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隣国が戦を仕掛けてきたので返り討ちにし、人質として王女を娶ることになりました。三国からだったのでそれぞれの王女を貰い受けます。  作者: しろねこ。
第四章 奪おうとする者と守りたい者

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第67話 世継ぎと現状

 アドガルムでは戦いの準備が着々と進められている。


 ただ攻め入るにしても、やはりあの山越えをどうするか、まだ答えは出ていない。


 帝国に転移術を使える者がもっと居るのならば、国を離れるべきではない。


 軍を帝国に進めている間に国を攻め入られては国が滅びてしまうし、かといって守りを固め、戦力を分断してしまっては、いざという時にどちらも本領が発揮できない。


 いっそのこと向こうから攻めてきてくれれば迎撃も出来るのだが、間にあるパルスに甚大な被害が出るだろう。


 今のところパルス国とセラフィム国の王太子には通信石を渡し、属国との連絡を密にしているが、それ以上に出来ることはあまりないのだ。


 精々見回りと守りの強化、いつ攻めてくるかもわからない相手を待つには精神が疲弊してしまう。


「お休み、レナン。また明日」

 エリックは毎夜レナンを抱きしめるが、それ以上の事はあまりしなくなった。


 そういう事を積極的にしたいわけではないが、気にはなってしまう。


 パルス国でレナンが何らかの力を使ったことが関係しているのだろうか。


「あのエリック様、大丈夫ですか? 悩みならばわたくしが聞きますよ」

 後ろから抱きしめられ、同じ毛布に包まっている。


 一緒に休むのだから嫌でも気になるものだ、このところ特に寝付きが悪いようだし。


 しばらく返事がないが、呼吸の音が変わったので考え中なのだろう。



「ありがとう。どうしたらいいか、わからない案件があり、少し悩んでいるんだ」

 珍しい言葉だ、いつもなら即決物事を決めるエリックが、そのような弱気な事を言うとは。


「レナンの持つ不思議な力……あの帝国の者を退けた力の解明が出来ていない。その解明が終わらないと前に進めなくて」

 レナンの体も心配だ、と前置きされる。


「今あの術師が出てきたら、レナンを戦いの前線に連れて行かねばならぬ。それが嫌なのだが、このままでは拒むことも出来ない」

 他に対抗できる力を持つ者がいないのだ。


「キュアに聞いたが、使えるようになるには難しいというし、かといって戦に君を連れ出したくはない」

 護身の為、体を動かすこともレナンの公務に取り入れたが、それでも戦いをするなんて遠く及ばない。


 力もあれ以来発現できていないのもある。


 戦場で使えるかもわからない不確定な力だから、エリックの苦悩もわかる。


「必ず俺が側にいて守る。けれど不安は尽きない」

 三日も目を覚まさなかった事を思い出すと不安しかない、次使用した時だってどうなるかわからないのだから。


 抱きしめる腕に力がこもった。


「もしもの時はわたくし頑張ります、皆命がけなんですもの。わたくしももっとアドガルムの為に、力になりたいわ」

 とはいえパルス国で襲われたあの時を思い出すと、いまだに心臓がどきどきする。


 無慈悲に殺されてしまうかもしれない恐怖、それにそういう場に立たなければならない時が段々と近づいているのだ。


「エリック様が一緒なら大丈夫です」

 体に回されている腕にしがみつく、夫と一緒ならきっと乗り越えられるはずだ。


「必ず守るから」

 強く抱き締められ、しばし沈黙が流れる。


 心地よい温かさにレナンが少しうとうととし出した頃、エリックの手が少し下りた。


「早く解決させたい……これからの為にも」

 エリックの手がレナンのお腹をさすった。


 思わずレナンも目を開ける。


「このままでは世継ぎも先送りだ。早く会いたいのに」

 顔が赤くなる。


「授かりものですから、仕方ありませんわ」


「もしも今子どもが出来たら、レナンの負担が大きくなる。だから遠慮していたのだが、早く全てが終わればいいのに」


「そ、それで最近何もしなかったのですか?」

 少しほっとした。


 レナンに飽きたわけではなかったのだ。


「そうだ。あのパルスでの襲撃の時からずっと考えていた。戦に行かねばならなくなったら、レナンにも赤子にとっても大きな負担だ。そのような事させるわけにはいかない」

 耳元で熱いため息を掛けられる。


 背筋がぞくぞくし、全身が赤くなる。


「もっと触れたいのにもっと一つになりたいのに。避妊をすれば行為は出来るだろうが、疲れさせるのも憚られる。万が一もあるし、レナンも落ち着かないのは嫌だろう。俺の我が儘だけで手を出したくはないんだ」

 相当我慢させているようで申し訳ない気持ちだ。


 だが、そんな事を自ら誘えるほど、レナンはまだ腹をくくれていない。


 顔を赤くし葛藤しながら、体を丸めるしか出来なかった。







「こんな事誰に相談すればいいのかしら?」

 恥ずかしすぎて言えない。


 ラフィアに聞いても男性の事はわからないだろう。


 エリックは日中もいつも通りだ。


 いつも通り過ぎて忘れてしまう、きっと表に出さない事に慣れているし、強く自制も出来ているから尚更だ。


「こういう時に側室がいれば慰めたりもあるのでしょうけど」

 と、考えて頭を振って忘れようと努める。


 エリックはそんな事を他の女性に望まない。


 レナンだけと言っていた、ならばこれは自分が解決するべき問題だ。


 解決する方法として、避妊を意識し、自分から迫ればいいのだろうが恥ずかし過ぎる。


 何よりエリックは自分の為に我慢しているのだ、無碍にしてはいけないだろう。


「はぁ……」

 どうしても無意識にため息をつく事が多くなってしまった為に、周囲もレナンの憂いにそわそわし出す事態になっていってしまった。








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