表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隣国が戦を仕掛けてきたので返り討ちにし、人質として王女を娶ることになりました。三国からだったのでそれぞれの王女を貰い受けます。  作者: しろねこ。
第二章 それぞれの愛情と愛し方

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/190

第28話 愛と主従②

 お披露目だなんて、マオは絶対に避けたかった。


 他の王子と王女に会わねばならないし、他の者の前で王女として振るわねばならないのか。


 他の王女達が姉と違う考えとは限らない、出来れば辞退したい。


「姿絵とスタイルは聞いてたからドレスも準備したし、そこまで大きなお披露目にはしないから安心して。主要な人への紹介をするだけだから」

 それだけでも嫌だ。


 マオは訪れる面倒ごとを想像し、逃げ出したくなっていた。


「ちょっと長旅の疲れが出てしまい……出来れば辞退させていただきたいのですが」

 ふらりとよろける仕草をすればリオンに体を支えられる。


「それは心配だ。サミュエル、マオに回復魔法をかけてあげて。カミュはシュナイ医師から疲労回復の薬湯をもらってきて」

 リオンはテキパキと指示を出す。


「僕の奥さんになるんだから、しっかり皆に見てもらって覚えてもらわないと」


「姿絵があるならそれを配ってもらっていいですよ、だから休みたいのです」


「駄目。皆にマオは僕のだって知ってもらって、僕はマオのものだと知らしめるんだから。余計な者が近づかないように」

 リオンの目つきが変わる。


 口元は変わらぬ笑みのままなのだが目には昏い光が見えた。


 リオンの手がマオの髪を優しく梳き、もう片方の手はマオの手に絡ませられる。


「可愛いマオ。もうどこへも行けないし、誰のものにもなれないよ。これがある限り、どこへ行っても僕にはわかるから」

 絡められたリオンの指が、マオのつけている指輪を示す。


「そんな事言ってなかったですよ?」


「聞かれてないからね」

 リオンの言葉にマオはすかさずアルフレッドを見る。


「返品希望するです!」


「ごめん、無理」

 アルフレッドとアナスタシアはマオから視線を逸らした。


「甘い言葉で騙したですね、これでは奴隷なのです!」


「何も騙してないし奴隷なんて言葉は心外だ。必要な仕事はあるけれど、きちんと対価は払うから真っ当な事だと思うよ。僕はマオがいいって言ったし、君も僕の求愛を受けてくれた。君が望んだお昼寝だってさせてあげるからね」

 ああいえばこういうリオンにマオは苛立ちを押さえられない。


「とにかくこれを外すです」


「駄目だよ、お守りだから。それは命の危険から守ってくれるし、悪い虫が来てもすぐにわかるようになってるんだから」

 悪びれた様子などない。


「リオン様なんて、嫌いです!」

 その言葉にリオンは悲し気な表情をするが、それだけだ。


「残念、僕は愛してるんだけど。撤回はしてくれない?」

 懇願するようにリオンに言われ、良心は痛むがプイっと目線を反らす。


「駄目です、これを外さないと撤回しないです」

 そう言われ、リオンは渋々指輪に触れて消し去る。


 手の中に残るは青い宝石だ。


「似合ってたのに」


「駄目なものは駄目なのです」

 リオンは宝石を持った手をマオの首元に近づけた。


「こうの方がいいかな」


「は?」

 宝石のついたチョーカーがマオの首に回された。


 まるでペットにつける首輪で、揺れる宝石は鈴のようだ。


「これも似合う。実は指輪と迷ってたんだけどいいね、白い肌に黒は映えるな」

 うっとりと言われ、マオはわなわなと震えた。


「もう……!」

 抗議の声は、リオンの手に防がれる。


 優しく触れられただけなのに、見つめる視線の圧が強い。


「好きだよ、マオ。だから僕のものだという証だけはつけさせて。ある程度の自由は許してあげるから」

 普段優しいリオンが言ったのは明確な主従関係だ。


 マオがリオンの飼い猫でいるうちはきっと変わらず優しいだろう。


 この関係を逸脱しようとした時はきっと容赦しないの。


(とんだ不良債権なのです!)

 言葉に出していう事も出来ず、マオはもはや抗議を諦めた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ