためにと、国防隊に入ることにしたのだが――


 結論から言えば、実父は母に、ボコボコに痛めつけられ追い出された。


 マオラン・リーによる魔法の訓練、それによって向上された魔法の威力および応用法、国を防衛するためにくぐってきた数々の修羅場……

 それらの経験が、酒と暴力に溺れた亭主を相手に何もできなかった女を、確実に強くし、そして変えた。

 国を護るために強くなった女に、いくら男でも酒浸りのクズが勝てるはずもなく、いつものように暴力を振るい、給料の金を巻き上げようとしたところを、アッサリ返り討ちにされ、あげく家を追い出された。

 そこまでなら、父親の言動と性的な目に怯えていた幼いシャルにとっても良かったのだが……



 国防隊での日々は母の強さだけでなく、心根さえもすっかり変えてしまっていた。

 国防隊の仕事で家を空けることは多かったものの、家に帰ってきた時は、決まって国防隊の話をしていた。

 国防隊の存在の偉大さ。偉大な国防隊でいることが如何に名誉なことか。その国防隊を否定していた者たちが如何に愚かだったか。お前の母親はどれだけ立派な仕事をしているか……

 幼いシャルでなくとも、理解できず、聞くに堪えない話を、シャルと向き合った時は必ず言い聞かせていた。時にはシャルの方から、他愛のない話題を振った時もあったが、母は娘の話には興味を持たず、そんなことより偉大な母の活躍の話を優先させていた。

 戦争が終わって、国防隊が無くなった後は、魔法騎士団として仕事を続けた。必然的に、誇り高い魔法騎士団の話を連日聞かされることになった。


 そんな母の姿に辟易していたシャルを、最も驚かせた出来事が、同じ国防隊として出会ったという男を、新しいお父さんだと連れて帰ってきた時のこと。

 成人も迎えていない、どころか、シャルと同い年――当時9歳だった男の子をだ。

 国防隊最年少だったというその男の子もまた、高い報酬を目当てにした大人たちによって、国防隊入りを強制された一人だった。

 幼いながらに鍛えられはした。しかし、いくら男とは言え子どもの身では、精神的にも肉体的にも大人の女に勝てるわけもない。だから彼に限らず、女の言うことに逆らえない少年たちは少なくなかった。

 だから、戦争が終わった時点で彼も解放されたはずが、彼女に捕まったことで逃げられなくなり、どころか一方的に気に入られたことで、男の子の意思は無視して、結婚することになったらしい。母言わく、実父以上の最低クズ野郎だった()の両親からは、なにも文句は()()()()()()()そうだ。

 そんなふうに、国防隊が誕生し、戦争が終わってから今日までの三年間で、母も、家も、シャルにとってすっかり変わってしまった家の中で……


 変わった母のやることが、変わることはなかった。

 娘がどれだけイヤだと言おうが。()が必死に話題を変えようが。

 筆頭大臣の横暴によって、年齢を理由に魔法騎士団を追い出されようが……

 それで家に引きこもってからはなお更に、誰も聞いていないのに、顔を合わせれば、魔法騎士としての仕事の日々や、国防隊時代の武勇伝、盛りに盛られた()との馴れ初め等々。饒舌に、聞き飽きた同じ話題であっても構わず、自慢気に、誇らしげに、偉そうに――


 そんな変わり果てた母の姿や歪んだ家庭環境を嫌った娘が、家に寄りつかなくなるのは必然だった。

 母のことは()に押しつけて、何も無い集落を意味も用もなく、ただ歩き回る日々。やることは何もなく、時には魔法の練習に励む日もあった。おかげで、同い年の子どもの中でも魔法の扱いが上手くなった。

 しかし、家庭環境から来る感情や性格のゆがみに加えて、子どもとしては背が高かったことも災いして、同年代の子どもたちは彼女に近づかず、たまに近づいてくるのは、彼女の容姿や、どこからか聞きつけた()のことをからかう悪ガキども。

 当然、幼かったシャルは怒って、ケンカもした。大抵はシャルが勝っていたが、それでも仕返しにきた悪ガキから不意打ちを喰らって、ピンチになることもあった。


 そんな彼女のピンチに、いつも駆けつけてくれたのが、()だった。

 マジメで責任感の強い男の子だった。自分は実の両親に身売りさせられ、あげく見捨てられたというのに。親は子どもを守るもの……そんな綺麗事だけは知っていたらしい。

 だから()は、自分よりも大きな()を守ろうと、その小さな身体で悪ガキどもに挑んでいた。それでいつも返り討ちに遭って、逆に()に助けられていた。

 助けられた後は、まるでいつもそうしてきたように、泣きながら()に謝っていた。


 お父さんなのにごめんなさい……

 守ってあげられなくてごめんなさい……

 そんな()を、()はいつも慰めて……



 やがて、歳が倍以上離れた妻と()以上に、誰よりもそばにいた、同い年の()()が惹かれ合うのは必然だったろう。




「そうだ。お前は父ではない……お前はレイ。私の最愛の恋人の、レイだ――」


 お互いに対して恋愛感情を懐いたとしても。血の繋がりの無い赤の他人だったとしても。それでも二人は、親子だった。特にレイは、その性格も相まって、()に恋してしまったことに矛盾を感じ、苦悩した。

 それでも、子どもだったことや、シャルも同じ気持ちだったこと、大きくなったら結婚しようと約束してくれたこともあって、レイは、シャルと恋人になろうと決めた。

 どれだけ、()()という感情を拭いきれなくても。

 精通を迎えた日の夜、()に夜這いを掛けられて以降、毎日のように襲われようとも。

 その光景を何度も見てきたシャルも。

 将来は、二人で必ずこの家を出ていく。そして、結婚して、親子じゃなくて、夫婦になって、ずっと一緒にいる。

 その気持ちと約束だけを信じて、あの家で家族として過ごしてきた。


 それなのに――


「すまなかったな……私のせいで、本当に――」

「……シャルのせいじゃない。僕がバカだったんだ」



 国防隊もとい、魔法騎士団によって、家族の在り方を歪められた。だから魔法騎士になんかなりたくもなかったし、なってしまった今でも嫌悪している。

 それでも二人は、魔法騎士になった。なぜなら、母が娘に、こう言ったから。


「お前は私と同じ、魔法騎士にする。そして、私と同じように、魔法騎士の男と結婚するんだ」


 シャルにとって、どれだけ最低最悪な女でも、母親という存在は絶対のものだった。まして、あれだけ恐ろしい父親を追い出した母の強さを目の当たりにしたことで、逆らおうとは思えなかった。

 そんなシャルでも、この話には激怒した。

 ただでさえ母のせいで、魔法騎士団は大嫌いになっていたのに。

 私にはレイという、心に決めた人がいるのに――


 けど、そんなシャルを尻目に、話を聞いて焦ったのがレイだった。

 レイは立ち上がり、()に向かっていった。


「僕も、シャルと一緒に、魔法騎士になる」


 シャルが、遠くへ行ってしまう……

 僕じゃない誰かと結婚する……

 純朴だったレイが焦って、とっさに言ったことだった。

 ()も娘と一緒に家を出ていくと言っているのに、母はむしろ大喜びした。私と同じ、元魔法騎士だったアナタが一緒なら、何の問題も無いと……



 その後の経緯は、すでに記した通り。

 レイは、シャルと一緒にいたいがために、シャルの静止も振り切って、イヤな思い出しかない魔法騎士団に帰ってきた。

 シャルも、そんなレイを追いかける形で、イヤでイヤで仕方がない魔法騎士になることになった。


 シャルは、能力と才能に恵まれた。生まれつきの魔力量こそ人並み以下だったが、魔法の練習をしていたことも幸いし、すぐに誰からも認められ、頼られる存在になった。

 レイは、元魔法騎士だったと言っても、幼かったことで【マヒ】の使い方くらいしか教えてもらえず、やっていたのは雑用くらい。仕事の内容もガラリと変わっていて、返り咲いたといっても何もできず、能力も低かったことで、誰よりも遅れることになった。


 シャルとの間には明らかな格差が生じ、シャル以外の誰からも笑われて。それでも毎日、がんばった。

 ただ、二人で一緒にいたいから。二人が一緒になるために。

 そうやってお互いにがんばるたびに、気がつけばお互いの距離は、どんどん離れていくばかり。

 仕舞いには、決定的に離れてしまった。

 一時であれとっさであれ、目的(シャル)ではなく、手段(ファントム)を選ぶほど……



「ずっと、言いたかったことがあった」


 こうなってしまうくらい追い詰められていたこと、私が誰よりも知っていた。そして、こうなった原因は他でもない、私。そんな私に、レイを責める権利は無い。

 だからもし、この一言が言えたなら、私もレイも、こうにならずに済んだのか……


「もし、お前が望むなら……私は今すぐ、お前を連れて、遠くへ逃げてもいい」


 もしかしたら、心のどこかで期待していたのかもしれない。レイの方からそう言って、私のことを連れ去ってくれることを。

 そのレイは、ずっと、がんばってきた。女として生まれて、たまたま才能に恵まれた私とは違う。当時の騎士団内では冷遇された男の身で、正真正銘のゼロから、最強と呼ばれるようになるまで。ずっと力の限りを尽くして、がんばってきた。

 男を見直させるほど力を付けて、成り上がった後も、誰よりも上に立って、がんばった。私はもちろん、自分より下の立場にいる人たちのために、したくもない女の相手までして、がんばった。

 それ以前にも、()()として、()を守るために、がんばっていた。その()を恋人にするために、嫌悪しかない()の相手をしながらも、がんばっていた。


 彼はずっと、がんばってきた。誰よりも――私よりも、がんばってきた。逃げるだなんて考えるヒマもないくらい、がんばってきたんだ。

 だから、私が言わなきゃならなかった。レイの強さも、弱さも、がんばりも、その理由も、誰よりも知ってる、私が言わなきゃならなかったんだ……



「……遅いよ」


 レイの返事は、それだけ。

 シャルに背を向け、切り株から離れた。


「レイ! 戻る気はないのか? もうやり直せないのか?」

「……四人」

「え?」

「四人の魔法騎士が、アヤルカの森で犠牲になってる……僕と、真騎士団の作戦のために、四人、罪の無い魔法騎士が……」

「それ、は……」


 聞こえてきた声は、シャルの恋人でも、()()でもない。魔法騎士団――否、真騎士団の、魔法騎士としての声だった。


「……少なくとも、僕は、僕とシャルに、長い間こんなに苦しい思いをさせてきたこの国のこと、ゆるす気はないよ」


 シャルに顔は向けず、正面を見たまま、宣言した。


「この国だけは、絶対に潰す……僕の手で、メチャクチャになるまで潰して、壊してやる」

「……潰した後は、どうする気だ?」


 そう尋ねた時……振り向いたレイは、真っすぐシャルの目を見た。


「君を連れて、遠くに逃げる……」


 その後で、この国が、国民が、部下たちが、どうなろうと知ったことじゃない……


 シャルの欲しかった言葉を語った顔には、そんな悲壮が宿っていた。

 そんな顔を見せた後で、歩みを再開し、立ち止まることはしなかった。



「レイ……」


 この世でただ一人愛した女のために、自ら過酷な道を選んで。

 痛み。苦しみ。屈辱。

 全部、ガマンして、ガマンして、ガマンして、ガマンして……

 がんばって、がんばって、がんばって、がんばって――


 ガマンして、がんばった果てに迎えたのは、限界だった。限界を迎えたから、したくもないガマンもがんばりも強いて、苦しめてきた、国に対する復讐を誓った。

 そして、そんな復讐の果てにあるもの……

 幼いころから願い続け、欲し続けた、女を手に入れ、結ばれる。


 ただそのためだけに戦う――


 ただそれだけ願って闘う――



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「お前、やる気ねーだろ」


 魔法騎士団、第一関隊関長にして、『最強』の魔法騎士。

 彼と同じ、最強の部隊に身を置いてきた、白い騎士服に身を包んだ若者たちは、目の前の光景に、呆然と釘付けにされていた。


「さっきっから女の方ばっかチラっチラっチラっチラっ……戦う相手を見ようともしねーで、見たいものしか見ようとしねーで……」


 彼の強さは、他の誰より彼女らは知っていた。加えて、対する黒い男に、彼が一度勝っている光景もこの目で見ている。

 だからこそ、目の前の光景が信じられない。


「目先のことに集中することもできん半端者が、その先にある欲しい物に、手が届くわけねーだろ」


 最強の魔法騎士が……

 私たちの関長が……

 レイ様が、一度勝った黒い小男に、一方的に蹂躙されているだなんて――



「もういい。お前の実力のほどと、やる気の無さはよぉーく分かった」


 そんな真騎士団の反応など興味もない葉介は、うつぶせの腰をひざで押さえられ、脱いだ黒い上着に頭を包まれて、それを引っ張られてエビ反りになっている、レイに向かって、言葉を投げ続けた。


「これ以上は時間の無駄。楽にしてやるから、このまま死んどけ」


 上着でエビ反りにされ、むき出しになった首に、手を添えた――



「やめろ!!」



 手を添えたレイの首を、葉介が締めあげようと力を込めた時。

 女の絶叫と、女の長い腕からの拳が、葉介目掛け飛んできた。


「――――」


 首から手を放し、上着も顔から取り去りつつ、すぐさま後ろへ後ずさる。


「――ゴッホォッ、ゲッホッ、オォォェッッ」


 上着と足から解放されたレイは、口の中の物を吐き出し、息を整えようとする。吐しゃ物とは違う。葉介が頭を包む直前、『口封じ』のために詰めた大量の砂が唾液に固まっていた。


「決闘中に、乱入はちょっと……」

「レイを失うことに比べればマシだ」


 お面越しからでも分かるくらい困った態度な葉介に対して、カリンは毅然と言い放った。



「ちょ、決闘なのに乱入って……ッ」

「なにやってんだ、あのノッポ!」


 誰が見てもレイがピンチで、今にも負けそうだった。もう少しで、葉介の勝ちだった。そこへ堂々と乱入し、邪魔をして……

 いくら何でも見過ごせない。ミラとアラタは同時に声を上げ、動いた……


「待て」


 そんな二人を止めたのは、二人の肩を押さえたシャルの声と、二人に向かって静止の手を上げた葉介の姿だ。


「あの男は、一人でやる気だ。私たちが邪魔をするべきじゃない」

「無茶だよ、2対1じゃ……」

「そうだ! 俺もやる!」

「騒ぐな……二人とも、決闘が始まる前に、シマ・ヨースケが私たち全員に言ったことを忘れたのか?」


 それを冷静に問いかけられると……二人とも、何も言えなくなった。



 ――んじゃあ、俺がんばるから、なにがあっても無理って言うまで見守ってて。


 ――それと、騒がしいの嫌いだから、応援とか声掛けとか無しで。静かにしといて全員。



 この海岸へ向かう直前に、葉介がメンバーへと投げかけた言葉だった。だから、相手側がリリアやメイランへどれだけ応援や声援を送ろうとも、シャルもシンリーも、リムも、そしてアラタにミラも、そんな葉介の言いつけを――否、お願いを聞き入れて、終始無言で、葉介の決闘を見守っていた。もちろん、双子たち四人も……

 加えて、確かに不測の事態だろうが、それでも葉介は、無理とも助けてとも言っていない。


「黙って見ていろ……お前たちの、弟子と師匠をな」


 二人の肩に手を置いて、優しく諭された二人とも……

 一人でやる気な様子の葉介を見ながら、今すぐにでも走り出したい衝動をどうにか抑えこんだ。


「ちくしょう……ヨースケ――」

「ヨースケ……」



「まあ、よく考えたら、2対1はダメってルール設けてなかったか……いいよ。二人掛かりでおいでよ。まあ、色んな意味で死にそうになってる、そっちがやれればだけれど」


 拳を握り、構えるカリンの後ろで、未だに四つん這いで咳きこんでいる。そんなレイの姿と一緒に、直前に見た光景を思い出しながら、カリンの中には怒りが蓄積されていく。


「随分と汚いマネをしてくれたな……砂を口に突っ込んだ上で、上着で顔を締め上げるなど」

「そうねぇ……自分らの手は汚さず、デスニマをけしかける連中に比べたら、さぞかし泥臭くて汚らわしい戦いだよねぇ」


 カリンの皮肉の言葉に対して、葉介はそれ以上の皮肉を返す。カリンはなにも言い返すことができず、葉介は、手に握ったままでいる上着を振り回した。


「でもまぁ、何事も経験だ――君らも、汚くなってみた、らッ!」


「……ッ!」


 言いながら、葉介が上着を大きく振るった時。上着に抉られ、すくわれた砂が、カリン目掛けて飛んでいった。


「ぐぅッ、うぅ……」


 もちろん、一回だけで済むはずもなく、二度、三度、カリン目掛けて振るわれた上着は、漏れなく砂を巻き上げ、カリンへかぶせ続けた。

 もっとも、所詮は専用のシャベル等ではなくただの上着であるため、一度にすくわれる砂の量も知れている。だがそれでも、乾燥した軽い粒子の塊を、四度、五度と、続けざまに被せられては、あっという間に砂まみれになる。

 大した苦痛こそない。が、視界が封じられるのはもちろん、前述した通り体中が砂にまみれるせいで、単純な不快感に加え、髪や汗やらに付着する砂が体を重くし動きを封じる。


「――ぁぁあああ鬱陶しい!!」


 何度か受けて、とうとう我慢ができなくなったカリンは、飛んできた砂を避けて走り出そうと――


「避けちゃっていいの? レイから離れていいの?」


 と、葉介の声を聞いた瞬間、動きを止めた。


(くぅ、この男――うちが離れるのを待っているのか……!)


 未だにレイは、カリンの後ろで咳き込んでいる。詰められた砂の量に加えて、呼吸も封じられていたせいで、回復に時間が掛かる様子だった。


(ウチがここを離れた途端、この男は弱っているレイを狙う――クソッ、ウチも【光弾】や【マヒ】を使えれば……)


 呪文を知っているので、使うこと自体はできる。だが、これまでの人生でほとんど使ったことのない魔法が、よりによってこの男に通じるだなんて思えない。


(――いいだろう。ならば耐えてやる。お母さんが生んでくれて、お父さんが鍛えてくれたこの肉体、こんな砂遊びごときに負けるはずがない)


 幼いころから、自身の肉体と、それを活かせる魔法しか鍛えてこなかった。そのことに、後悔を感じたことは一度や二度じゃない。今回だってそうだ。

 だが、そんな偏った魔法と肉体であろうと、愛しい男の盾になるくらいのことはできる。このまま耐え続けて、レイが回復した時こそ、レイが、お前など仕留めて――


「がッ――ッ!?」

「誰が砂だけっつったよ……?」


 何度目かになる砂を掛けられて、思わずまぶたを閉じたのはほんの数秒。二秒か三秒か。それでまぶたを開いた時には、死神は目の前で右足を伸ばしていて、側頭部に、衝撃が走っていた。


(なんだ、この、硬さ、は……蹴りじゃ、な――)


 喰らった蹴りの衝撃を考えた、次の瞬間には、二発目と三発目に蹴りを喰らい、ひざを着いたところで四発目を額に喰らったところで、考えることができなくなった――



(どうして――なぜだ?)


 カリンが砂を防いでくれているその後ろで、レイは、息を整え、口や喉に残った異物を吐き出しながら、考え続けていた。


(僕が最初に撃った【マヒ】……避けられたのは分かる。ヨースケなら簡単なことだ。けど、【雷至】を撃った時、間違いなくヨースケに当たった。手応えがあった。なのに――)


 得意の【(マヒ)】を走りながら避けられ続け、だが魔法が使えない以上近づいてくるしかない。そこを狙って、確実に倒す威力を出すために【雷至】を使った。正面から走ってきていたヨースケは避けることができず、体に受けた。間違いなくレイも見た。

 なのに、ヨースケはそれでマヒして倒れるどころか、ピンピンして目の前まで走ってきて、手ですくった砂を口に突っ込んだあげく、脱いでいた上着で顔を包んで……


 顔を包まれて呼吸もままならず、背中を踏まれ首が引っ張られて身動きが取れず、吐き出すこともできない砂のせいで呪文を唱えることもできず。

 カリンの乱入がなければ、間違いなく殺されていた――

 そこまで思い出した時には、カリンはヨースケによって蹴り倒されていた。


「カリン……【硬化】の魔法、使ってなかったのか?」


 ミラやメイランと同じく、肉体を駆使して戦うタイプのカリンは、他の魔法は並かそれ以下なレベルだが、【身体強化】、そして、【硬化】の魔法は鍛えていた。一度見せてもらったが、どちらも十二分に『至って』いて、『極める』一歩手前だったと言っていい。加えて、稽古が主とは言え豊富な対人の経験も買って、今回の決闘のメンバーに選んだ。

 なのに、そんなカリンの、至っていたであろう【硬化】を無視して、カリンは倒された。

 ヨースケの蹴りが、それほどの威力なんだと考えるのは簡単だが――



「なにボーっとしとるんな?」


 と、ようやく呼吸も整ってきた時、葉介の声が聞こえた。


「決闘はまだ、途中ですけど!」


 葉介の蹴りによって、カリンは昏倒していた。そのカリンの身を捕まえて、叫ぶと同時にレイへ投げつけた。


「ぐッ――」


 避けるわけにもいかず、飛んできたカリンの身を受け止めた。

 直後、骨のお面は目の前に迫っていた。


「――【硬化】ッ! が……ッ!」


 とっさに【硬化】で身を固めた。間違いなく魔法は発動した。

 少なくとも流木じゃない。蹴りよりも、普通に殴るよりもはるかに威力が低いはずの裏拳ごとき、痛いどころかビクともしない――はずだった。


「ぐッ――」


 続けて、足にもまた衝撃。

【硬化】は全身に作用している。痛みを全くゼロにできるわけじゃないし、衝撃は普通に感じる。それでも、拳骨で叩かれた痛みを、乾燥タオルで叩かれた程度に抑えることはできる。

 それが、さっきから裏拳を喰らっている頭、ローキックを喰らっている足もと、両方とも、まさしく金属で殴られる硬さを感じ、痛みが走る。


「ぐぅぅ……うぅぅ……!」


 殴られた箇所が痛い。

 カリンを横抱きにする両手が重い。

 立っている状態が辛い。



「レイ様!」

「そんな――レイ様!?」



 後ろからは、相も変わらず自分を持ち上げようとする女たちの声が聞こえる。散々浴びてきて、重荷にしか感じてこなかった、一方的な羨望と無責任な期待の視線が刺さるのが分かる。


「…………」


 前を見てみた。骨の顔の向こうには、シャルの顔が見えた。こんな形で別れていても、幼いころから変わらない、強くて優しい顔が――


「まーた、女の方見てるし――」


 シャルの顔が、突然視界から消えた。直後、黒いズボンが見えて、レイの顔面に、カリンを超えた高さの蹴りがぶつかった。

 衝撃と痛みに、カリンを抱いたまま尻もちを着かされた。


「もう、お前帰れ! 俺にも、応援してくださってる人らにも失礼や!」



「そんなこと――僕が知るかぁあああ!!!」



 突然、絶叫を上げて――葉介の身が、【閃鞭】に叩かれ遠ざけられた。


「期待とか、責任とか、立場とか……尊敬とか、憧れとか、好きとか、応援も――迷惑なんだよ! 全部ッ! 僕にはッ!!」


 立って、叫んで、横抱きにしていたカリンの身を、後ろへ放り投げる。後ろで声を上げ、応援していた白色たちが動揺しつつ受け止めたのも、レイは気にしない。


「なりたくてこうなったんじゃない……やりたくてやったことなんて一度も無いのに……いつもいつも! どいつもこいつも!! 僕にこれ以上――押しつけるなぁああああああああああ!!!」


 絶叫のもと、杖を向けた。


「――【雷極(ライゴク)】・稲火駆(いなびかり)ッ!!」


 マヒを『極めた』末に生まれる、一直線に進む巨大な電流。

 それが、葉介目掛けて飛んでいき――


「~~~~ッ……本音か。いいじゃん。無理やり取り繕うよりよっぽど好印象だわ――」


 どうにか耐えた葉介は、重ねた両腕を前に出し、立っていた。


「――【雷天(ライテン)】・霹靂裁降(へきれきさいこう)ッ!!」


 だが、レイは止まらない。極めた魔法が通じないなら、『天』をも貫く魔法を撃つ。

 文字通り、天から降り注ぐ裁きの一撃を発動した。

 自分の邪魔をし、自分を苦しめる、その最たる敵、死神……

 シマ・ヨースケ。その男を黒焦げに、塵一つ残さず焼き尽くすため――



「うぃ~~~~……さすがに今のはヤバかったぁ~~」


 聞こえてきたのはそんな、年寄り臭いマヌケな声。レイにとっては、あり得ない、あってはならないはずの声。

 間違いなく、魔法は直撃していた。マトモにぶつかれば人はもちろん、デスニマの親さえ一瞬で焼き尽くし、灰にする、そんな天からの一撃を――


「……お前、まさか――」


 と、魔法の衝撃で舞っている砂埃が晴れてきたことで、レイは、理解した。


「あ、バレた?」


 カリンが、そして自分が発動した【硬化】を突き抜けて、痛みを与えた理由。

 最初の【(マヒ)】に始まり、【雷至】も、【雷極】も、そして【雷天】さえ通じなかった理由。


「でもぶっちゃけ、気づくの遅すぎ。リリアとの決闘の時から分かっとったろうによ」


 あお向けになり、上に向けて、両足と重ねていた腕。その腕の、服の袖が焦げ、破れ、弾けて、そこに光る、魔法の手枷の輝きを見ることで――


「ちなみに、バレたついでにもう一つバラすと……両手だけでなく、両足にもハメてたりして」


(お面越しに)ドヤ顔を決めつつ、同じように破けたズボンの下からも、枷の輝き。

 魔法の手枷は、ただの金属である鎖の部分なら第三者の魔法で簡単に壊せる。

 だが、枷自体は、捕らえた人間を決して逃がさないために、あらゆる魔法が効かない作りになっている。そうして魔法だけは封じて、犯罪を抑止するために。


(そんな……魔法を封じるための拘束具を、こんな、魔法を防いで、魔法を征するための武器にするなんて――)


(つーか、こんな使い方、実家(ウチ)紳士諸公(オタクども)ならみんな思いつくっつーの――)


 両手両足をほぐしつつ、拾った上着を再び振るった。

 そしてまた、カリンにしたように、砂をぶつけた。



「なんか……わたしより、上手に土を使ってるんじゃ?」


 後ろで見ている、【土操作】を得意とするリムが、そんなことを呟いた。



(ったりめぇよ。こちとら骨と土から生まれた沼男(スワンプマン)だってなもんだ!)


 葉介の場合、あくまで素材のメインは人骨であり、土は巻き込まれて吸われただけである。なので、特にファントムとしての能力に土は当該していない。

 そもそも、生まれた段階で魔力がゼロなのだから、何から生まれていようと特性もへったくれもない話である。


「こんのぉおおおお!!」


 そして、そんな砂を何度も浴びたレイは、再び叫び、杖を向けた。


「【(マヒ)】ッ! 【(マヒ)】【(マヒ)】【(マヒ)】【(マヒ)】【(マヒ)】【(マヒ)】ッ……な!?」


 杖を向けて、怒りと衝動のまま、何度も呪文を叫んだ。叫んだところでようやく、正面から砂をかけていたはずの死神の姿が消えていることに気づいた。


「な……なッ――」


 直後、目の前が真っ暗になった。


「怒ってもいいけど我を失わず、視界は常に確保……これ、戦闘における鉄則」


 声が、耳元に聞こえた瞬間、砂まみれ且つ真っ暗な視界の中で……


 レイは、自身の身が一気に持ち上がり、一気に落下したのを感じた。




「テメェエエエ!! さっきから汚ねぇぞおおおおおおお!!」


 図らずも、二人を一度に倒し、勝利することができた。そんな葉介に投げかけられたのは、勝者への歓声ではなく、罵声の声。


「さっきから、女の髪を武器にしたり、大事な所攻撃したり、砂とか服とか武器に使ったり――マトモに勝った試合が一つもないじゃない!!」

「なにが決闘だ!? ふざけんじゃねーぞ!! 卑怯者があああ!?」



「え……なんで? なん、で――」


 自分たちと一緒に、金網の向こうから見ている囚人たちからの罵詈雑言に、葉介の勝利を喜んでいたミラは、困惑しかできなかった。



「さっきからアンタ、卑怯じゃない!?」

「こんなの、魔法騎士の決闘じゃない!! ただの暴力よ!!」

「こんな方法で私たちに勝ったなんて、認めねぇぞぉぉおおお!!」



「アイツら、なに勝手なこと言ってんだ……!」


 アラタも、囚人らはもちろん、向こう側から、まるで勝った葉介が悪いように叫んでくる真騎士団の声に、顔をしかめていた。


「おい……ヨースケは勝ったんだぞ! バカにされる筋合いねぇ! なぁ!?」


 心から葉介を信頼し、尊敬している。今の戦いも、前二つも、どちらも、魔法を使えない身で取れる、あらゆる手段を最適な場面で駆使しての、見事な勝利だった。

 そう思って、後ろの仲間たちへ呼びかけた。


「…………」「…………」

「…………」「…………」「…………」「…………」「…………」


「……え?」


 だが、後ろで見ている仲間たちが顔に浮かべているのは、アラタやミラが感じている、勝利に対する感心じゃない。

 シャルとシンリー女王は、終始、真剣だが特に感情がうかがえない顔を浮かべている。

 だが、残りの五人が浮かべている顔は――他の魔法騎士たちより、葉介に好意的な感情を懐いてきたはずの五人の顔は、驚き、だが呆れ、あげく言葉を失って……端的に言えば、ドン引きしている顔だった。


「なんで……なんで?」



「さぁーつてと――」


 そして、そんな野次にも蔑如にも、なんの興味も関心も懐いていない葉介は、ジャーマンかバクドか裏投げか……多分、その中のどれかで沈めた最強の魔法騎士の顔から、視界潰しに使った上着を回収し。こっちをジッとうかがっている、最後の一人に対して、お面と視線を向けた。



「…………」



 現王族の近親者が特徴として持つ、金髪と、褐色の肌。加えて、その三人姉妹の末娘の名前を名乗る、寡黙の少女。

 その少女と同じように、葉介もしゃべりはしない代わりに、手招きをした。





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