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隣国が戦を仕掛けてきたので返り討ちにし、人質として王女を娶ることになりました。三国からだったのでそれぞれの王女を貰い受けます。  作者: しろねこ。
第五章 人と人の想い

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第103話 派手騎士の恋人①

「もしかしたら帰ってこれるかもわからないからね」

 せめて最後に挨拶はしよう。


「もしも帰ってこれなかったら……」

 悪い妄想は止めよう。


 ふっと息を吐き、表情を整える。


 今から恋人に会うのだ暗い顔などしていられない。






「メィリィ会いたかったわ!」


「お帰りなさいませぇ、オスカー様」

 可愛らしいハニーブロンドはリボンが共に編み込まれており、垂れた目や目元のほくろが可愛らしい。


 ふわふわなドレスを纏っているが、口調もあいまって全体的にほわほわした雰囲気を出している。


「大丈夫? 他の男に口説かれたりしてなかった? こんなに可愛らしいから心配だわ」

 小柄な体を抱きしめ、ぐりぐりと頬ずりする。


「大丈夫ですわぁ、いつも心配をかけてしまってぇ、申し訳ないですぅ」

 メィリィもオスカーの背に腕を回し、あやすように撫でる。


「新しいレナン様のドレスができましたわぁ。今度はいつ会えますかぁ?」

 そう問われ、少し躊躇う。


 まだ情報を漏らすわけには行かない。


 どこから帝国に伝わるかわからないのだから、王城に務めるわけではないメィリィに何かを言うのは危険だ。


 第一王子の護衛騎士である自分の恋人だからこそ、特別にメィリィの屋敷に結界を張らせてもらっている。


 詳しく話は出来ないが、危険だからと伝えるというと屋敷から出ることなく素直に待機していてくれる。


「そうね。もうすぐ会えるわ。また一緒に行きましょう。レナン様もとても楽しみにしているもの。メィリィのドレスはとても評判がいいの、ぜひ直接感想を聞いてもらいたいわ」

 いつもレナンは嬉しそうにメィリィが作ったドレスを着てくれている。


 ここ最近は城に入るものが制限されているために、メィリィは行くことが出来ない。


 戦が始まるのもあり、今はドレスどころではないのだ。


「楽しみですわぁ。本当にお綺麗な方ですよねぇ。オスカー様も好きになってしまうんじゃないかとぉ、いつも心配ですわぁ」

 きゅっと少し強く抱き着かれ、オスカーは安心させるように抱きしめ返す。


「メィリィが一番綺麗で可愛いわよ」

 それにレナンを好きになんてならない。


 エリックに殺される。


「後ね、申し訳ないけど。婚約の話が延期になりそうなの」


「そう、ですかぁ」

 明らかに落胆の声だ。


「ごめんなさいね。ちょっと大きな仕事が出来たものだから」


「またパルス国に行くのですかぁ?」


「そうね、そのようなものよ」

 落ち込むメィリィに額にキスをする。


「いつまでも待たせてごめんなさい、戻ってきたら次は必ず約束を守るわ」


「必ずですよぉ」

 ぷぅっと頬を膨らませ怒るメィリィが愛おしい。


「愛してる、メィリィ」

 大量の花が部屋中に咲き乱れた。


「ごめんね、こんな贈り物しかできないけれど」

 本当はもっと形になるものを贈りたかった。


 指輪もネックレスも、数々のドレスもオスカー自ら仕立てている。


 なのに渡せない。


 メィリィを自分に縛り付けてしまうのが怖いのだ。


 パルス国が戦を仕掛けてくる前からの付き合いがあるのだが、なかなか婚約の決心がつかない。


 自分はパルス国からの亡命者だ。


 オスカーは亡命の際に身元がバレないようにと女装をしていた。


 線も細く今みたいに筋肉もついていなかったから、ドレスを着れば十分に女性に見えたのだ。


 知識は必要だと言われ、亡命を手伝ってくれたものがアドガルムの王立学校に身を削って入れてくれたのだ。


 だが、周囲に馴染むことは出来ず、そこで出会ったエリックに素性を知られてしまい、今に至る。


 メィリィはドレスが好きな令嬢でよく洋服のお店で見かけていた。


 女装をやめてからも度々お店を見て回っていたらよくメィリィを見かけて。


 自分が好みのデザインのものをメィリィもまじまじと見ていた。


 なので興味を持ち軽い気持ちで声を掛けたら、意気投合したのだ。


 特徴的な話し方をしたり、騎士で男なのにドレスに興味を持つオスカーに対して、偏見の目もなく接してくれた。


 そこから交際に発展したが、婚約を交わすことはなかった。


 オスカーは亡命する事となった、両親の命を奪ったものへの復讐が忘れられなかったのだ。


 このような思いを抱いてメィリィに求婚は出来ないと思っていたら、戦となった。


 丁度いいとエリックに相談し、復讐させてもらう。


 幼い頃優しくしてもらったルアネドの事は生かしてもらうように進言した。


 向こうはオスカーのの事を覚えてはいなかったようだが、当たり前だ。


 これだけ側にいるレナンすら気づいてはいない。


 それだけオスカーは変わったし、努力した。


「嬉しいですぅ、オスカー様」

 そっと花を摘み取り、愛おしそうにするメィリィは普通の令嬢だ。


 戦どころか人と争った事もない女性。


 命のやり取りをするオスカーの事をどう思っているのだろうか。


 騎士と言えば聞こえはいいが、人殺しだ。


 血に塗れたオスカーを本当に受け入れてくれるだろうか。


 その時にどんどんとドアを叩く音がした。


 オスカーはメィリィを抱えてすぐさまドアから離れると、剣を抜く。


「何者だ!」


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