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隣国が戦を仕掛けてきたので返り討ちにし、人質として王女を娶ることになりました。三国からだったのでそれぞれの王女を貰い受けます。  作者: しろねこ。
第二章 それぞれの愛情と愛し方

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第31話 お披露目(本番)

 それぞれのエスコートを受け、王女達が入場する。


 他国の王女達のお披露目とあって、アドガルムの貴族達は期待と不安の入り混じった目で見つめていた。


 王女達がこの国に来た経緯は皆が知ることだし、勝利したとはいえ戦の被害は少なくない。


 精神的にも、肉体的にも、経済的にも多少影響はある。


 賠償金は貰えたが、まだ捕虜達もいるのだ。


 諸手をあげて歓迎、とまではなかなか心情がついていかなかった。


 皆からの視線を受ける中、王太子となるエリックに付き従うレナンは、緊張はするもののもう転びなどしない。


 しっかりとプロのデザイナーがデザインし、靴と共に計算された長さのそのドレスはとても歩きやすい。


 足元が見えない長さなのに躓くこともない、そしてエリックも歩幅を合わせ、ゆっくりと歩いてくれている。


 この人を支えられる王太子妃になるんだと呼吸を整え、背筋を伸ばし、真っすぐに前を見る。


 決意を込め、一歩一歩しっかりとした足取りで歩みを進めた。


 二人の背の高さも程よくて、絵画のような美しさをしている。


 いつもは冷たい眼差しのエリックも、今日は柔らかく微笑んでいた。


 愛情溢れるその雰囲気に、王太子妃の座を狙っていた令嬢たちからも諦めのため息が聞こえる。


 第二王子であるティタンはファーのついたマントと大柄な体躯の為に、猛獣にも見える。


 緊張感からか眉間にも皺を寄せていて、いつにも増していかつい顔つきだ。


 その隣に付き添う王女が小柄だから、尚更そう見えるのだろう。


 ボリュームのある髪型とドレスで均衡を取ろうとしたのだろうが、それでも小さい。


 セラフィムでも小柄なミューズはヒールの高い靴をよく履いてたため慣れているが、ティタンも殊更気遣って歩いてくれる。


 本当は抱えて歩きたいと直前にも言われてしまったが、さすがに駄目だと説得されていた。


 王子らしからぬ容貌と考えに、マオがティタンにこっそり共感を覚えていたのはまだ秘密で。


 体格差の目立つ二人だが、こちらも仲良さそうである。


 可愛らしいミューズがティタンの勇ましさを中和していた。


 第三王子のリオンは常に優しい笑顔をたたえ、マオは笑みもなく付き従う。


 落ち着いた色のドレスもあいまって、黒髪黒目のマオは違う意味で目立っていた。


 先にあらわれた王女とはまるで違い、明らかに王族らしくない。


 居心地の悪さにマオの足は止まりそうだ。


「大丈夫、僕がいるから。僕だけ見ていて」

 リオンは小声でそう囁いた。


 視線をリオンに移せば優しい微笑が見える。


「僕が守るよ、誰にも手出しなどさせない」

 小さく動く口からは甘い響きを含む言葉が漏れる。


 頭がくらくらした後、マオの耳には余計な言葉は入らなくなった。


 その様子を見ていた二コラは顔を顰め、エリックは興味深げだ。


「催眠の魔法か。あいつは本当に多才だな」

 マオのつける指輪から魔力を流し、マオの心の負担を減らそうとしたのだろう。


 褒められたものではないが、今すぐ咎める必要もない。


 おかげでマオは周りの雑音を気にすることなく過ごせているようだ。


 三人の王女達を見てから、貴族たちの鋭い値踏みの目が、少し和らぐ。


 戦の功労者である王子達があのように慈しんでいるからだ。


 おおよそ政略結婚とは思えない程愛情深さを感じられる動作や表情で、恋愛結婚と思わせる雰囲気だった。


 皆が揃い、大事な話となった。


 エリックの立太子、そして属国の王女達について説明される。


 正式な王太子妃と王子妃として受け入れる事、宗主国となったアドガルムからは今後属国へと人を送り、関係を密にしていくこと。


「西にある帝国へも使者と書状、そして貢物を持たせた。宗主国となるという事は領土も国力も上がるという事だから、事前に戦う意思がない事を告げておかないと、後々に面倒な事になるからな」

 帝国は数々の国と民族の頂点に立つ国だ。


 皇帝という絶対君主のもと、統一されている。


 アドガルムを含め、このあたりの国はそれぞれ帝国と不可侵条約を結び、侵略しない代わりに定期的に貢物を治めている。


 争うつもりもないし、自由を得る為なら多少の財を渡すのは致し方ない。


「まだまだ戦の爪痕も残り、解決していない問題も多い。捕虜の解放によりまた新たないざこざも生まれるかもしれないが、そこも含め慎重に動く。平和と安寧の為、これからも皆の助力を頼むぞ」

 国王アルフレッドの言葉を皆が静かに聞いていた。


 本当の平和になるにはまだ終わりではない、一つ一つ慎重に片づけ、自分たちの生活を守らねばならぬ。


 計らずも先の戦のおかげで、国王に逆らうという考えは減っていた。


 見事敵国を退け沈静化した、次代を担う王子達がいるのだ。


 この王子たちを押し退けて王位を狙うなど、アドガルムに住むものならば誰も思うことすら出来ない。


 三兄弟は皆仲良く、そして各々の特性を理解し、動いている。


 バランスの取れた三人は味方であるうちは非常に頼もしい。


 異論もなく、貴族たちへのお披露目と報告は無事に終わった。



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