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シェイドシフト〜滅びかけた世界で暗躍する〜  作者: 西基 フリー
第一章
9/19

9話 癖の強い担任

突然教室の扉が勢いよく開かれた。


「よーし、お前ら席につけ!」


そして教室の中に黒いローブを着た一人の男が入ってきた。


男は教卓の前に立つとチョークで黒板に何やら書き始めた。


「俺の名前はリーゼン・キャンブ!これから一年間お前達の担任をする。よろしくな!」


黒板にはリーゼン・キャンブと書かれており、書き終えた先生は教卓を両手でガンっ!

っと勢いよく叩くと大きな声で自己紹介をする。


そして教室には一瞬、静寂が訪れる。


「まあ、俺の自己紹介は以上だ。何か俺に質問のある者はいるか?」


担任が教室のみんなにそう問いかけるが皆、静まり返ったままだ。


ただ一人除いて、


「先生!握力はどれくらいですか?」


手を挙げて席から勢いよく一人の生徒が立ち上がる。


立ち上がったその生徒はケルスだった。


「ん?両手とも魔力を使わなくとも130kgはあるぞ?」

「何!?、じゃあダンベルは何kg持てますか?」

「300kgは持てるぞ!どうやらお前は気付いたようだな?」

「はい!同志として気づかないわけがありません!」


二人は両手をあげマッスルポーズをする。


すると突然二人とも笑い声を上げる。


「はっはっはっは!」

「ふっふっふっふ!」


そして次の瞬間二人の両腕の裾が破け散り逞ましい筋肉が露出する。


「筋肉を愛するものに悪い奴はいない!」

「その通りだと思います!」


その二人以外の教室のみんなはポカーンと口を開けてその光景をただただ見ていた。


僕とラファエルもその光景にあっけらかんと見つめているのだった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「さて、気を取り直してこれから学院の生活について説明する」


あの後しばらくケルスと担任の笑い声は続いたが隣のクラスの担任から苦情が飛んできてようやく収まった。


そして破けた服は何処から取り出したのかいつ着替えたのかわからないが二人とも新しい物に変わっていた。


そして担任のリーゼン・キャンブ先生から色々と説明を受けた後、その日はそれで終わり、午後からは寮に移る作業に追われる。


僕達は宿のチェックアウトを済ませ中級貴族の寮がある地帯へ来ていた。


「えっと一年の寮はここか」


寮は低級貴族、中級貴族、上級貴族で分けられていて身分が高いほど寮の質も上がる。


僕達は辺境伯家なので中級貴族に当たる。


低級貴族の寮は普通のちょっと綺麗なアパートみたいな感じだったが僕達のはちょっと豪華なマンションみたいな感じだ。


ちなみに上級貴族になると豪華な一軒家が一人に与えられるらしい。


早速中に入り自分の部屋に向かう。


因みに一人一部屋与えられるので僕の従者扱いであるラファエルも一部屋与えられる。


ただ男子と女子で建物自体が異なるのでラファエルとは少し離れてしまうが、まあ問題はないだろう。


中級貴族と言っても辺境伯家の僕は中級の中で最も高い身分なので部屋は結構上の方の階の角部屋だった。


自分の部屋に入り実家から届いた荷物などを整理した僕はベットに飛び込み仰向けになって一息つく。


ベットで寝転がったまま窓の外に目をやるともう日は沈み外は暗くなっていた。


荷物の整理に意外と時間がかかったようだ。


すると自分の部屋の扉がコンコンコンとノックされる。


ラファエルか?と思いながら足を振り上げベットから勢いよく立ち上がりドアへ向かう。


ドアを開けるとそこにいたのはラファエルではなく一人の男子生徒だった。


まあよくよく考えれば女子生徒が男子生徒寮に来るわけないし、そもそもラファエルなら窓あたりから来るはずだ。


「初めまして俺は君の隣りの部屋に住むことになったパルス・ガリーネルだ、一応挨拶をしておこうと思ってね」

「それはどうも、こちらこそ初めましてアゼル・スキアーです」


どうやら訪ねてきたのは俺の隣の部屋に住む隣人だったようだ。


挨拶なんて頭から完全に抜け去っていたので少し驚いた。


「スキアーといえば有名な名家じゃないか!

確か長男のアルス・スキアーは憲兵団の副団長まで上り詰めた天才だったはず!そんな奴と隣人になれたなんて光栄だ!」

「は、はは、残念だけど実は僕はKクラスで実は兄や姉ほど才能があるわけじゃないんだ、」


それを聞いたパルスという男子生徒は少し動揺して申し訳なさそうに謝ってきた。


「そ、そうなのか、それは悪いことを聞いたな」

「いいよ別に事実だし慣れてるしね。それに姉とは仲が良いしね」

「そうか・・じゃ俺は挨拶に来ただけだからもう行くなこれからは良き隣人として関わってくれると助かる」

「それはこちらも同じだよ宜しく」


僕達は握手を交わしそしてパルスは自室に戻って行った。


そして疲れた僕は夕飯を食べずにそのまま寝てしまった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


翌日、今日から早速授業が始まる。


僕達のKクラスの一番初めの授業は剣術の実技で体操着に着替えて体育館へと移動してきていた。


まだ休み時間で僕達は昨日の5人で談笑していた。


「あっはっは、でよぉ、ヒマリがよ、、」

「ちょっとその話はやめてよ!」

「ふふふ」

「あはは、、」


ゴォーン、ゴォーン


すると学校中に金の音が鳴り響く。


これは授業開始の合図だ。


僕達は整列し教師が来るのを待つ。


そして体育館の入り口からは中年の男性が中に入ってきた。


そして僕達の目の前に立つと自己紹介を始める。


「私の名前はスプリング・ホームズこれから六年間君達に剣術を教える」


体育館の中がシーンと静まり返る。


「君たちの中には魔力があれば剣術なんて必要ないと思っている者もいる事だろう、しかし、剣術は基礎であり魔力を活かすには必要不可欠だ。この一年間で君たちには剣術の重要性を学んでもらう。まず手始めに君たちの今の実力を私に見せて欲しい!一人ひとり私に自由にかかってきなさい」


そしてホームズ先生は生徒達を見渡し一人の生徒を指差す。


「まず君、私にかかってきなさい」


指を指されたのはヴァレルだった。


ヴァレルはえっ?という表情を浮かべているがケルスはヴァレルの背中を叩く。


「頑張れヴァレルお前の実力見せてやれ!」


僕達もヴァレルに向けて応援の声をかける。


「頑張れヴァレル!」

「頑張ってくださいヴァレルさん」

「頑張ってねヴァレル!」


僕達の応援を聞いたヴァレルは真剣な眼差しを浮かべて呟く。


「うん頑張るよ僕!」


そしてホームズ先生のヴァレルは位置につき木剣を構える。

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