第17話 アドガルムへの旅路・レナン編
いざアドガルムへ向かうとなると凄く緊張する。
(えっと、とりあえず着いたら何をしたらいいかしら)
国王夫妻に挨拶をし、早くアドガルムについて覚える事、そして戦にならないようにする事だ。
もう戦だけはしたくない、悲しむ人を見たくない。
情報を流し、パルス国に有利になるようにと言われたが、圧倒的なエリックの強さに何も出来ない自国を見て、そのような事をしても無駄だと思った。
むしろここまでの強さを持っていて、今まで他国を侵略していなかったのが不思議なくらいなのに。
魔法だけでなくグリフォンを操ると聞くが、いったいこの人は何者なのか。
隣に座る彼をちらりと見る。
凄く綺麗な男性でしかも第一王子、立太子はまだとは言え有力だと皆が話していた。
それ故レナンなんかに彼の妻が務まるわけないと何度も言われた。
「俺はレナン王女が好ましい、この婚姻は覆りません」
とはっきり皆の前で言ってくれた。
初対面なのにレナンをいっぱい庇ってくれたエリックに、じんわりと目元に涙が浮かんだのは覚えている。
温かい微笑みと、優しい声音。
これは政略結婚で利用されるだけのはずなのに、勘違いしてしまいそうな程レナンに甘い言葉をかけてくれる。
すっかりエリックに心奪われてしまった。
パルス国の皆との最後の別れを考えれば、レナンがパルスに戻ることはないだろう。
寂しい思いはあるが、願わくば新たな生活は平和に過ごしたいものだ。
ついてきてくれたラフィアに感謝をしつつ、外に目を移す。
戻れない故郷に思いを馳せた。
エリックはレナンが来るのを今か今かと待っていた為、こうして一緒に居ることに安堵した。
自分が渡したお守りも力を発揮することなく輝いているので、命を脅かす危険はなかったようだ。
政略結婚という出会いとはいえ、とても綺麗で愛くるしい、素直なレナン。
会ったその日にもう連れて帰りたかった。
芯の強さがまた気に入っている。
周囲から色々言われて萎縮してしまっていたが、伸び伸びとした雰囲気の中なら本来の聡明さが出せるだろう。
彼女ならきっと自分のパートナーとしてふさわしい活躍が期待できる。
国外の文化についても造詣が深いし、何より戦を嫌っているので、好んで戦を始めたパルスの者にしてはとても良識的だと感じた。
問題は第一王女。
まさにパルス国王の考えを継いでいて危険である、あまり関わりあいを持ちたくはないが、また余計な事を考えないうちに何とかしなくてはならない。
その為には捕虜として捕らえている王子に協力を仰がなくては。
帰国してからもしばらくは忙しそうだ。
そっとレナンに内緒でため息をついた。
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