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隣国が戦を仕掛けてきたので返り討ちにし、人質として王女を娶ることになりました。三国からだったのでそれぞれの王女を貰い受けます。  作者: しろねこ。
第三章 新たな戦の序章

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第45話 病変

 各々が少し成長し、より良い関係性を築きながら幸せに過ごしていた。


 各国も少しずつ落ち着きを取り戻し、穏やかな日常がゆっくりとだが、確実に戻ってきていた。


 そんな中で新たな火種が起きる。









「レナンの母上の容態が悪い?」

 エリックが渡されたものを確認する。


 パルス国の印もある正式な書状だ。


 今こちらで確認したばかりなので、レナンにはまだ見せられていない。


「明らかに怪しいが、万が一本当の場合は……」

 親の死に目に会えなかったとなれば、後悔もするだろう。


 調査をしてからでも大丈夫だろうか。


 今やエリックの弱みはレナンなので、もしも二度と帰ってこないなどとなったら、ゾッとする。


 あのヘルガもいるのだから、尚更心配だ。


「ルアネドのもとにいる影からも情報を集めよ。時間を見つけ、俺も直接聞いてみる」

 何もなければそれでいいのだが。


「レナンの母であるトゥーラ妃が体調不良なのは本当だ。部屋から出てこれないくら容態が悪いらしい」

 通信石にてルアネドに聞くと心配そうな声でそう言われる。


 ルアネドの言葉ならとエリックも疑いを持たなかった。


 レナンにもパルス国からの手紙を見せる。


「必要な護衛をつけて行ってくれ。何かあれば通信石ですぐに連絡を」

 本当は一緒に行きたい、少しも離れたくない。


 タイミング悪く、もうすぐ帝国の者たちを迎え入れなくてはならず、自分の立場上残らなくてはならない。


 王太子妃のレナンと会えない事を訝しむだろうが、そもそも会わせたくないから、何とでも言い訳をしてレナンの同席は拒否するつもりだった。


「母の容態が良くなったら戻ってきますから、あまり心配なさらないで」

 気遣わしげにエリックを抱きしめる。


 この温もりを暫く感じられなくなるのだと思うと、ついていけない事が歯がゆい。


「必ず無事に戻ってきてくれ」

 自分の言葉にしばらく離れてしまう事が余計実感してしまい、寂しく、悲しくなってしまった。







「久しぶりのパルスだけど、このような国だったかしら。何だか違う国みたい」

 ほんの数ヶ月程離れただけなのに、なんだかとても懐かしい。


 空気も雰囲気もアドガルムと違う。


 何だか慣れない。


「そうですね。だいぶアドガルムに馴染みましたし、もう向こうが故郷のような感じもあります」

 ラフィアも久々の故郷に違和感を感じていた。


 今まで住んでいた国のはずなのに、アドガルムの方が居心地がいいからだろうか。


 アドガルムでは王族自体が仲良く、そしてレナン達を大事にしてくれていた。


 それを受ける家臣も使用人も皆優しいので、パルスよりも過ごしやすいのだ。


 穏やかな気候に心根の優しい人ばかり。


「ヴィルヘルム様に挨拶してからレナン様のお母様にお会いしましょう。手土産はどっさり持ってきています」

 護衛騎士のオスカーがいつもより濃いメイクをしてそう言う。


 そわそわと緊張しているようだ。


「けして一人で出歩いてはなりませんよ。必ずあたしかオスカーと共にいてください! 特にヘルガ様と話しては駄目です」

 女性好きのキュアらしからぬ発言だ。


 キュアでもヘルガを受けつけないとは、好みではないのだろうか。


 護衛騎士と護衛術師をエリックはつけてくれ、更に騎士団と隠密隊もつけてくれた。


「俺がいない間、レナンのことは命がけで守れ」

 と厳命されたのだ、皆気が抜けない。


 隠密隊は皆認識阻害で気配を消し、騎士団は目に見える戦力として後ろに控える。


 従者兼護衛のキュアがアドガルムの代表として挨拶や話をした。


「この度はトゥーラ様の容態をお知らせくださり、ありがとうございます」

 キュアは頭を下げ、レナンの父である国王ヴィルヘルムにお礼を伝えた。


「当然だ、レナンの実の母親だしな。実のところ原因もわからず、容態も日に日に悪化している、レナンが間に合って本当に良かった」

 ヴィルヘルムの言葉に顔色を失くす。


「お母様はそんなに悪いのですか?」

 ほんの少し前に会った時はあんなに元気で、レナンの輿入れを喜んでくれていた。


 なのに、いまやベッドから起き上がれない程らしい。


「熱もない、元気もある。だが、食欲は落ち、衰弱が早いのだ。すぐにでも会ってくれ」

 オスカーはじっとヴィルヘルムを見る。


 嘘を言っているようには見えない。


「では失礼して。レナン様、お母様に会いに行きましょう」

 キュアの促しにレナンは頷いて歩みを進めた。


 ヘルガに会うことなく済んでよかった。


 実際に会うレナンの母、トゥーラはとても瘦せてしまっていた。


 ただ痩せるのではない、ベッドから起き上がるのも人の手を借りてやっとだし、筋力が落ちているから声も聞こえづらい。


「大丈夫ですか?」

 骨と皮のようになったトゥーラの手を握るレナンは涙目だ。


 ラフィアもやせ細りすっかり変わってしまったトゥーラを見て、涙をこらえている。


「ありがとう、大丈夫よ。レナンにこうして会えたのだもの。すぐ元気になるわ」

 弱弱しい笑顔と張りのない声。


 オスカーとキュアが小声で話す。


(どう見る? 病か?)

 オスカーの問いかけにキュアは首を横に振る。


(いえ、微かだけど魔力を感じるわ)

 キュアは目を細め、トゥーラを見る。


 微かに黒い、嫌なものが体に纏わりついているのだ。


(変わったことがなかったか、もう一度ルアネド様と影に確認しましょう)

 オスカーも頷く。


(わかった、俺も探るか?)

 オスカーの言葉にキュアは眉を寄せた。


(下手な刺激で動かれては困るわ。トゥーラ様が人質に取られているようなものだから、あなたのそれは最終手段よ。種は、撒いているでしょう?)

 見つからないようオスカーは植物の種子をパルス王城に蒔いて歩いていた。


 何もなければ枯れて消える程小さい。


 何かあれば魔力を通せば足止めくらいには使える。


(あの黒い魔力は嫌な予感しかしない……レナン様に何もないといいけど)

 甲斐甲斐しく母親の世話をするレナンに、何もない事をただ祈るだけだ。


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